前史 - 十銭ストア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 18:54 UTC 版)
「100円ショップ」の記事における「前史 - 十銭ストア」の解説
現在の100円ショップに近い業態を営んだ戦前の例として、髙島屋が全国に展開した「十銭ストア(テンせんストア)」が挙げられる。アメリカの「10セントストア」を参考にしたものとされる。 1926年(大正15年)に大阪・長堀店に「なんでも十銭均一売場」を設置したのを皮切りに、1930年(昭和5年)には難波南海店に「髙島屋十銭ストア」を開業した。その後1932年(昭和7年)にかけて独立型の店舗50店を大阪・京都・名古屋・東京周辺に展開し、大好評を博したという。 「十銭ストア」の取り扱い商品は「日常家庭生活に必要なものはほとんど全部」に及んだ。商品調達にあたっては均一店専門の納入業者を開拓、生産者との直接取引を導入するとともに、生産者への指導・援助も行い、均一店向けの商品開発や商品の標準化にも積極的に関与したという。 「髙島屋十銭ストア」の成功は他業種の価格破壊に影響を与えたとみられ、作家の織田作之助は小説『世相』において、「テンセン(十銭)という言葉が流行して、.mw-parser-output ruby.large{font-size:250%}.mw-parser-output ruby.large>rt,.mw-parser-output ruby.large>rtc{font-size:.3em}.mw-parser-output ruby>rt,.mw-parser-output ruby>rtc{font-feature-settings:"ruby"1}.mw-parser-output ruby.yomigana>rt{font-feature-settings:"ruby"0}十(テン)銭寿司、十(テン)銭ランチ、十銭マーケット、十銭博奕、十銭漫才、活動小屋も割引時間は十銭で、ニュース館も十銭均一、十銭で買え、十銭で食べ十銭で見られるものなら猫も杓子も飛びついた」と描写している。消費者物価指数でみた場合、1935年時点の10銭は2011年の180円程度に相当する(1935年を1とした場合、概算で2011年は1,800前後)。 のち「髙島屋十銭ストア」は1932年(昭和7年)に「髙島屋十銭二十銭ストア」、1937年(昭和12年)に「髙島屋十銭二十銭五十銭ストア」へ改称した。 1937年(昭和12年)に施行された百貨店法によって規制が強まると、髙島屋は均一店事業を本社から切り離して「株式会社丸高均一店」を設立。1941年(昭和16年)には全国に100店を超えるチェーンを築いたが、その後の太平洋戦争により経営基盤を奪われ実質的な廃業に至った。なお、残存したいくつかの店舗は1952年(昭和27年)に「株式会社丸高」のストア部門(後に「髙島屋ストア」)として再出発し、2003年(平成15年)にはイズミヤに買収され、商号を「カナート」へと変えて現在に至っているが、戦後のこれら店舗はいわゆる100円ショップの業態をとってはいない。
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