加群の層とは? わかりやすく解説

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加群の層

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/11/05 13:00 UTC 版)

数学において,O 加群の層 (sheaf of O-modules) あるいは単に環付き空間 (X, O) 上の O 加群 (O-module) とは, F であって,X の任意の開部分集合 U に対し,F(U)O(U) 加群であり,制限写像 F(U) → F(V) が制限写像 O(U) → O(V) と整合的なもの,すなわち O(U) の任意の fF(U) の任意の s に対し,fs の制限が f の制限と s の制限との積であるものである.

標準的な場合は XスキームO がその構造層であるときである.O定数層英語版 この節の加筆が望まれています。 2016年1月

層コホモロジーは計算が難しいことに定評がある.そのため,次の一般的な事実はどんな実際の計算に対しても基本的である:

定理 ― X を位相空間とし,F をその上のアーベル群の層とし,X の開被覆であって がすべての i, p, に対して成り立つものとする.このとき任意の i に対して

が成り立つ.ただし右辺は iチェックコホモロジー英語版である.

セールの定理A英語版により,X が射影多様体で F がその上の連接層のとき,十分大きい n に対して,F(n) は有限個の大域切断によって生成される.さらに,

(a) 任意の i に対して Hi(X, F)R0 上有限生成であり,
(b) (セールの定理B英語版F に依存する整数 n0 が存在して,
となる.

層の拡大

(X, O) を環付き空間とし,F, HX 上の O 加群の層とする.HF による拡大 (extension) とは,O 加群の短完全列

である.

群の拡大と同様,FH を固定すれば,HF による拡大の同値類全体はアーベル群をなし(cf. Baer和英語版),この群は Ext 群 と同型で,単位元は自明な拡大と対応する.

HO のとき次が成り立つ.すべての i ≥ 0 に対して

なぜならば両辺とも同じ関手 の右導来関手だからである.

注意:著者によっては(特にハーツホーン),添え字 O を書かない.

X をネーター環上の射影スキームとする.F, GX 上の連接層とし,i を整数とする.するとある n0 が存在して

となる[13]

関連項目

脚注

  1. ^ Vakil, Math 216: Foundations of algebraic geometry, 2.5.
  2. ^ Hartshorne, Ch. III, Proposition 2.2.
  3. ^ このコホモロジー関手はアーベル層の圏における大域切断関手の右導来関手と一致する; cf. Hartshorne, Ch. III, Proposition 2.6.
  4. ^ 標準的な準同型
    が存在し,F が有限表示のときこれは同型である (EGA, Ch. 0, 5.2.6.)
  5. ^ 連接層に対し,テンソル逆を持つことは階数 1 で局所自由であることと同じである;実は,次が成り立つ: である; F が連接であれば,F, G は階数 1 で局所自由である.(cf. EGA, Ch 0, 5.4.3.)
  6. ^ Hartshorne, Ch III, Lemma 2.4.
  7. ^ See also: http://math.stackexchange.com/questions/447220/hartshornes-weird-definition-of-right-derived-functors-and-prop-iii-2-6/447234#447234
  8. ^ Hartshorne, Ch. II, Proposition 5.1.
  9. ^ EGA I, Ch. I, Proposition 1.3.6.
  10. ^ a b EGA I, Ch. I, Corollaire 1.3.12.
  11. ^ EGA I, Ch. I, Corollaire 1.3.9.
  12. ^ Hartshorne, Ch. II, Proposition 5.11.
  13. ^ Hartshorne, Ch. III, Proposition 6.9.

参考文献




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