傑作推理劇場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/29 07:07 UTC 版)
『傑作推理劇場』(けっさくすいりげきじょう)は、1980年から1982年にテレビ朝日系列で放送されたテレビ番組である。
概要
1980年開催のモスクワオリンピック日本不参加を受け、中継を予定していたテレビ朝日が、空いた放送枠の代わりとなる企画を検討、推理作家の松本清張が代表取締役を務めていた会社「霧プロダクション」に、松本清張作品のシリーズ放送を打診した。テレビ朝日と霧プロダクションの交渉の結果、エラリー・クイーン編『日本傑作推理12選』(カッパ・ノベルス・光文社文庫)をドラマ化することに決定した。同番組を企画したテレビ朝日編成開発部の高橋浩は、霧プロダクションとは関係なく、『日本傑作推理12選』を自身が読んで番組を立ち上げたと話している[1]。
松本清張と対談し、親交のあったアメリカの推理作家エラリー・クイーン(フレデリック・ダネイ。マンフレッド・ベニントン・リーは1971年に死去)が番組の冒頭に登場、前説を述べる趣向とし、クイーン原作作品も制作された(演者は日本人)。
記念すべき第1回作品である「駆ける男」は同年7月19日の土曜ワイド劇場枠で放送された。
放送時間は22:00-22:54。同時間帯の番組の中で高視聴率を記録し、翌年新たに11本が制作・放送された(放送時間は22:30-23:24)[2]。 1982年は『春の傑作推理劇場』のタイトルで放送された(放送時間は毎週木曜日の21:00-21:54)[3]。
放送リスト
- 備考欄の「○」は2024年3月29日に発売されたDVD『傑作推理劇場ベストセレクション Vol.1<HDリマスター版>』に収録された作品[4]、「●」は2024年12月25日に発売されたDVD『傑作推理劇場ベストセレクション Vol.2<HDリマスター版>』に収録された作品である。
回数 | 放送日 | タイトル | 主演 | 原作 | 脚本 | 監督 | 制作 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0 | 1980年7月19日 | 駆ける男 | 山城新伍 | 松本清張 『駆ける男』 |
池田雄一 | 水川淳三 | テレビ朝日 松竹株式会社 |
○ |
1 | 1980年7月21日 | 魔少年 | 松尾嘉代 | 森村誠一 『魔少年』 |
神波史男 | 佐藤肇 | テレビ朝日 東映 |
|
2 | 1980年7月22日 | 断崖からの声 | 酒井和歌子 | 夏樹静子 『断崖からの声』 |
ジェームス・三木 | 番匠義彰 | テレビ朝日 松竹株式会社 |
○ |
3 | 1980年7月23日 | 殺意 | 坂口良子 | 高木彬光 『殺意』 |
播磨幸児 | 野田幸男 | テレビ朝日 東映 |
|
4 | 1980年7月24日 | 尊属殺人事件 | 浅茅陽子 | 和久峻三 『尊属殺人事件』 |
本田英郎 | 千野皓司 | ||
5 | 1980年7月25日 | 殺人志願 | 山本圭 | 西村京太郎 『柴田巡査の奇妙なアルバイト』 |
宮川一郎 | 渡邊祐介 | テレビ朝日 松竹株式会社 |
○ |
6 | 1980年7月28日 | 海からの招待状 | 夏木陽介 | 笹沢左保 『海からの招待状』 |
中西隆三 | 小野田嘉幹 | テレビ朝日 三船プロダクション |
|
7 | 1980年7月29日 | 消えた男 | 緒形拳 | 土屋隆夫 『加えて、消した』 |
服部佳 | 堀川弘通 | テレビ朝日 東映 |
|
8 | 1980年7月30日 | 艶やかな罠 | 江守徹 | 多岐川恭 『落ちる』 |
大野靖子 | 神代辰巳 | テレビ朝日 三船プロダクション |
|
9 | 1980年7月31日 | 愛の逃亡者 -五島・福江行- | 田村高廣 | 石沢英太郎 『五島・福江行』 |
長谷川公之 | 長谷和夫 | テレビ朝日 松竹株式会社 |
○ |
10 | 1980年8月1日 | 猫屋敷殺人事件 | 小川真由美 | エラリー・クイーン 『七匹の黒猫の冒険』 |
吉田剛 | 井上昭 | ||
11 | 1980年12月18日 | 妻の証言 | 高橋悦史 | 佐野洋 『肉親の証言』 |
大津皓一 | 広瀬襄 | ○ | |
12 | 1980年12月25日 | 神獣の爪 | 関口宏 | 陳舜臣 『神獣の爪』 |
櫻井康裕 | 鈴木清順 | テレビ朝日 三船プロダクション |
|
13 | 1981年8月10日 | 百円硬貨 | いしだあゆみ | 松本清張 『百円硬貨』 |
橋本綾 | 野田幸男 | テレビ朝日 東映 |
|
14 | 1981年8月11日 | 雪の蛍 | 大空真弓 | 森村誠一 『雪の蛍』 |
服部佳 | 浦山桐郎 | ||
15 | 1981年8月12日 | 暗い穴の底で | 近藤正臣 | 菊村到 『暗い穴の底で』 |
長坂秀佳 | 天野利彦 | ||
16 | 1981年8月13日 | くじ運の悪い男 | 田村高廣 | 土屋隆夫 『くじ運の悪い男』 |
ジェームス三木 | 番匠義彰 | テレビ朝日 松竹株式会社 |
○ |
17 | 1981年8月14日 | お迎え火 | 藤田まこと | 山村正夫 『お迎え火』 |
野上龍雄 | 工藤栄一 | 朝日放送 松竹株式会社 | |
18 | 1981年8月17日 | 死ぬより辛い | 秋野暢子 | 夏樹静子 『死ぬより辛い』 |
池田悦子 | 佐藤肇 | テレビ朝日 東映 |
|
19 | 1981年8月18日 | 消えた献本 | 酒井和歌子 | 石沢英太郎 『献本』 |
山川智津子 | 堀川弘通 | テレビ朝日 三船プロダクション |
|
20 | 1981年8月19日 | 砂の密室 | 市原悦子 | 宮原昭夫 『若葉照る』 |
吉田剛 | 瀬川昌治 | テレビ朝日 松竹株式会社 |
|
21 | 1981年8月20日 | 善の研究 | 笠智衆 | 赤川次郎 『善の研究』 |
宮川一郎 | 貞永方久 | ○ | |
22 | 1981年8月21日 | 異人館の遺言書 | フランキー堺 | 和久峻三 『異人館の遺言書』 |
高橋稔 | 小野田嘉幹 | テレビ朝日 東映 |
|
23 | 1981年8月24日 | ガラスの階段 | 江藤潤 | 三好徹 『ガラスの階段 特捜検事』 |
播磨幸兒 | 山根成之 | テレビ朝日 松竹株式会社 |
● |
24 | 1982年1月28日 | ラスト・チャンス | 原田芳雄 | 草野唯雄 『ラスト・チャンス』 |
松田寛夫 | 小澤啓一 | テレビ朝日 東映 |
|
25 | 1982年2月4日 | 殺意のブランコ | 高松英郎 | 都筑道夫 『風に揺れるぶらんこ』 |
野波静雄 | 長谷部安春 | テレビ朝日 三船プロダクション |
|
26 | 1982年2月11日 | ステレオ殺人事件 | 秋吉久美子 | 森村誠一 『ステレオ殺人事件』 |
掛札昌裕 | 小山幹夫 | テレビ朝日 東映 |
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27 | 1982年2月18日 | ひねくれた殺人 | 田村正和 | 海渡英祐 『ひねくれた花』 |
ジェームス三木 | 番匠義彰 | テレビ朝日 松竹株式会社 |
● |
28 | 1982年2月25日 | 黒い館の女 | 松坂慶子 | 小林久三 『見知らぬ夫』 |
佐藤繁子 | 深作欣二 | ||
29 | 1982年3月4日 1982年3月11日 |
嫉妬 | 藤本義一 『嫉妬』 |
池田雄一 | 降旗康男 | |||
30 | 1982年3月18日 | 薄化粧の男 | 岡田茉莉子 | 松本清張 『薄化粧の男』 |
吉田剛 | 田中登 | ||
31 | 1982年3月25日 | 妻よ、安らかに眠れ | 愛川欽也 | 菊村到 『妻よ安らかに…』 |
山田正弘 | 渡邊祐介 | テレビ朝日 東映 |
|
32 | 1982年4月8日 | その犬の名はリリー | 酒井和歌子 | 石沢英太郎 『その犬の名はリリー』 |
宮川一郎 | 野村孝 | テレビ朝日 松竹株式会社 |
● |
33 | 1982年4月15日 | 不安な階段 | 浜木綿子 | 夏樹静子 『階段』 |
岡本克己 | 野田幸男 | テレビ朝日 東映 |
脚注・出典
- ^ 高橋浩『視聴率15%を保証します! あのヒット番組を生んだ「発想法」と「仕事術」』第3章 スピルバーグから始まった『土曜ワイド劇場』の立ち上げ pp.112 - 114(小学館新書 2014年)
- ^ 林悦子『松本清張映像の世界 霧にかけた夢』(2001年、ワイズ出版) 38-39頁参照。
- ^ 『テレビドラマ全史』(東京ニュース通信社)382-383頁参照
- ^ “Amazon|傑作推理劇場ベストセレクション Vol.1<HDリマスター版>【ベストフィールド創立20周年記念企画 第12弾 昭和の名作ライブラリー 第131集】 [DVD] -TVドラマ”. Amazon.co.jp. 2024年4月4日閲覧。
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