公海自由の原則
【英】: principle of the freedom of the high seas
公海がどの国の主権の下にも置かれることなく、沿岸国であるか内陸国であるかを問わず、すべての国の自由な使用に開放されることをいう。 近世初頭にスペインとポルトガルが海洋の領有を主張して他国船の通航を禁止したのに対抗して、英国やオランダが海洋の自由を主張して闘い、17 世紀以来確立した原則となった。公海使用の自由の代表的なものに、航行の自由、上空飛行の自由、海底電線・パイプラインを敷設する自由、人工島その他の設備を建設する自由、漁獲の自由、科学的調査の自由などがある。なお、これまでは領海の外側を公海としてきたが(公海条約)、国連海洋法条約では排他的経済水域の外側を公海とするように修正された。しかし、排他的経済水域において、すべての国は、航行と上空飛行の自由、海底電線・パイプライン敷設の自由、並びに、これらの自由に関連する他の国際的に適法な使用の自由を享受することになっている。さらに、排他的経済水域の制度と両立するかぎり、公海に関する国際法規もこの水域に適用される。なお、領海の基線から 200 海里を超えて延びる大陸棚の上部水域、および、深海底の上部水域も、公海としてこの原則の適用を受ける。 |
海洋の自由
(公海自由の原則 から転送)
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海洋の自由(かいようのじゆう)とは、公海がどの国家の支配下にもなく、全ての国家に開放されているとする国際法上の原則であり、公海の自由ともいわれる[1]。1609年に刊行されたフーゴー・グローティウス著『自由海論』の中で説かれた理論に起源を持ち、19世紀以降国際法上の原則として確立したものである[1][2]。この自由のなかには、国家の支配が禁止されるとする「帰属からの自由」という側面と、国際法上の条件に従えば全ての国家が自由に利用できるとする「使用の自由」という2つの側面がある[3][4]。
- ^ a b c d 「海洋の自由」、『国際法辞典』、47頁。
- ^ a b c 山本(2003)、338-340頁。
- ^ a b c d e f g 杉原(2008)、138-139頁。
- ^ a b c d e f g h 山本(2003)、419-421頁。
- ^ 柳原(2000)、109-112頁。
- ^ 高林(1981)、301-306頁。
- ^ 柳原(2000)、116-119頁。
- ^ a b c 杉原(2008)、121-123頁。
- ^ a b c 山本(2003)、340-344頁。
- ^ 「公海に関する条約」、『国際法辞典』、85-86頁。
- ^ a b 柳原(2000)、124-125頁。
- ^ a b 望月(2016)、122-123頁。
- ^ 稲葉義泰 (2021年4月23日). “米「航行の自由作戦」対馬海峡での対象国は日本…なぜ? 同盟国相手でも実施するワケ”. 乗りものニュース. 2021年4月29日閲覧。
- ^ 望月(2016)、124頁。
- ^ U.S. Department of Defense. Freedom of Navigation (FON) Report for Fiscal Year (FY) 2016 .
- ^ “中国含め22カ国・地域対象/米軍「航行の自由」作戦”. 産経新聞ニュースサイト掲載の共同通信配信記事. (2017年3月7日)
- ^ 「米、海路の安全注視/航行の自由作戦 対象国増加/アジア周辺に重点」『読売新聞』朝刊2017年3月20日(国際面)
- ^ Bonnie(2012), pp.3-4.
- ^ “米「航行の自由作戦」中国政府が強く反発”. テレビ朝日ニュース. (2017年5月31日)
- ^ 露「口先だけ」と揶揄『産経新聞』朝刊2018年12月7日(国際面)2018年12月11日閲覧。
- ^ “英国、南シナ海に空母派遣の可能性 中国反発” (2017年7月29日). 2018年10月11日閲覧。
- ^ “英、加速する「脱欧入亜」 中国・北朝鮮の脅威に対抗、EU離脱控えアジア接近”. 産経デジタル (2018年9月20日). 2018年10月11日閲覧。
- ^ “南シナ海でフランスが軍事プレゼンス強化、中国に対抗”. フランス通信社 (2018年6月15日). 2018年10月11日閲覧。
- ^ 日本版「航行の自由作戦」海自護衛艦、南シナ海で/中国けん制、昨春から複数回『読売新聞』朝刊2022年1月11日1面
- 1 海洋の自由とは
- 2 海洋の自由の概要
- 3 「航行の自由」作戦
- 4 出典
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