伊予の遍路道
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 04:44 UTC 版)
菩提の道場(愛南町から40番観自在寺乃至65番三角寺および徳島県三好市まで) 松尾峠を下っていくと愛南町一本松である。ここから国道56号に沿って歩いても40番観自在寺に行けるが、愛媛県道299号一本松城辺線を進み僧都川沿いに歩くのが一般的である。 40番観自在寺を出るとしばらくは国道56号を歩く。愛南町柏からハイキングコースにもなっている柏坂越えの旧道がある。そのまま国道を進んでもよい。両道は宇和島市津島町上畑地で合流する。その後は宇和島まで国道沿いを進むが、松尾トンネルを避け松尾峠の旧道を行く遍路道が地元の人々によって復元されている。北宇和島駅の先で愛媛県道57号広見三間宇和島線に入り窓峠を上る。務田駅付近から北上すると41番龍光寺である。 41番龍光寺の墓地を上がっていくと裏山を越える遍路道があり、愛媛県道31号宇和三間線に出る。2km程で42番佛木寺がある。さらに県道を進み松山自動車道の工事現場付近から旧道がある。いったん県道に合流した後、歯長峠遍路道に入る。初めの少しの区間は鎖場があるほどの急坂である。峠を下ると肘川を渡り愛媛県道29号宇和野村線に出る。松山自動車道西予宇和ICを過ぎて宇和高校の先から山を登っていくと43番明石寺である。 次の44番大寶寺までは70km近い距離がある。内子町までは国道56号に沿っているが、ところどころ旧道があり、鳥坂トンネルの手前から鳥坂峠を越える遍路道もある。五十崎駅付近より黒内坊遍路道を進み内子駅の裏に出る。八日市の町並み保存地区を過ぎ道の駅内子フレッシュパークからりから国道379号に入るが、少し北に進んで水戸森峠を越えて国道379号へ出るのもよい。突合(つきあわせ)からは2つの経路がある。1つは国道379号で北上し落合から愛媛県道42号久万中山線に入り下坂場峠遍路道を経て宮成へ出て、鴇田峠遍路道を越え国道33号に入る行程。もう1つは国道380号線で西に進み旧小田町の市街地と、その先の父二峰を経て農祖峠を越て国道33号に入る行程である。父二峰からさらに東進し美川を経て45番岩屋寺を先に回る場合もある。 44番大寶寺から峠御堂(とうのみどう)峠遍路道を越えると愛媛県道12号西条久万線に出る。途中から山道に入り45番岩屋寺まであと2800mのところから八丁坂があるが、厳しい道なので古岩屋を経て岩屋寺入り口まで県道を歩くことも多いが、昔の人は岩屋寺が霊場中最も修行に適した場所であるから参道は俗界の道を行かず峻険な修行道として大師宝号を唱えながら登った。 46番浄瑠璃寺に行くには国道33号まで戻ることになる。県道12号の河合から高野を経て仰西に至る千本峠遍路道があるが、夏場は草が繁茂し通行に支障があるので峠御堂トンネルを通って久万に戻る場合が多い。国道を三坂峠まで進み三坂峠遍路道に入る。この道は旧街道でところどころ石畳が残る。桜集落より舗装道となり46番浄瑠璃寺に至る。この先は当分市街地の中を歩くことになる。47番八坂寺、48番西林寺、49番浄土寺、50番繁多寺、51番石手寺と札所間距離が短いのでそれぞれ10分から50分程度で次の札所に着く。 51番石手寺から52番太山寺へは道後温泉を経て松山市街地の北側を歩くのが最短距離である。御幸町から北上し鴨川を過ぎて西へ進むと田が広がる。予讃線の踏切を過ぎ、小高い山の麓を回り込むとやがて52番太山寺の一の門が見える。引き返して53番円明寺へは愛媛県道183号辰巳伊予和気停車場線でほぼ一直線である。 54番延命寺まで34km余り、堀江港入り口を過ぎると響灘に沿った県道を北条の市街地まで行く。ここから国道196号に入ってもよいが、立岩川から浅海駅付近まで腰折山麓の旧道を歩くのが一般的である。瓦工場が並ぶ今治市菊間を過ぎ、大西駅付近から西進するとまもなく54番延命寺である。 今治市内には札所が点在し4か寺は札所間が3km前後で、それぞれほぼ一時間で着く。55番南光坊、56番泰山寺は市街地にあるが57番栄福寺のあたりは田が続き、58番仙遊寺は作礼山 (281m) の山上にある。遍路道で山を下り、また少しずつ家並みが多くなり伊予富田駅手前で突き当たる愛媛県道156号桜井山路線を東に進むと59番国分寺である。 山岳寺院の60番横峰寺までは27kmある。登山口までの25.4kmはほとんど国道や県道などの舗装道路を歩く。最後の山道1.6kmは整備されているが厳しい登りが続き、所要1時間程度である。61番香園寺への下りは1km余り砂利道の林道を進み、山道に入る。一部急坂の部分があるが道も標識も整備されていて歩きやすい。山道部分6.4kmの下りには所要2時間程度。山を下った西条市にある3か寺の間はそれぞれ1km余りで所要20分足らずで歩ける。62番宝寿寺も63番吉祥寺も国道11号沿いにある。64番前神寺へは旧道で3.4 km。近くには湯之谷温泉があり、宿泊も日帰り入浴もできる。 65番三角寺までは約45km、途中の伊予三島駅近くまで国道11号が通っていてそちらが最短距離ではあるが、新居浜市東端の一部の区間を除き遍路道や旧道が沿っていてこちらのほうが歩きやすい。三島から南方向に進むが、松山自動車道の高架を潜って銅山川発電所の先から遍路道を進む。 65番三角寺を出ると、蛇行した緩い下り坂が続く、平山で愛媛県道・高知県道5号川之江大豊線と交差、さらに高知自動車道の高架を潜ってしばらく行くと国道192号に合流するので雲辺寺登山口まで進む。徳島自動車道の高架下から急な登山道を約3km上ると林道に合流する。国道の途中境目トンネルが徳島県との県境である。トンネルの手前の七田から境目峠を越える旧道がある。また、七田からは曼陀峠を越える遍路道もあり、徳島・香川の県境を通る林道に接続して66番雲辺寺に至ることもできる。
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