劇中劇の構造とは? わかりやすく解説

劇中劇の構造

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 03:53 UTC 版)

劇中劇」の記事における「劇中劇の構造」の解説

劇中劇作例としては、ウィリアム・シェイクスピア作品のうち『真夏の夜の夢』『恋の骨折り損『ハムレット』など、また写実演劇確立される端緒となったアントン・チェーホフの『かもめ』などが挙げられる例えば『真夏の夜の夢』では6人の職工公爵結婚式余興で『若きピラマスとその恋人シスビーの冗漫にして簡潔な一場悲劇的滑稽劇』なる芝居練習して演じている。また『かもめ』においては新しい形式の芸術志向する作家志望青年による野心作としてデカダン風の劇中劇演じられ、その上演が不様失敗する様子描き出されている。 作中作になると、作例古くまで遡るインド古代叙事詩『マハーバーラタ』ラーマヤナ』では登場人物たちがまったく別の物語を語るエピソード頻出し物語のはっきりとした入れ子構造現れている。また『千夜一夜物語(アラビアンナイト)』もシェヘラザード姫が『シンドバッドの冒険』や『アリババと40人の盗賊』などの物語を語る作中作典型である。チョーサーの『カンタベリー物語』では巡礼宿に同宿した人間たち順番物語を語る、という体裁をとっており物語入れ子構造見られるこうした構造外側物語を「枠物語」と呼ぶことがあるドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』における「大審問官」なども作中作の例として挙げられるロシア舞台とするこの物語の中で、登場人物一人が「キリストスペインの異端審問官が対決する話」を語っている。しかし、作中作は定義次第範囲大きく変化する。あるフィクションの中で登場人物起承転結のある噂話をしたという程度でも作中作認めると、広範な範囲文芸作品該当してしまう。 従って、上記の「入れ子構造」がはっきりしたものを作中作とするのが無難であると考えられる。すなわち、演劇の中の演劇テレビ番組の中のテレビ番組映画の中の映画小説の中の小説など枠物語作中作ジャンル形式一致しているものに限るのであるこうした入れ子構造は、読者持っている物語への距離感ゆさぶりをかけて、フィクションフィクションとして意識させるための技法考えられている。 映画ミュージカルでは「裏舞台もの」という分野があり、ミュージシャン俳優などの舞台裏描かれるのだが、俳優監督主要人物場合はほぼ必然的に劇中劇出てくることになる。こうした例としてはミュージカルの『雨に唄えば』『コーラスライン』やミュージカル・コメディの『プロデューサーズ』(メル・ブルックス)、フランソワ・トリュフォー監督映画アメリカの夜』などがあげられるまた、物語の終わらせ方の技法として、「それまで出来事が実は登場人物らにより演じられていた演劇であることが物語終盤になってから判明する」というものがある。劇オチ演劇オチ劇中劇オチ)と呼ばれ、これも劇中劇形式考えられる類似する技法夢オチがある)。例としてはラスト本編丸ごと作中世界における宣伝映画だと判明する映画スターシップ・トゥルーパーズ』など。 物語の「入れ子構造」が多層化されることもある。3層なら劇中劇中劇/作中作中作であるが、もっと深い構造になる場合もある。『千夜一夜物語』はシェヘラザード姫が自分殺そうとしているシャーリアール王に様々な物語語って聞かせる枠物語であるが、シェヘラザード姫の物語の中登場人物命乞い物語語り始め、その中の物語の登場人物命乞い物語語り始めるといった具合作中作が多い箇所7層ほどに多層化されている。また、井上ひさし珍訳聖書』では劇オチ連鎖させて5層ほどに劇中劇多層化している。 作中登場した架空の作品実際に作ってしまうこともある。フィリップ・ホセ・ファーマーは、カート・ヴォネガット複数自作登場させた架空作家キルゴア・トラウト執筆したとされる貝殻の上ヴィーナス』を実際に創作して出版している。有川浩は、自作『図書館戦争』シリーズ内に登場させた架空小説レインツリーの国』を、その後実際に執筆している。

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