主な活動・内部対立
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/16 16:04 UTC 版)
「革命作家芸術家協会」の記事における「主な活動・内部対立」の解説
反ファシズム運動の一環として、革命作家芸術家協会は1933年3月24日、ジッド、マルロー、ウジェーヌ・タビ、ジャン・ゲーノを中心に「ドイツのファシズムとフランスの帝国主義に抗議する」という標語を掲げて大規模なデモを行い、会場のグラントリアン(大東社)に知識人2,000人が集まった。バルビュス、ロマン・ロランからこれを支持するメッセージが届き、ブロック、クルヴェル、エリュアール、フェルナン・レジェ(画家)、リュック・デュルタン、エリー・フォール、ジョルジュ・フリードマン、マルセル・プルナン(動物学者、生物学者)、トリスタン・レミ(フランス語版)(作家)、ポール・シニャック(画家)、シャルル・ヴィルドラック、アンドレ・ヴィオリス(フランス語版)(ジャーナリスト、作家、女性解放運動家)、ダリウス・ミヨー(作曲家)がそれぞれ宣言文を発表した。 1934年1月27日から2月18日までパリ15区の「ポルト・ド・ヴェルサイユ(フランス語版)」で革命作家芸術家協会主催の「革命芸術家」展が開催された。ジャン・リュルサ、フェルナン・レジェ、ポール・シニャック、ジャン・カルリュ、アンドレ・ロート、フランス・マシリール、および若手画家のアンリ=ジョルジュ・アダム(フランス語版)、モーリス・エステーヴ(フランス語版)、エドゥアール・ピニョン(フランス語版)らが参加したこの展覧会は、社会問題を「造形」として表現すること、プロレタリアートに自信を与えることを主な目的とし、これは《連帯》、《友愛のために》、《権力の掌握》、《プロレタリアート》、《デモ活動》といった画題にも明確に表現されていた。 上述のように、ソ連の社会主義リアリズムをフランス文学の伝統につなげようとしたのがアラゴンであり、彼は(エミール・ゾラの)『ジェルミナール』と(ヴィクトル・ユーゴーがナポレオン3世を批判した)『懲罰詩集』が一体となったような「革命的ロマン主義」を彼自身の社会主義リアリズムと定義し、1934年に発表した小説『バーゼルの鐘』、1936年にルノードー賞を受賞した『お屋敷町』、およびアラゴンが書評を書いたポール・ニザンの『アントワーヌ・ブロワイエ』(1933年)がフランスにおける社会主義リアリズムの代表作とされるが、この点では、とりわけ、芸術活動におけるレジェのリアリズムは文学活動におけるアラゴンの社会主義リアリズムと真っ向から対立し、レジェは、近代芸術に人間性が欠如しているとしたら、それは社会秩序によって民衆が芸術に接することができないからであって、大衆に影響を与えることのできるような「新しいレアリスム」は芸術作品に日常(具体的には生活用品など)を取り込むことによって可能になると主張した。これに対してアラゴンは、レジェの「新しいレアリスム」は「クリーム・タルト」であって「支配階級(ブルジョワジー)に隷属する芸術だ」、「奴隷」である画家が「奴隷をつなぐ鎖を描いているのだ」と辛辣に批判した。 プロレタリア文学についても当初からプーライユのプロレタリア文学運動が支配階級への「服従・隷属を説く」ものとして批判されただけでなく、革命作家芸術家協会の内部でも意見の対立があった。同協会では1930年のハリコフ会議の提言を受けて「プロレタリア文学コンクール」を開催した。これは、労働者自身が日々の労働について表現することでプロレタリア文学の担い手になることを目的としたコンクールであり、労働者から寄せられた文学作品のなかから革命作家芸術家協会の審査員が優れた作品を選出し、『リュマニテ』紙上に発表した。当初、審査員の一人であったブルトンは、このような試み自体が本末転倒であるという趣旨の講評を行った。すなわち、新聞を読む以外に読書をする時間もない労働者には表現力を養う機会がない、子供向けの読み物はたいていブルジョア好みのものである、したがって、プロレタリア文学が可能なのは、ソ連の場合のように教育制度を含むブルジョワ体制そのものを覆すプロレタリア革命を経た後のことであるという趣旨であった。 革命作家芸術家協会主催のこうした企画は、この後、1935年初頭に設立され、アラゴンが事務局長を務めた「文化の家(フランス語版)」(パリ9区ナヴァラン通り(フランス語版)22番地)が担うことになり、「文化の家」の企画として講演会や展覧会、反ファシズム作家・芸術家の討論会が多数開催された。
※この「主な活動・内部対立」の解説は、「革命作家芸術家協会」の解説の一部です。
「主な活動・内部対立」を含む「革命作家芸術家協会」の記事については、「革命作家芸術家協会」の概要を参照ください。
- 主な活動・内部対立のページへのリンク