世界SF全集
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『世界SF全集』(せかいエスエフぜんしゅう、函の表面では『21世紀の文学 世界SF全集』と表記されている)は、早川書房が1968年(昭和43年)10月から1971年(昭和46年)8月にかけて刊行した、SF小説の叢書(全集)である。全35巻。
概要
『S-Fマガジン』初代編集長であった福島正実が企画[1]、福島と副編集長の森優(南山宏)が編集実務を担当し、石川喬司・野田宏一郎(昌宏)・伊藤典夫がアドヴァイザーをつとめた[2]。ジュール・ヴェルヌ以来の古典から現代までの全世界のSF作品を網羅的に収録する全集、という世界的に見ても類例のない企画であり[3][4]、刊行時には「世界で初めての画期的な全集」を謳っていた。
版型は四六判函入り上製本で、各巻400ページから700ページほど。装幀は勝呂忠。
1968年10月刊行開始。第1回配本は第10巻『ハックスリイ オーウェル』で、これは「SFも文学たり得ることを既成ファン以外にも知ってもらう機会にしたい」という福島の意図によるものである[4]。森優によれば、ジョージ・オーウェル未亡人のソニア・オーウェルから「SFの全集に入れられるのは心外」という抗議が来たため、説得して事なきを得たという[3][5]。この巻は日本図書館協会選定図書に指定された[6]。刊行中の1969年5月に福島正実が早川書房を辞職するというトラブルに見舞われたものの(経緯については覆面座談会事件を参照)、月1巻の刊行ペースを守り、1971年8月配本の第4巻『ガーンズバック テイン』をもって完結した[7]。刊行当初は平均8000部程度を期待していたが、実際の成績は倍以上だったという[8]。
各巻はおおむね年代順に配列されている[2]。第1巻から第26巻までが海外作家、第27巻から第30巻までが日本作家、第31巻から第35巻までが短編のアンソロジーとなっている。英米作家中心ではあるが、ソ連のアレクサンドル・ベリャーエフ、イワン・エフレーモフ、ストルガツキー兄弟、ポーランドのスタニスワフ・レム(本全集では「スタニスラフ・レム」表記)、フランスのルネ・バルジャベル、ドイツ(出生地はオーストリア)のヘルベルト・W・フランケなど、さまざまな国の作品を収めている[9]。
北原尚彦は、「本全集の最大の功績というのは「SFの名作が図書館においてあるようになった」ということではないか」[10]と評している。
2007年に、月報に掲載された文章を再録した早川書房編集部編『日本SF・幼年期の終り――『世界SF全集』月報より』が刊行された。
内容
巻 | 各巻題名 | 収録作品 | 著者 | 訳者 | 解説 | 編者 | 配本順 | 発行年月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ヴェルヌ | 地底世界 | ジュール・ヴェルヌ | 村上哲夫 | 三輪秀彦 | 16 | 1970年 1月 | |
海底二万リーグ | ||||||||
2 | ウエルズ | タイム・マシン | H・G・ウエルズ | 宇野利泰 | 福島正実 | 18 | 1970年 3月 | |
透明人間 | 多田雄二 | |||||||
宇宙戦争 | 宇野利泰 | |||||||
3 | ドイル | ロスト・ワールド | アーサー・コナン・ドイル | 加島祥造 | 福島正実 | 23 | 1970年 8月 | |
毒ガス帯 | 永井淳 | |||||||
マラコット海淵 | 斎藤伯好 | |||||||
物質分解機 | 永井淳 | |||||||
地球の叫び | 永井淳 | |||||||
4 | ガーンズバック テイン |
ラルフ124C41+ | ヒューゴー・ガーンズバック | 中上守 | 野田昌宏 | 35 | 1971年 8月 | |
ミュンヒハウゼン男爵の科学的冒険 | 小隅黎 | |||||||
鉄の星 | ジョン・テイン | 中村能三 | ||||||
5 | ワイリー ライト |
闘士 | フィリップ・ワイリー | 矢野徹 | 伊藤典夫 | 8 | 1969年 5月 | |
時を克えて | S・ファウラー・ライト | 川村哲郎 | 野田宏一郎 | |||||
6 | ステープルドン リュイス |
シリウス | オラフ・ステープルドン | 中村能三 | 福島正実 | 19 | 1970年 4月 | |
沈黙の惑星より | C・S・リュイス | 中村能三 | 伊藤典夫 | |||||
7 | スミス | 銀河パトロール | エドワード・E・スミス | 井上一夫 | 野田昌宏 | 24 | 1970年 9月 | |
宇宙のスカイラーク | 川口正吉 | |||||||
8 | ベリャーエフ | ドウエル教授の首 | アレクサンドル・ベリャーエフ | 袋一平 | 袋一平 | 9 | 1969年 6月 | |
無への跳躍 | ||||||||
9 | エレンブルグ チャペック |
トラストD・E | イリヤ・エレンブルグ | 吉上昭三 | 吉上昭三 | 25 | 1970年10月 | |
山椒魚戦争 | カレル・チャペック | 栗栖継 | 栗栖継 | |||||
10 | ハックスリイ オーウェル |
すばらしい新世界 | オルダス・ハックスリイ | 松村達雄 | 松村達雄 | 1 | 1968年10月 | |
1984年 | ジョージ・オーウェル | 新庄哲夫 | 新庄哲夫 | |||||
11 | ハミルトン ラインスター |
時果つるところ | エドモンド・ハミルトン | 南山宏 | 南山宏 | 14 | 1969年11月 | |
オペレーション外宇宙 | マレイ・ラインスター | 野田昌宏 | 野田昌宏 | |||||
12 | ハインライン | 人形つかい | ロバート・A・ハインライン | 福島正実 | 福島正実 | 28 | 1971年 1月 | |
夏への扉 | ||||||||
13 | ブラッドベリ | 火星年代記 | レイ・ブラッドベリ | 小笠原豊樹 | 福島正実 | 20 | 1970年 5月 | |
華氏四五一度 | 宇野利泰 | |||||||
14 | アシモフ | 宇宙気流 | アイザック・アシモフ | 平井イサク | 福島正実 | 15 | 1969年12月 | |
鋼鉄都市 | 福島正実 | |||||||
15 | クラーク | 幼年期の終り | アーサー・C・クラーク | 福島正実 | 福島正実 | 13 | 1969年10月 | |
海底牧場 | 高橋泰邦 | |||||||
16 | スタージョン ブラウン |
夢見る宝石 | シオドア・スタージョン | 永井淳 | 永井淳 | 5 | 1969年 2月 | |
雷鳴と薔薇 | 小笠原豊樹 | |||||||
火星人ゴーホーム | フレドリック・ブラウン | 稲葉明雄 | 稲葉明雄 | |||||
みみず天使 | 南山宏 | |||||||
17 | ヴォクト | スラン | A・E・ヴァン・ヴォクト | 浅倉久志 | 浅倉久志 | 3 | 1968年12月 | |
宇宙船ビーグル号 | ||||||||
18 | ベスター ディック |
虎よ、虎よ! | アルフレッド・ベスター | 中田耕治 | 伊藤典夫 | 22 | 1970年 7月 | |
宇宙の眼 | フィリップ・K・ディック | 福島正実 | ||||||
19 | ウインダム | トリフィドの日 | ジョン・ウインダム | 峯岸久 | 峯岸久 | 4 | 1969年 1月 | |
地衣騒動 | ||||||||
20 | シマック ブリッシュ |
都市 | クリフォード・D・シマック | 林克己他 | 福島正実 | 17 | 1970年 2月 | |
地球人よ、故郷に還れ | ジェイムズ・ブリッシュ | 砧一郎 | 伊藤典夫 | |||||
21 | ポール/コーンブルース アンダースン ファーマー |
宇宙商人 | フレデリック・ポール C・M・コーンブルース |
加島祥造 | 浅倉久志 | 30 | 1971年 3月 | |
タイム・パトロール | ポール・アンダースン | 深町真理子 | 福島正実 | |||||
恋人たち | フィリップ・ホセ・ファーマー | 伊藤典夫 | 伊藤典夫 | |||||
22 | エフレーモフ | 星の船 | イワン・エフレーモフ | 飯田規和 | 飯田規和 | 11 | 1969年 8月 | |
アンドロメダ星雲 | ||||||||
23 | レム | 砂漠の惑星 | スタニスラフ・レム | 飯田規和 | 飯田規和 | 2 | 1968年11月 | |
ソラリスの陽のもとに | ||||||||
24 | ゴール グロモワ ストルガツキー兄弟 |
クムビ | ゲンナージー・ゴール | 飯田規和 | 飯田規和 | 26 | 1970年11月 | |
自己との決闘 | アリアードナ・グロモワ | 草柳種雄 | ||||||
神様はつらい | ストルガツキー兄弟 | 太田多耕 | ||||||
25 | バルジャベル フリック フランケ |
荒廃 | ルネ・バルジャベル | 竹田宏 | 伊東守男 | 29 | 1971年 2月 | |
パーティナ | マルティン・フリック | 松谷健二 | 松谷健二 | |||||
思考の網 | ヘルベルト・W・フランケ | |||||||
26 | オールディス バラード |
グレイベアド | ブライアン・W・オールディス | 深町真理子 | 伊藤典夫 | 6 | 1969年 3月 | |
結晶世界 | J・G・バラード | 峯岸久 | ||||||
27 | 安部公房 | 第四間氷期 | 安部公房 | 奥野健男 | 32 | 1971年 5月 | ||
人間そっくり | ||||||||
R62号の発明 | ||||||||
赤い繭 | ||||||||
闖入者 | ||||||||
人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち | ||||||||
永久運動 | ||||||||
魔法のチョーク | ||||||||
デンドロカカリヤ | ||||||||
詩人の生涯 | ||||||||
完全映画(トータル・スコープ) | ||||||||
盲腸 | ||||||||
鉛の卵 | ||||||||
28 | 星新一 | 作品100[11] | 星新一 | 石川喬司 | 10 | 1969年 7月 | ||
29 | 小松左京 | 継ぐのは誰か? | 小松左京 | 石川喬司 | 21 | 1970年 6月 | ||
果しなき流れの果に | ||||||||
30 | 筒井康隆 眉村卓 光瀬龍 |
48億の妄想 | 筒井康隆 | 石川喬司 | 27 | 1970年12月 | ||
幻影の構成 | 眉村卓 | |||||||
たそがれに還る | 光瀬龍 | |||||||
31 | 世界のSF(短篇集)古典篇 | 第一部 危険な創造 | 福島正実 | 福島正実 野田昌宏 伊藤典夫 |
34 | 1971年 7月 | ||
金剛石のレンズ | フィッツ=ジェイムズ・オブライエン | 稲葉明雄 | ||||||
ロス・アミゴスの大失策 | アーサー・コナン・ドイル | 福島正実 | ||||||
新加速剤 | H・G・ウエルズ | 宇野利泰 | ||||||
万能図書館 | クルト・ラスヴィッツ | 小尾芙佐 | ||||||
フェッセンデンの宇宙 | エドモンド・ハミルトン | 稲葉明雄 | ||||||
第二部 空想の旅路 | ||||||||
霊の内なる難船 | アンブロウズ・ビアス | 中村能三 | ||||||
オノレ・シュブラックの失踪 | ギヨーム・アポリネール | 窪田般彌 | ||||||
火星の月のもとで[12] | エドガー・ライス・バロウズ | 関口幸男 | ||||||
龍(ドラゴン)の鏡 | A・メリット | 団精二 | ||||||
異次元の色彩 | H・P・ラヴクラフト | 団精二 | ||||||
四次元方程式 | マイルズ・J・ブルウアー M・D | 大山優 | ||||||
宇宙の住人たち | レイモンド・Z・ガラン | 野田昌宏 | ||||||
混沌空間 | クラーク・アシュトン・スミス | 野田昌宏 | ||||||
シャンブロウ | C・L・ムーア | 仁賀克雄 | ||||||
火星のオデッセイ | スタンリイ・G・ワインボウム | 大山優 | ||||||
第三部 未来への予感 | ||||||||
メロンタ・タウタ | エドガー・アラン・ポー | 高橋正雄 | ||||||
来たるべき能力 | エドワード・ベラミイ | 団精二 | ||||||
2889年 | ジュール・ヴェルヌ | 村上啓夫 | ||||||
赤死病 | ジャック・ロンドン | 矢野徹 | ||||||
ジョン・ジョーンズ基金 | ハリイ・スティーヴン・キーラー | 伊藤典夫 | ||||||
金星の人類[13] | オラフ・ステープルドン | 深町真理子 | ||||||
最終進化 | ジョン・W・キャンベル Jr. | 斎藤伯好 | ||||||
バビロンの水のほとりに | スティーヴン・ヴィンセント・ベネー | 浅倉久志 | ||||||
第四部 諷刺の世界 | ||||||||
天空広告 | ヴィリエ・ド・リラダン | 齋藤磯雄 | ||||||
戦争請負います | フランク・R・ストックトン | 小尾芙佐 | ||||||
もう一つの世界 | J・H・ロニー兄 | 竹田宏 | ||||||
人間の出現 | ジョン・D・ベレズフォード | 伊藤典夫 | ||||||
歩行者族の反乱 | D・H・ケラー | 矢野徹 | ||||||
32 | 世界のSF(短篇集)現代篇 | 第一部 黄金の時代 | 福島正実 伊藤典夫 |
福島正実 伊藤典夫 |
12 | 1969年 9月 | ||
愛しのヘレン | レスター・デル・リイ | 福島正実 | ||||||
歪んだ家 | ロバート・A・ハインライン | 吉田誠一 | ||||||
夜来たる | アイザック・アシモフ | 川村哲郎 | ||||||
トオンキイ | ヘンリー・カットナー | 南山宏 | ||||||
存在の環 | P・スカイラー・ミラー | 南山宏 | ||||||
最初の接触 | マレイ・ラインスター | 伊藤典夫 | ||||||
第二部 拡大の時代 | ||||||||
クリスマス・プレゼント | ウィリアム・テン | 福島正実 | ||||||
ベティアンよ帰れ | クリス・ネヴィル | 稲葉明雄 | ||||||
こわい | ジャック・フィニイ | 福島正実 | ||||||
野生の児 | ポール・アンダースン | 邦枝輝夫 | ||||||
表面張力 | ジェイムズ・ブリッシュ | 川村哲郎 | ||||||
悪夢の兄弟 | アラン・E・ナース | 南山宏 | ||||||
母 | フィリップ・ホセ・ファーマー | 伊藤典夫 | ||||||
にせ者 | フィリップ・K・ディック | 福島正実 | ||||||
壁の中 | シオドア・R・コグスウェル | 南山宏 | ||||||
種の起源 | キャサリン・マクリーン | 深町真理子 | ||||||
冷たい方程式 | トム・ゴドウィン | 伊藤典夫 | ||||||
唯我論者 | フレドリック・ブラウン | 南山宏 | ||||||
星 | アーサー・C・クラーク | 川村哲郎 | ||||||
吹きわたる風 | チャド・オリヴァー | 稲葉明雄 | ||||||
第三部 新しい波 | ||||||||
危険の報酬 | ロバート・シェクリイ | 井上一夫 | ||||||
誰が人間にとってかわられる? | ブライアン・W・オールディス | 福島正実 | ||||||
次元断層 | リチャード・マティスン | 高橋豊 | ||||||
アルジャーノンに花束を | ダニエル・キイス | 稲葉明雄 | ||||||
交通戦争 | フリッツ・ライバー | 浅倉久志 | ||||||
終着の浜辺 | J・G・バラード | 伊藤典夫 | ||||||
33 | 世界のSF(短篇集)ソ連東欧篇 | 第一部 ソ連 | 飯田規和 | 飯田規和 | 33 | 1971年 6月 | ||
宇宙翔けるもの | イワン・エフレーモフ | 袋一平 | ||||||
創造の第一日 | ゲオルギー・グレーヴィッチ | 袋一平 | ||||||
宇宙船ポリュス号の船長 | ワレンチナ・ジュラヴリョーワ | 袋一平 | ||||||
人間の公式 | アナトーリイ・ドニェプロフ | 飯田規和 | ||||||
ベルン教授のめざめ | ウラジーミル・サフチェンコ | 西本昭治 | ||||||
六本のマッチ | ストルガツキー兄弟 | 袋一平 | ||||||
雪つぶて | M・エムツェフ E・パルノフ |
西本昭治 | ||||||
湾の主 | セーベル・ガンソフスキー | 西本昭治 | ||||||
不可能の方程式 | E・ヴォイスクンスキー I・ルコジヤノフ |
金光不二夫 | ||||||
予備研究 | イリヤ・ワルシャフスキ | 草柳種雄 | ||||||
第二部 ポーランド | ||||||||
事故 | スタニスラフ・レム | 吉上昭三 | ||||||
絶対兵器 | アンジェイ・チェホフスキ | 草柳種雄 | ||||||
最後の可能性 | コンラド・フィアウコフスキ | 草柳種雄 | ||||||
クヴィン博士の治療法 | ヤヌシュ・A・ザイデル | 太田多耕 | ||||||
この世のふたつの果て | チェスワフ・チュルシチェフスキ | 草柳種雄 | ||||||
第三部 チェコスロバキア | ||||||||
飛ぶことのできた男 | カレル・チャペック | 栗栖継 | ||||||
クセーネミュンデの精薄児 | ヨゼフ・ネスヴァドバ | 栗栖継 | ||||||
炎の大陸 | イワン・フォウストカ | 深見弾 | ||||||
ヴォラフカのセロリ | ヴァーツラフ・カイドシ | 栗栖継 | ||||||
第四部 ルーマニア | ||||||||
魔術師 | O・シュルパヌ | 深見弾 | ||||||
第五部 ブルガリア | ||||||||
コルネリウス教授の帰還 | V・ライコフ | 深見弾 | ||||||
34 | 日本のSF(短篇集)古典篇 | 第一部 | 石川喬司 | 石川喬司 | 31 | 1971年 4月 | ||
押絵と旅する男 | 江戸川乱歩 | |||||||
鏡地獄 | 江戸川乱歩 | |||||||
恋愛曲線 | 小酒井不木 | |||||||
人造人間 | 平林初之輔 | |||||||
灰色にぼかされた結婚 | 木津登良 | |||||||
ロボットとベッドの重量 | 直木三十五 | |||||||
兵隊の死 | 渡辺温 | |||||||
振動魔 | 海野十三 | |||||||
十八時の音楽浴 | 海野十三 | |||||||
特許多腕人間方式 | 海野十三 | |||||||
髪切虫 | 夢野久作 | |||||||
人間レコード | 夢野久作 | |||||||
卵 | 夢野久作 | |||||||
「太平洋漏水孔」漂流記 | 小栗虫太郎 | |||||||
音波の殺人 | 野村胡堂 | |||||||
せんとらる地球市建設記録 | 星田三平 | |||||||
七時〇三分 | 牧逸馬 | |||||||
地底獣国 | 久生十蘭 | |||||||
網膜脈視症 | 木々高太郎 | |||||||
ニッポン遺跡(抄) | 大下宇陀児 | |||||||
二千六百万年後 | 横溝正史 | |||||||
脳波操縦士 | 蘭郁二郎 | |||||||
ジャマイカ氏の実験 | 城昌幸 | |||||||
みなごろしの歌 | 渡辺啓助 | |||||||
月航路第一号 | 北村小松 | |||||||
オラン・ペンデクの復讐 | 香山滋 | |||||||
オラン・ペンデク後日譚 | 香山滋 | |||||||
第二部 | ||||||||
銀河鉄道の夜 | 宮沢賢治 | |||||||
覚海上人天狗になる事 | 谷崎潤一郎 | |||||||
抒情歌 | 川端康成 | |||||||
微笑 | 横光利一 | |||||||
一千一秒物語(抄) | 稲垣足穂 | |||||||
似而非物語 | 稲垣足穂 | |||||||
東京日記 | 内田百閒 | |||||||
山月記 | 中島敦 | |||||||
かろやかな翼ある風の歌(抄) | 立原道造 | |||||||
猿ケ島 | 太宰治 | |||||||
夜長姫と耳男 | 坂口安吾 | |||||||
潜在意識の軌道 | 伊藤整 | |||||||
35 | 日本のSF(短篇集)現代篇 | 第一部 限りなき空間 | 福島正実 | 石川喬司 福島正実 |
7 | 1969年 4月 | ||
宇宙救助隊2180年 | 光瀬龍 | |||||||
宇宙塵 | 高橋泰邦 | |||||||
ハイウェイ惑星 | 石原藤夫 | |||||||
耳鳴山由来 | 矢野徹 | |||||||
神への長い道 | 小松左京 | |||||||
第二部 来たるべき明日 | ||||||||
白い服の男 | 星新一 | |||||||
万国博がやってくる | 眉村卓 | |||||||
ベトナム観光公社 | 筒井康隆 | |||||||
世代革命 | 生島治郎 | |||||||
二十一世紀の教養 | 谷川俊太郎 | |||||||
機関車、草原に | 河野典生 | |||||||
イメージ冷凍業 | 都筑道夫 | |||||||
贅沢 | 北杜夫 | |||||||
意地悪爺さん | 北杜夫 | |||||||
第三部 人間を越えて | ||||||||
落陽2217年 | 光瀬龍 | |||||||
傍のあいつ | 手塚治虫 | |||||||
合成美女 | 倉橋由美子 | |||||||
砂上の影 | 久野四郎 | |||||||
ブルドッグ | 筒井康隆 | |||||||
第四部 地球を侵すもの | ||||||||
収穫 | 半村良 | |||||||
悪夢のかたち | 平井和正 | |||||||
紙か髪か | 小松左京 | |||||||
第五部 時間と次元への旅 | ||||||||
影が重なる時 | 小松左京 | |||||||
ちがう | 福島正実 | |||||||
魔法つかいの夏 | 石川喬司 | |||||||
パチャカマに落ちる陽 | 豊田有恒 | |||||||
第六部 イマジネーション・その他の世界 | ||||||||
人脳培養事件 | 佐野洋 | |||||||
待っている女 | 山川方夫 | |||||||
鍵 | 星新一 | |||||||
逢いびき | 石川喬司 | |||||||
過去への電話 | 福島正実 | |||||||
夜に別れを告げる夜 | 樹下太郎 | |||||||
X電車で行こう | 山野浩一 | |||||||
空地 | 北杜夫 | |||||||
人魚伝 | 安部公房 |
備考
刊行開始時の予告[14]からは以下の変更点がある。
- 第4巻『ガーンズバック テイン』に収録のジョン・テインの作品は、予告では『時間流』となっていたが、『鉄の星』に変更された。
- 第21巻『ポール/コーンブルース アンダースン ファーマー』は、予告では『ポール/コーンブルース ファーマー』となっていた。また、同巻収録のフィリップ・ホセ・ファーマーの作品は、予告では『フレッシュ』となっていたが、『恋人たち』に変更された。『フレッシュ』は、1972年に『太陽神降臨』の訳題でハヤカワ・SF・シリーズから刊行されている。
- 第25巻『バルジャベル フリック フランケ』は、予告では『バルジャベル ダルトン』となっていた。同巻にはクラーク・ダールトンの『禁じられた者の世界』(『追放者の惑星』)[15]の収録が予定されていたが、版権などの事情で間に合わず、ハヤカワ・SF・シリーズで刊行されていたヘルベルト・W・フランケ『思考の網』が再録された[16]。『追放者の惑星』は、1972年に『流刑の惑星』の訳題でハヤカワ・SF・シリーズから刊行されている[17]。
- 第30巻『筒井康隆 眉村卓 光瀬龍』は「新作書下ろし長篇」と予告されていたが、事情により、すべて既発表作品の再録となった[17][2]。
- 全35巻の他に別巻として『SF講座』が予告されていたが、他の出版物を参照ということで取りやめとなった[2]。
脚注
- ^ 早川書房編集部 2007, p. 8, 森優「はじめに」.
- ^ a b c d 早川書房編集部 2007, p. 10, 森優「はじめに」.
- ^ a b M・M 1971, p. 8.
- ^ a b 早川書房編集部 2007, p. 9, 森優「はじめに」.
- ^ 早川書房編集部 2007, p. 11, 森優「はじめに」.
- ^ 早川書房編集部 2007, pp. 11–12, 森優「はじめに」.
- ^ 早川書房編集部 2007, pp. 12–13, 森優「はじめに」.
- ^ 早川書房編集部 2007, pp. 211, 石川喬司「あの頃のこと」.
- ^ 北原 1994, p. 90.
- ^ 北原 1994, p. 91.
- ^ 自選ショートショート100作品を収録。収録作品は「ボッコちゃん」「おーい でてこーい」「症状」「福の神」「おみやげ」「最初の説得」「なぞの青年」「鏡」「暑さ」「マネー・エイジ」「宇宙の男たち」「ジャックと豆の木」「豪華な生活」「財産への道」「こん」「お地蔵さまのくれた熊」「不景気」「暗示」「デラックスな拳銃」「冬の蝶」「ハナ研究所」「闇の眼」「オアシス」「賢明な女たち」「ピーターパンの島」「アフター・サービス」「贈り主」「情熱」「謎の女」「友を失った夜」「誘拐」「おみやげを持って」「貴重な研究」「小さくて大きな事故」「キツツキ計画」「薄暗い星で」「クリスマス・イブの出来事」「調査」「春の寓話」「死の舞台」「肩の上の秘書」「その夜」「ひとつの装置」「ねむりウサギ」「変な薬」「壁の穴」「指導」「羽衣」「繁栄の花」「古風な愛」「黒い棒」「コビト」「宇宙の英雄」「ごきげん保険」「サーカスの秘密」「分工場」「人間的」「夢と対策」「唯一の証人」「箱」「スピード時代」「幸運への作戦」「品種改良」「もたらされた文明」「ゆきとどいた生活」「危機」「殺し屋ですのよ」「華やかな三つの願い」「そそっかしい相手」「隊員たち」「恋がたき」「災害」「さまよう犬」「人形」「無料の電話機」「追い越し」「帰郷」「妖精」「反応」「いじわるな星」「フィナーレ」「狂的体質」「災難」「欲望の城」「契約時代」「雪の女」「ネコ」「午後の恐竜」「にこやかな男」「あるエリートたち」「依頼」「善意の集積」「語らい」「けちな願い」「あるノイローゼ」「テレビシート加工」「進歩」「ガラスの花」「あすは休日」「臨終の薬」。
- ^ 『火星のプリンセス』の抄録。
- ^ 『最後にして最初の人類』の抄録。
- ^ 初期に配本された巻の巻末で確認できる。
- ^ 予告ではダルトン『禁じられた者の世界』、松谷健二による「解説」ではクラーク・ダールトン『追放者の惑星』となっている。
- ^ 松谷健二「解説 ドイツSF概観」 『世界SF全集 25 バルジャベル フリック フランケ』早川書房、1971年2月28日、466頁。
- ^ a b 北原 1994, pp. 90–91.
参考文献
- M・M「編集後記――全巻刊行を終えて」『世界SF全集 4 月報 (35)』、早川書房、7-8頁、1971年8月。
- 北原尚彦「空想科学小説叢書列伝 3 《世界SF全集》名作SFの集大成」『S-Fマガジン』第35巻第4号、早川書房、90-91頁、1994年4月。
- 早川書房編集部 編 『日本SF・幼年期の終り――『世界SF全集』月報より』早川書房、2007年8月25日。ISBN 978-4-15-208847-5。
関連項目
- 世界SF全集のページへのリンク