受信料の法的根拠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 05:12 UTC 版)
日本放送協会が受信料を徴収する理由として、「いつでも、どこでも、誰にでも、確かな情報や豊かな文化を分け隔てなく伝える」という目的達成のため、また特定の勢力や団体に左右されない独立性を担保するため、とNHKは説明している。1966年の放送法改正に際して、郵政省が設けた「臨時放送関係法制調査会」の答申では、受信料について「国家機関ではない独特の法人として設けられたNHKに徴収権が認められたところの、その維持運営のための『受信料』という名の特殊な負担金と解すべき」ものであり、放送サービス(契約者が番組を視聴すること)への対価ではないとされている。NHKはその法的根拠を放送法に求めている。 NHKは放送法を根拠に「受信設備を設置した者には受信契約を結ぶ義務がある」としている。放送法第2条において「放送」は、「公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信の送信(他人の電気通信設備)を用いて行われるものを含む。」をいう。また受信契約・受信料に関しては、放送法第64条(旧第32条)に基づく。 アンテナに接続せず、ビデオソフトの再生や家庭用ゲーム機などの映像出力としてのみ使われているテレビに関して、NHKオンラインの「よくある質問集」の中にある「テレビをビデオやDVDなど再生専用に使用する場合の受信契約は必要か」の項目では「受信契約の対象外である」旨が明記されていたが、後に質問集から削除されており、現在はNHKの見解が記されていない。 2021年時点では、NHKとの契約が義務である状態であっても、未契約の者に対する罰則は存在しない。 放送法第64条(受信契約及び受信料) 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。 協会は、あらかじめ、総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない。 協会は、第1項の契約の条項については、あらかじめ、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。 協会の放送を受信し、その内容に変更を加えないで同時にその再放送をする放送は、これを協会の放送とみなして前三項の規定を適用する。 放送法第70条(収支予算、事業計画及び資金計画) 4. 第64条第1項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料の月額は、国会が、第1項の収支予算を承認することによつて、定める。 NHKは上記の条文を根拠に、「条件を満たすテレビ等の受信設備を設置した者は、NHKとNHKの放送の受信についての契約を締結する義務がある」と説明している。 2017年には法務大臣金田勝年により、戦後2例目の国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律(法務大臣権限法)第4条に基づく意見陳述として、「放送法第64条第1項の規定が日本国憲法に違反しない」とする見解が最高裁判所に提出された。 放送法第64条第4項は、「放送法等の一部を改正する法律」(平成22年12月3日 法律第65号)において新設された「みなし条項」で、有線テレビジョン放送、受信障害対策中継放送などによる、NHKのテレビジョン番組の再放送受信者に対する契約義務の根拠となっており、2011年(平成23年)3月1日付の部分施行(平成23年1月14日政令第2号)時に、旧第32条第4項として発効した。
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