一般的原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 13:43 UTC 版)
情報オーバーロードの一般的原因として以下のようなことが挙げられる。 報道は速報性を重視してニュースの発信頻度を上げてきたが、そのことが記事の品質低下を招いている。 インターネットにおいては、容易に情報を複製・転送できる。 情報を得る経路が増えた(例えば、電子メール、インスタントメッセージ、RSSなど)。 歴史的情報は時と共に増大している。 入手可能な情報間で矛盾したり、不正確な情報しか入手できない。 情報のSN比の低下。 異なった種類の情報を比較・処理する手法が存在しない。 情報の断片同士の関係を明らかにするための全体的構造が存在しない。 電子メールは情報オーバーロードの主要な原因の1つであり、人々は受信メールを処理するのに奮闘している。不要なスパムをフィルタリングしたり、巨大化し続ける添付ファイルを扱ったりしなければならない。 2007年12月、ニューヨーク・タイムズのブログで「情報オーバーロードは6500億ドルの経済損失?」と題したポストがあり、2008年4月には本紙で情報オーバーロードによって「増え続ける電子メールが一部の人々の仕事の障害となっており、自動的にリプライしてオーバーロードを防いでくれるようなソフトウェアは未だに登場していない」といった内容の記事が掲載された。 2011年1月、MSNBCのライター Eve Tahmincioglu は「今こそあふれた受信箱をなんとかしよう」と題した記事を書いた。彼女は専門家の意見を集約して統計値を推測し、2010年には毎日2940億通の電子メールがやりとりされていたと報告している。この値は2009年に比べて500億通増えているという。記事の中で職場の生産性の専門家マーシャ・エガンの言葉として、電子メールに応答することと整理することを区別する必要があるとしている。すなわち、全ての電子メールにすぐに返信するのではなく、まず不要な電子メールを削除し、残ったものを返信が必要なメールと参照のみのメールに分類する。そして、電子メールを管理することを心がけないと、電子メールに管理されることになるとしている。 デイリー・テレグラフは、ハーバード・ビジネス・レビューの元編集責任者で『ネット・バカ~インターネットが私たちの脳にしていること』の作者であるニコラス・G・カーの言を引用し、電子メールは新しい情報を求める人間の基本的本能を利用し「社会的または知的栄養のペレットを受け取るという望みを持って不注意にレバーを押す」ような中毒症状をもたらしているとした。エリック・シュミットも同様の懸念を共有しており、瞬時に結果が得られる機器と電子メールなどのテクノロジーを利用して人々が豊富な情報にさらされることで、理解と熟慮を遮断し、思考過程に影響を及ぼし、記憶の形成を妨げ、学習を困難にする可能性があると指摘した。そのような「認識のオーバーロード」は結果として、経験として長期記憶に格納される情報の減少を生じ、思考を「薄く散漫な」状態にするという。このことは教育においても明らかに同様だと指摘されている。 テクノロジー投資家にも同様の懸念を持つ者がいる。 電子メールに加え、ウェブは何十億ページもの情報へのアクセスを提供してきた。多くの職場で従業員はウェブへの無制限のアクセスを提供され、それを調査に利用している。検索エンジンがすばやい情報検索を可能にしている。しかし、オンラインの情報は専門家による事前のチェックを経ておらず、信頼できるとは限らない。結果としてそういった情報はクロスチェックしないと意思決定の材料にできず、時間がかかってしまう。
※この「一般的原因」の解説は、「情報オーバーロード」の解説の一部です。
「一般的原因」を含む「情報オーバーロード」の記事については、「情報オーバーロード」の概要を参照ください。
- 一般的原因のページへのリンク