代表的なエレクトリックピアノ
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「エレクトリックピアノ」の記事における「代表的なエレクトリックピアノ」の解説
ローズ・ピアノ (フェンダーローズ・ピアノ) トーンジェネレータと呼ばれる片持ち梁状の金属片をハンマーで叩き、その振動で近傍のバーという一種の音叉のような共鳴体が共振することで、鋭い打撃音と長く伸びる減衰音から鳴る独特の音色を発音する。生の音は正弦波に近い特徴有る澄んだ、なおかつアタックの強い音を発生するが、ピアノに内蔵のトーンコントロールの調整や、アンプをオーバードライブ気味に歪ませた時の低音のうなるような力強い音は独特な印象を与える。1970年代以降独特の音が認知され、エレクトリックピアノを代表する楽器となる。 ウーリッツァーピアノ リード(振動板)を叩く構造。ローズと比べてピアノに近いアクションを持ち、スピーカーを内蔵しているが、ローズより軽量。1960年代後半から1970年代中盤にかけて広く使われた。カーペンターズ、スモール・フェイセス、スーパートランプ、ダニー・ハサウェイなどで有名な他、クイーンの「マイ・ベスト・フレンド」でも演奏されている。 RMIエレクトラピアノ 電子発振式の為、正確には初期のエレクトロニックピアノの範疇に入る。1960年代後半から1970年代前半にかけて、同様の目的でロックやジャズで幅広く用いられた楽器。CRUMARなど、様々な電子オルガンメーカーが同様の楽器を生産した。 ホーナー・エレクトラピアノ アップライトピアノのようなボディに、ウーリッツァーに似たアクションとローズに似たリードを装備する。レッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズが愛用した。非常に稀少なもの。大音量のロックバンドで演奏するには些か繊細に過ぎる音色であったため、ジョーンズはツアーにはローズ・ピアノを持ち出した。 ホーナー・ピアネット 調律された金属片を、鍵盤に取り付けられたゴム製の吸盤で吸い上げ、金属片が反発力で離れて振動し、発音する。多少の強弱を付けて演奏する事が可能。ビートルズやゾンビーズ、ジェネシスなど、1960年代後半から1970年代前半には広く使われた。1970年代末にはクラビネットに組み込まれた。 ホーナー・クラビネット ホーナー・チェンバレット(金属片を鍵盤に取り付けられたゴム製のプレクトラムで弾いて発音)が少数生産に終わった後、開発された楽器。ピアノの祖先であるクラヴィコードの機構を簡略化し、マグネティックピックアップを取り付けたもの。タンジェントが弦を突き上げるクラヴィコードと異なり、鍵盤裏に取り付けられた突起が弦を金属製フレームに叩き付けて発音する。ギター的なプレイに向いており、ソウル、ファンク、ロックで幅広く使われた。 コロムビア・エレピアン リード(振動板)を、通常のフェルトハンマーで叩く構造。元祖フェンダーローズにも似た音色を発する。 アンプ部にはイヤフォン出力があり、演奏音のリスナーを演奏者自身に限定できるという、今日のヤマハ・サイレントピアノのさきがけのような機能も備えていた。 この点を評価したものかどうかは不明であるが、当時の雑誌広告によれば、ルドルフ・ゼルキンが1964年に来日した際、エレピアンに触れて「グッド・アイデア!」と連発したという昭和之雜誌廣告・ナツカシモノ。 また、アンプ部には外部音声入力も備えられており、アンプ内蔵スピーカーとして使うことができたほか、演奏音と外部音声をミキシングすることもできた。 後には「電子ピアノ」に移行した。現在同社は電子楽器製造からは撤退している。 ヤマハCP-70、CP-80 実際に張弦構造を持ち、ハンマーで打弦した振動をピエゾ(圧電式)ピックアップで検出する。CP-70、80は2つに分解することが可能で、運搬・マイキングが容易かつリアルな音の得られるグランドピアノとして開発されたが、その音色は今までにない独特なものとなり、人気を得ることとなった。ローズはヤマハDX7などに駆逐されたが、この楽器の音はシンセでは再現しにくい物だった為、1980年代後半までよく使われた。
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