RMIエレクトラピアノとは? わかりやすく解説

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RMIエレクトラピアノ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/06/11 15:59 UTC 版)

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RMIエレクトラピアノ (RMI Electra-piano and Harpsichord) は、エレクトロニックピアノ(電子ピアノ)の一種である。

概要

RMI 368Xエレクトラピアノ
音色作りに使用するタブレット

1960年代にアレン・オルガン・カンパニー (Allen Organ Company) が設立したブランド、ロッキーマウント・インストゥルメンツ (Rocky Mount Instruments) が発表したエレクトロニックピアノで、モデル100「ロキシコード(Rock-Si-Chord)」の発展改良型である。電子オルガンと同様にタブレットと呼ばれるスイッチで電子音を混ぜ合わせて音色を生成する。"PIANO"、"PIANO PP"、"HARPSI"、"HARPSI PP"、"LUTE"(PPはピアニッシモの意味)のほか、音色の減衰を伸ばす(電圧やコンディションによって音の伸び方は変わる)"ORGAN MODE"、パキパキとしたアタックノイズを付加する"ACCENTER"のタブレットを装備する。最初に登場したのはモデル300と呼ばれるもので、木製の天板と61鍵の鍵盤を装備していた。トレモロを装備する300B、鍵盤数を7鍵追加した368、天板を軽く丈夫な樹脂製とした368Xといったバリエーションがあり、それぞれスピーカーを内蔵した400シリーズとしても作られた。この楽器は「ピアノ」というよりも「音が減衰する電子オルガン」と言ったほうがふさわしく、タッチの強弱による音量や音色の変化は起こらない。しかしながら、当時の機材としては軽量であったこと、チープながらも暖かくローズ・ピアノよりはグランドピアノに似た音色や切れのいいハープシコードサウンドが人気を博し、ジョン・ロード(ディープ・パープル)、トニー・バンクス(ジェネシス)、リック・ウェイクマン(イエス)を筆頭に1970年代中盤までは広く使われた。ジョン・ロードは自分のハモンドC-3に内蔵したほどである。マイルス・デイヴィスも初期の電化バンドで使用しており、ワイト島のライブ映像で確認できる。スパークスのロン・メイルは1970年代を通じてエレクトラピアノをほぼ唯一の使用楽器として愛用した。

機種一覧

300シリーズ:生産された殆どのエレクトラピアノはここに属する。現在ビンテージ市場で見かける楽器の殆どは368Xまたは368で、ごく稀に300Aや300Bも見られる。

  • 300A (1967-1969): 青い天板が目を引く最初のモデル。鍵盤はF0-F5の61鍵。スティーヴ・ウィンウッドらにより広く使われた。
  • 300B (1969-1972): 天板のレザーは黒に変更され、タブレット右側にボリュームスライダーが増設。後期型は"warbler"というビブラート回路も搭載。
  • 368 (1972-1974): 鍵盤数をF0-C6の68鍵に増加。低音成分のカット/ブーストのスライダーをタブレット左側に増設。
  • 368X (1974-1980): 天板を木製から樹脂製に変更。天板を開けた際に以前のモデルと違い、コントロールパネルが鍵盤側に残る構造に。最も多く生産された。
  • 68D (1980): 最終型。タッチ・レスポンスが初めて搭載された。生産数は極めて少ない。

400シリーズ:スピーカー内蔵タイプで、家庭用に開発された。非常に希少なモデル。

  • 400 (1970-1971): 300Bのスピーカー内蔵タイプ。非常に生産数は少ない。
  • 468 (1972-1974): 400の68鍵タイプ。

600シリーズ:Electra-piano and Rock-Si-Chordというシリーズで、各鍵盤に8'だけでなく4'の音源も持つ。600A/B、668、668Xというバリエーションがある。668Xはリック・ウェイクマンが1974年から1976年ごろまで使用。

DK-20 (1979-1982): エレクトラピアノの次世代機として開発された。DKはDigital Keyboardの略で、文字通りデジタルオシレーターを採用。タッチ・レスポンスのほかにエンベロープ・ジェネレーター(スライダーでの設定のほか、プリセットからも選択できる)、フェイザー、フィルターを搭載。音色はLUTE、CLAV、PIANO、JAW、FAZOR、TINE各2種から選択、もしくは組み合わせて使用する。専用のペダルにはソステヌートスイッチが追加された。RMIが開発した最後の製品となった。

エレクトラピアノ以前の同種の楽器

  • Explorer (1966-1967): RMIブランド最初の製品。押鍵によって振動するリードが接点と触れ合って発音する独特の機構をもち、マンドリンのようなトレモロ演奏が可能(アコースティック楽器に例えるとマークソフォンが近い)。鍵盤はC1-C5の49鍵。改良型のExplorer IIも作られた。
  • Model 100 Rock-Si-Chord (1966-1967): 各鍵盤に8'と4'の2系統の音源を持ち、ハープシコード再現に特化したもの。オルガンモードなし。鍵盤はC1-C5の49鍵。
  • Model 200 Rock-Si-Chord (1968): 音色数を増やしたもの。後期型はエレクトラピアノと同じ筐体(色はグリーン)になる。

その他のRMIブランドの電子楽器

  • Lark/ Lark II Combo Organ (1968-1970): 37鍵のコンボオルガン。ヴォックス社のジャガーに良く似たオレンジの天板と音色タブレットをもつ。
  • Band Organ/ Calliope/ Calliope B (1966-1969): カリオペ(蒸気オルガン)を電子回路で再現した楽器。Band OrganはRMIブランドで初めて作られた製品。
  • Harmonic Synthesizer (1974-1976): 世界初の実用デジタル・モノフォニックシンセサイザー。2系統の加算合成オシレーターを持ち、周波数変調で複雑な倍音生成も可能である。筐体は368Xと同様のものを使用。
  • Keyboard Computer I/ II (KC I: 1974-1975, KC II: 1975-1982): 世界初のデジタル・サンプリング音源を用いたシンセサイザー。IとIIではインターフェースが大幅に異なるが、筐体は368Xと同様のものを使用。音色プログラムがパンチカードで供給された。

関連項目

外部リンク



RMIエレクトラピアノ

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ジョン・ロード」の記事における「RMIエレクトラピアノ」の解説

初期300Bというモデルで、『マシン・ヘッド』の録音から導入されいくつかの曲でソロを弾くのに使われている。同時期のステージでハモンドオルガン左側置かれた。第3期以降は、前述のようにハモンドオルガン組み込まれた。

※この「RMIエレクトラピアノ」の解説は、「ジョン・ロード」の解説の一部です。
「RMIエレクトラピアノ」を含む「ジョン・ロード」の記事については、「ジョン・ロード」の概要を参照ください。

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