世界各国におけるエタノール燃料の利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 21:43 UTC 版)
「バイオマスエタノール」の記事における「世界各国におけるエタノール燃料の利用」の解説
日本では、政府全体が「バイオマス・ニッポン総合戦略」に取り組んでおり、輸送用燃料におけるバイオマス由来燃料の普及を目指す下で、ETBE(上記参照、バイオマス由来ガソリン添加剤)、E3などの導入が推進されている。2010年度に原油換算で50万kL相当のバイオ燃料を輸送用燃料として導入する目標が立てられており、そのうちの21万kL相当分の実現について協力を求められた石油連盟では、同量のETBE供給を目指して態勢整備を開始した。2007年4月にはその第一歩として、首都圏50か所のガソリンスタンドにおいてETBE混合ガソリンの供給が始まった。また2007年10月からは、沖縄県宮古島において大規模なE3実証実験が行われようとしたが、結局反対により失敗した。さらに、E3よりも高濃度のエタノール混入に対応するため、国土交通省では、E10対応の車両の安全・環境性能に関する技術指針の整備も進めている。現在の法律では「揮発油等の品質の確保等に関する法律」で、ガソリンへのエタノールの混合許容値は上限が3%または10%までと定められており、普及のためには法改正が必要である。 米国では、2005年エネルギー政策法によって2012年までに生物資源由来の燃料の使用量を75億ガロン(約0.28億kL)まで増やすことが定められたが、そのかなりの部分がバイオマスエタノールでまかなわれるとみられている。また、ガソリンの改質材として広く利用されてきたメチルターシャリーブチルエーテル (MTBE) が環境問題を引き起こしたことから、代替的な改質材としてエタノールの利用が拡大している。このほか、州レベルでみると、コネチカット州やミネソタ州ではE10の販売が義務付けられている。中西部の州にはE85(エタノール70〜85%)を販売するガソリンスタンドが存在し、販売が行われている[要出典]。 ブラジルでは、サトウキビ栽培が盛んでバイオマスエタノールが国内で供給できることから、1970年代初の石油ショックの際にプロアルコール(国家アルコール)政策(1975年 - )が策定され、自動車へのエタノール燃料の普及が進んだ。一時は国内で走行する自動車のほとんどが純粋エタノール燃料を利用していた。ところが、1990年代の原油価格低迷と同時期にエタノール供給が混乱したこともあり、ブラジル国内では一転して純粋ガソリン燃料を利用する自動車が主流になってしまった。その後、2000年代に入り原油価格が再度上昇するようになると改めてエタノールの自動車燃料への混合が義務付けられるようになった。現在では、様々なエタノールとガソリンとの混合比率に対応可能なflexible-fuel vehiclesが人気を集めるようになったが、逆にエタノール供給が増加する需要に追いつかなくなり、エタノールの混合義務が25%から20%に引き下げられるという皮肉な結果を招いている。 中国では2011年以前は穀物由来のバイオエタノールに対して補助金を出して優遇していたが、近年では段階的に補助金を削減しつつある。実験的なセルロース由来のエタノール事業への補助金は1トンあたり800〜1,000元である。
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