早川書房時代
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『宇宙塵』主催者の柴野拓美の紹介により早川書房でアルバイトを始めたことがきっかけとなり、大学を中退して1961年に早川書房へ入社。SF部門の2人目の社員だったため、福島正実配下で即日副編集長を務める。 1969年に福島正実が作家たちと対立して急遽退社したため、『SFマガジン』2代目編集長となり、また福島が企画していた世界初のSFの全集『世界SF全集』(1968年 - 1971年)を完結させる。 また1970年には、早川書房の初の文庫本であるハヤカワSF文庫を創刊。海外作家のスペース・オペラやヒロイック・ファンタジーなどのシリーズ作品や、平井和正の「ウルフガイ・シリーズ」など、娯楽性が高い作品を刊行。福島の文学路線とは一線を画し、SFのエンターテインメント路線へと舵を切った。特にその文庫ではカバー、口絵、挿絵に当時気鋭のイラストレーター(武部本一郎、斉藤和明、生頼範義、深井国他)や漫画家(石森章太郎、松本零士、坂口尚他)を積極的に起用した。これらは次段階(1974年以降)での『SFマガジン』本誌での連載や掲載分を含めて画集や漫画単行本の企画までを構想したものであり、そのビジュアルを重視した戦略は後の〝SFブーム〟(1977年以降)の先鞭として極めて注目に値する。 また、1971年には筒井康隆『脱走と追跡のサンバ』でシリーズ「日本SFノヴェルズ」を刊行開始している。このシリーズの2冊目が半村良の初長編『石の血脈』である。森は半村の作風を伝奇ロマンと命名した。
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