即日帰郷直後の初稿とは? わかりやすく解説

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即日帰郷直後の初稿

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/28 13:33 UTC 版)

サーカス (小説)」の記事における「即日帰郷直後の初稿」の解説

三島由紀夫は、戦時中1945年昭和20年2月10日入隊検査の折に、気管支炎高熱発していたため、新米軍医からラッセル聞こえるとして肺浸潤誤診され即日帰郷となった詳細三島由紀夫#戦時下の青春・大学進学と終戦参照)。父・と共に帰宅した三島は、勤労動員先の群馬県新田郡太田町中島飛行機小泉製作所戻らず工場空襲受けていたという説もあり)、そのまま自宅15日から21日夜まで「サーカス」の初稿執筆した。この原稿表紙には、「2605・2・152・21午後10時40分)」と神武天皇即位紀元日付記された。 大雪だった22日に、三島はこの「サーカス」の原稿持って日本橋河出書房まで行き、『文藝』の編集長野田宇太郎渡したが、「キッス場面」などが時局合わず検閲触れおそれがあるために不採用となった野田宇太郎初稿印象について、「童話風の散文詩のようなのだった」として、「単純で未熟だいかにもまだ青年らしい空想性が強く、これが三島身上のように思った」と回顧している。 三島はこの初稿執筆中、友人三谷信宛てに、〈エロテイクな個所が多いが、さういふ処をなるたけ濃厚に、しかもペタンテイツクに、壮重に勿体振つて、お上品に、図々しく書かんとする努力精神集中させてゐます〉と伝えている。 この初稿2002年平成14年7月刊行決定版全集第20巻公表されたが、途中いくつか欠損があり断片しかない部分もあるものの、サーカスから逃げた騎手少年綱渡り少女汽車出奔する逃走劇が主体となり、車中での接吻場面など2人の関係が具体的に描かれている。逃亡少年父親伯爵旧領地のある〈笹戸〉駅に向かう筋立てとなっており、2人出奔後にサーカス火事になり天幕燃え崩れ、炎が人々の上落ちて象や馬が燃え描写もある。なお、創作ノートには、起稿日の翌日2月16日戦闘機が1,000機も来襲したこと(日本本土空襲)が記されている。 三島終戦後1946年昭和21年)夏に、「サーカス初稿を含む未刊行の短編刊行したいという思いの元で、以下のような跋文書いている(未刊短編集刊行されずに、跋文未発表のもの)。 「サーカス」――昭和廿年二月。私の頭には当然来る筈の夜間空襲の幻があつたのであらう。それは語らない明しにすぎぬだらうか。しかし確実な予感が、しばしば物語律調作者意識しない動悸を伝へてくることがある。そのころ末世といふ古い思想が、動物的な温味を帯びて私の心に甦つてゐた。 — 三島由紀夫「跋に代へて」(未刊短編集しかしながら、この初稿では少年と少女悲劇的な死は描かれておらず、少年父親旧領地へ向かう車中での〈汽笛号泣した。……〉という文言終っている。

※この「即日帰郷直後の初稿」の解説は、「サーカス (小説)」の解説の一部です。
「即日帰郷直後の初稿」を含む「サーカス (小説)」の記事については、「サーカス (小説)」の概要を参照ください。

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