一般的事項
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/03 09:34 UTC 版)
「スティーフェル・ホイットニー類」の記事における「一般的事項」の解説
実ベクトル束 E に対し、E のスティーフェル・ホイットニー類は、w(E) と書き、次のコホモロジー環の元である。 H ∗ ( X ; Z / 2 Z ) = ⨁ i ≥ 0 H i ( X ; Z / 2 Z ) {\displaystyle H^{\ast }(X;\mathbf {Z} /2\mathbf {Z} )=\bigoplus _{i\geq 0}H^{i}(X;\mathbf {Z} /2\mathbf {Z} )} ここで X は束 E の底空間であり、Z/2Z(しばしば、代わりに Z2 とも書かれる)は、0 と 1 のみからなる可換環である。Hi(X; Z/2Z) の中の w(E) の直和成分は、wi(E) で表され、E の i-番目のスティーフェル・ホイットニー類と呼ぶ。したがって w(E) = w0(E) + w1(E) + w2(E) + … であり、ここに各々の wi(E) は、Hi(X; Z/2Z) の元である。 スティーフェル・ホイットニー類 w(E) は、実ベクトル束 E の不変量である。つまり、F が E とが同じ底空間 X を持つ別の実ベクトルで、F が E とが同型であれば、スティーフェル・ホイットニー類 w(E) と w(F) とは等しい。 (ここに、同型とは、恒等写像 idX: X → X を被覆するベクトル束の同型写像 E → F が存在することを言う。)2つの実ベクトル束 E と F が同型か否かを判断することは一般的には困難であるが、スティーフェル・ホイットニー類 w(E) と w(F) は、簡単に計算可能な場合もある。スティーフェル・ホイットニー類が異なっていれば、E と F は同型ではない。 例としては、円 S1 上、自明束に同型ではない直線束(つまり、階数 1 の実ベクトル束)が存在する。この直線束 L は、メビウスの帯(ベクトル束となるベクトル空間の構造をファイバーへいれることのできるファイバー束)である。コホモロジー群 H1(S1; Z/2Z) は、0 以外にはひとつしか元がない。この元が L の第一スティーフェル・ホイットニー類 w1(L) である。S1 上の自明直線束の第一スティーフェル・ホイットニー類は 0 であるので、それは L とは同型ではない。 しかし、同じスティーフェル・ホイットニー類を持つ 2つのベクトル束 E と F は、必ずしも同型とは限らない。例えば、E と F が同じ底空間 X 上の異なる階数の自明な実ベクトル束であるときに、同型でないということが起きる。E と F が同じ階数であってもこのようなことが起きる。2-球面 S2 の接束と S2 上の階数 2 の自明な実ベクトル束は同じスティーフェル・ホイットニー類を持つが、同型ではない。ところが、X 上 2 つの実直線束が同じスティーフェル・ホイットニー類を持てば、それらは同型である。
※この「一般的事項」の解説は、「スティーフェル・ホイットニー類」の解説の一部です。
「一般的事項」を含む「スティーフェル・ホイットニー類」の記事については、「スティーフェル・ホイットニー類」の概要を参照ください。
- 一般的事項のページへのリンク