受信料と中立性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 00:57 UTC 版)
テレビ受像機所有者から徴収する受信料制度である。もっとも、イギリスでは「TVライセンス制度」を設け、テレビやビデオデッキなどを所有するために許可証を購入するというシステムを採っており、「受信許可料」と呼ぶこともある。視聴者は郵便局で1年間有効の受信許可証を145.50ポンドで買うという仕組みで、この許可証が無いと、イギリスの販売店でテレビ受像機が買えない。BBC受信料は月単位での購入も可能である。収納率は約98%であり、75歳以上は免除される。無許可受信者には法令により、最高1,000ポンドの罰金が課される。 BBC受信料は物価の変動などを考慮して、イギリス政府が決定する。なお、国際放送の財源は、全額が国庫からの交付金。テレビ放送などBBCワールドワイド運営に関しては、視聴料と広告料で運営。この制度により、イギリス政府や企業の力に屈しない公正な放送を行えるとされ(BBC自身もニュースの合間にそのようなCMを流している)、第二次世界大戦やフォークランド紛争中も、イギリス軍を「我が軍」とは呼ばず、アメリカ同時多発テロ事件を「テロ」でなく「攻撃」と報道した。 イギリス首相であったマーガレット・サッチャーが、BBCの放送内容について「お願い」と称して、BBCの報道内容にクレームを付けたが、BBCは逆に「サッチャー首相がBBCについて、この様に申し上げました」と、サッチャーのクレーム内容全てを、番組内で暴露し放送した。 ただし、イギリス軍とアメリカ軍との連合軍によって開始されたイラク戦争を(イギリスの存在を消した)American invasion of Iraq(アメリカのイラク侵攻)と言い換えて報道したり、インドのムンバイ同時多発テロ事件では「テロリズム」と報道したりした点から、その立場は一定ではないと見なされている。 また 、視聴率などの市場経済の流れに影響を受けず、教育放送や福祉放送などが行えるということで、この考えは世界中に広まり、イギリスに倣って『受信料制度』を採用している国も多い(日本のNHKやフィンランドのYLEなど)。 中立性をうたう一方で国際放送については「イギリスの利益を代表し、自国の侵略行為・犯罪を正当化するためのプロパガンダをおこない、イギリス政府の代弁機関と化している」とも批判されている。マレーシアのマハティール・ビン・モハマド元首相は「BBCは生まれつきの嘘吐きである」と批判している。 災害報道については、政府発表前に一切報道しないという原則を持っていると言われている。 2019年12月12日投開票の総選挙を前にして、ボリス・ジョンソン首相は受信料制度の廃止を検討することを表明した。
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