九州新幹線西九州(長崎)ルートについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 18:49 UTC 版)
「長崎本線」の記事における「九州新幹線西九州(長崎)ルートについて」の解説
「九州新幹線 (整備新幹線)#西九州ルートの沿革」および「西九州新幹線#並行在来線の扱い」も参照 現在、九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)が佐世保線の武雄温泉駅から長崎本線の長崎駅まで新幹線フル規格で建設中である。これにより、長崎本線の肥前山口 - 諫早間が並行在来線として指定されている。整備新幹線において並行在来線は新幹線開業時にJRから経営分離してもよいことになっており、当初はJR九州も経営分離する方針で佐賀・長崎両県による第三セクター方式の経営が計画されていた。しかし、経営分離区間の沿線自治体(鹿島市・江北町)の同意が得られなかったため着工の目処がたたず、他の整備新幹線に遅れをとっていた。そのためJR九州と佐賀・長崎両県は経営分離をせずに、両県が線路などの施設を保有し、新幹線開業後20年間はJR九州が運行を行う上下分離方式を採用することで合意し、着工が認可された。これにより2008年に武雄温泉駅 - 諫早駅間が、2012年には諫早駅 - 長崎駅間が着工され、2022年9月23日に武雄温泉駅 - 長崎駅間が「西九州新幹線」として開業予定である。 博多駅 - 新鳥栖駅では九州新幹線鹿児島ルートを使用し、新鳥栖駅 - 武雄温泉駅間について在来線を活用、武雄温泉駅 - 長崎駅間では新幹線規格の新線建設といった整備計画で、線路幅(軌間)の異なる新幹線と在来線を直通できる開発中の車両FGT(フリーゲージトレイン)を導入する予定であった。しかし、2014年FGTの試作車両の鹿児島ルート及び鹿児島本線での走行試験中に重大な問題が発覚し開発が長期に渡りストップした。これにより仮にFGTが実用化されても2022年度の開業までに運行に必要な数の車両の生産が間に合わないことが判明した。新幹線建設は計画通り進んでおり、完成した設備を年単位で放置できないこと、新幹線沿線自治体では2022年度の開業に合わせて大規模再開発が行われており開業の遅れは許されない状況であり、開業の前倒しを計画していただけに大きな問題となった。結果、2015年12月に2022年度開業のあり方として国やJR九州、長崎・佐賀両県の間で次の合意がなされた。 開業時期は現計画通り2022年度 フル規格で整備中の長崎駅 - 武雄温泉駅間については新幹線車両での運行、武雄温泉駅 - 博多駅間は在来線特急車両での運行とし、FGT営業用車両の生産完了(2025年度予定)まではリレー方式(2004年の九州新幹線鹿児島ルート暫定開業と同じ方式)とする。一部の列車においてFGT先行導入車両での運転を行う。 リレー方式での開業に伴い武雄温泉駅を新幹線と在来線が対面乗り換えできる構造に改造。 リレー方式への変更に伴う武雄温泉駅改造にかかる佐賀・長崎両県の負担を、肥前山口駅 - 諫早駅間の有償譲渡から無償譲渡に変更することで相殺。 肥前山口駅 - 諫早駅間は開業後23年間は引き続きJR九州による運行、運行本数は現状水準を維持、開業後3年間は肥前鹿島駅 - 博多駅間で特急列車を上下計14本維持する。 新鳥栖駅及び武雄温泉駅の新幹線在来線連絡アプローチについてはFGTの実用化判断が行われてからの着工とする。 その後2016年12月に2年ぶりにFGT走行試験を再開するも、再度問題が発覚し、暫定開業時の先行導入車両の製造は間に合わない見通しとなった。運行主体のJR九州は2017年7月、一般の新幹線の2倍以上のコストがかかるうえ、安全性に懸念が残るFGTでの西九州ルート運営は困難としてFGT導入断念を決定した。これにより与党検討委員会は在来線活用予定であった武雄温泉駅 - 新鳥栖駅間の西九州ルートの整備をミニ新幹線方式または全線フル規格新幹線方式での整備を軸に調査を開始した。2018年度中に西九州ルートの整備方針が決定する予定である。
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