ベクトル束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 04:18 UTC 版)
数学において、ベクトル束(べくとるそく、英: vector bundle; ベクトルバンドル)は、ある空間 X(例えば、X は位相空間、多様体、代数多様体等)により径数付けられたベクトル空間の族を作るという方法で与えられる幾何学的構成である。
- ^ Lang, Serge (1995), Differential and Riemannian manifolds, Berlin, New York: Springer-Verlag, ISBN 978-0-387-94338-1
ベクトル束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/11 00:57 UTC 版)
スキーム上の任意のベクトル束 E → X {\displaystyle E\to X} は滑らかな射である。例えば P n {\displaystyle \mathbb {P} ^{n}} に付随するベクトル束(associated vector bundle) O ( k ) {\displaystyle {\mathcal {O}}(k)} については、これは重みつき射影空間から1点を除いたもの O ( k ) = P ( 1 , … , 1 , k ) − { [ 0 : ⋯ : 0 : 1 ] } → P n {\displaystyle O(k)=\mathbb {P} (1,\ldots ,1,k)-\{[0:\cdots :0:1]\}\to \mathbb {P} ^{n}} であることから分かる。ここで、上記の射は [ x 0 : ⋯ : x n : x n + 1 ] → [ x 0 : ⋯ : x n ] {\displaystyle [x_{0}:\cdots :x_{n}:x_{n+1}]\to [x_{0}:\cdots :x_{n}]} で定義されるものである。直和束 O ( k ) ⊕ O ( l ) {\displaystyle O(k)\oplus O(l)} はファイバー積 O ( k ) ⊕ O ( l ) = O ( k ) × X O ( l ) {\displaystyle O(k)\oplus O(l)=O(k)\times _{X}O(l)} を用いて表すことができることにも言及しておく。
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ベクトル束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/22 00:40 UTC 版)
E と F を閉多様体 X 上のベクトル束とし、 P : C ∞ ( E ) → C ∞ ( F ) {\displaystyle P\colon C^{\infty }(E)\to C^{\infty }(F)} を k-階の微分作用素とすると、X の局所座標(英語版)において、 P u ( x ) = ∑ | α | = k P α ( x ) ∂ α u ∂ x α + (lower order terms) {\displaystyle Pu(x)=\sum _{|\alpha |=k}P^{\alpha }(x){\frac {\partial ^{\alpha }u}{\partial x^{\alpha }}}+{\text{(lower order terms)}}} と書くことができる。ここで、各多重指数 α に対し Pα(x): E → F は束準同型(英語版)で、指数 α たちに関して対称である。 P の k 次の係数(最高次係数)は、X の余接束の k-次対称冪と E とのテンソル積から F への対称テンソル σ P : S k ( T ∗ X ) ⊗ E → F {\displaystyle \sigma _{P}\colon S^{k}(T^{*}X)\otimes E\to F} として作用する。この対称テンソルは、P の主表象(あるいは単に表象)と呼ばれる。 座標系 xi は、座標微分 dxi によって余接束の局所自明化を行うことができて、ファイバー座標 ξi が決まる。E および F の標構基底をそれぞれ eμ および fν として、微分作用素 P を成分に分解すれば、E の各切断 u 上で ( P u ) ν = ∑ μ P ν μ u μ {\displaystyle (Pu)_{\nu }=\sum _{\mu }P_{\nu \mu }u_{\mu }} と書くことができる。ここで Pνμ は P ν μ = ∑ α P ν μ α ∂ ∂ x α {\displaystyle P_{\nu \mu }=\sum _{\alpha }P_{\nu \mu }^{\alpha }{\frac {\partial }{\partial x^{\alpha }}}} で定義されるスカラー微分作用素である。この自明化に伴い、主表象は ( σ P ( ξ ) u ) ν = ∑ | α | = k ∑ μ P ν μ α ( x ) ξ α u μ . {\displaystyle (\sigma _{P}(\xi )u)_{\nu }=\sum _{|\alpha |=k}\sum _{\mu }P_{\nu \mu }^{\alpha }(x)\xi _{\alpha }u^{\mu }.} と書き表わせる。X のある不動点 x に関する余接空間において、表象 σ P {\displaystyle \sigma _{P}} は、 Hom ( E x , F x ) {\displaystyle \operatorname {Hom} (E_{x},F_{x})} に値を取る T x ∗ X {\displaystyle T_{x}^{*}X} 内の次数 k の同次多項式を定義する。 微分作用素 P {\displaystyle P} は、もしその表象が可逆であるなら、楕円型(英語版)である。ここで、表象が可逆であるとは、ゼロでない各 θ ∈ T ∗ X {\displaystyle \theta \in T^{*}X} に対して束写像 σ P ( θ , … , θ ) {\displaystyle \sigma _{P}(\theta ,\dots ,\theta )} が可逆であることを意味する。コンパクト多様体上では、楕円理論より、P はフレドホルム作用素となる。すなわち、P の核と余核は、有限次元である。
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ベクトル束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 00:46 UTC 版)
詳細は「ベクトル束」および「接束」を参照 ベクトル束は位相空間 X によって連続的に径数付けられたベクトル空間の族である。より明確に言えば、X 上のベクトル束とは、位相空間 E であって、連続写像 π : E → X {\displaystyle \pi :E\to X} を持ち、X の各点 x においてファイバー V = π−1(x) がベクトル空間を成すようなものを言う。dim V = 1 ならば線束という。任意のベクトル空間 V に対し、射影 X × V → X は直積 X × V を「自明な」ベクトル束にする。X 上のベクトル束は、局所的にはある(固定された)ベクトル空間 V と X との直積でなければならない。つまり、X の各点 x に対して x の適当な近傍 U を選んで、π の π−1(U) への制限が自明束 U × V → U に同型となるようにすることができる。これらの局所自明性にもかかわらず、ベクトル束は巨視的には(台となる位相空間 X の形に依存して)「捻じれ」ているのである。つまり、ベクトル束は自明束 X × V (と大域的に同型)である必要はない。例えば、メビウスの帯は(円周を実数直線上の半開区間と同一視することによって)円周 S1 上の線束と見做すことができるが、しかしこれは円筒 S1 × R とは異なる。後者は向き付け可能だが、前者はそうではない。 ある種のベクトル束の性質は、台となる位相空間についての情報を提供する。例えば、接空間の集まりからなる接束は可微分多様体の点によって径数付けられる。円周 S1 の接束は、S1 上に大域的な非零ベクトル場が存在するから、大域的に S1 × R に同型である。対照的に、毛玉の定理により、二次元球面 S2 上の接ベクトル場で至る所消えていない者は存在しない。K-理論は同じ位相空間上の全てのベクトル束の同型類について研究するものである。深い位相的かつ幾何学的な観察に加えて、この理論には実有限次元多元体の分類(そのようなものは R, C のほかは四元数体 H と八元数体 O しかない)というような純代数学的な帰結も存在する(フルヴィッツの定理を参照)。 可微分多様多の余接束は、多様体の各点において接空間の双対である余接空間が対応するベクトル束である。余接束の切断は微分一次形式 (1-form) と呼ばれる。
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