分布と含有量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 02:46 UTC 版)
エリタデニン含有量 (Dry mg%)キノコ種含有量シイタケ 40-70 140 マッシュルーム 0.7 シメジ 0 キクラゲ 0 エノキタケ 0 ナメコ 0 シバフタケ 70 セイヨウタマゴタケ 60 文献1 文献2 キノコ類のエリタデニン含有量を調査した結果は右表の通りとなる。シイタケ中のエリタデニン含量は、傘の部分で60 - 70 mg%(乾燥重量)で、柄の部分の40 mg%より多く、同一の子実体の中でも、傘と柄の部位による局在性がある。乾物あたりの含有量に換算した場合、干しシイタケと生シイタケでは含有量に差は無い。また、シイタケには成長段階によって、肉厚で傘が開ききっていない冬菇(どんこ)と、薄手でかさが開いている香蕈(こうしん)の区分があり流通している。エリタデニンの量は冬菇と香蕈で大きな差は無いが、血漿コレステロール低下作用では、冬菇の方が香蕈よりも活性が強い。これにはエリタデニンの効果以外に、他の成分の相互作用が影響を及ぼしているものと推定される。 栽培条件による差異としては、原木栽培されたシイタケにおいて、同一のほだ木から発生した発生2回目の子実体と3回目の子実体では、2回目発生のものより3回目発生のものの方がエリタデニン含量が顕著に上昇する。生育条件では、湿度による含量の差は見られないが、温度は10 - 30℃の範囲で温度が高くなるほどエリタデニン含量が多くなる傾向が見られる。また、収穫後すぐに乾燥させたものより,1日置いてから乾燥させたものの方が含量が多くなる傾向が見られるが、保存中の期間や温度による変化は小さい。最もエリタデニン含量が多いのは新鮮な子実体の収穫直後の状態で、国産品と輸入品では国産品の方が含有量が高い。 調理法では、エリタデニンは比較的熱に安定であり、グリル、ボイル、揚げ物、電子レンジ加熱のような伝統的な調理法はいずれも含有量に影響がない。寒天による成形やアルギン酸塩による球状化(人口イクラ)などの新しい調理プロセスもエリタデニン量を減少させない。また、シイタケからエリタデニンを抽出する場合、メタノール抽出する前に加水分解酵素で細胞壁を破壊することによって回収量がわずかに上昇する。 一方、シイタケの品種による含有量には違いがあり、干しシイタケ銘柄のうち「黒子」はエリタデニン含量がやや多いとの報告がある。また、複数の異なるシイタケ野性株を調べた文献によると、エリタデニン含量が他のシイタケ系統よりも10倍高いレベルの品種も見つかっている。さらには、よりエリタデニンを多く含有する品種の開発を目的として、シイタケ栽培品種、野生品種の中からエリタデニンを比較的多く含む菌株を選定し、それらの間で集団交配してエリタデニン高含有菌を選抜する試みもなされている。選抜されたエリタデニン高含有シイタケは、ラットの血漿コレステロール濃度を用量依存的に低下させ、食餌添加の最少有効濃度は0.05%であったと報告されている。これらのエリタデニン高含有品種の利用は、食品レベルでの摂取量でも十分に血漿コレステロール低下作用に効果を発現する可能性を示している。
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