ベクトル束のスピン構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/05/21 09:31 UTC 版)
「スピン構造」の記事における「ベクトル束のスピン構造」の解説
M をパラコンパクト位相多様体(英語版)とし、M 上の向き付けられた n-次元ベクトル束 E はファイバー計量(英語版)を持つとする(これは、M の各点における E のファイバーが内積空間であることという意味である)。E のスピノル束は、M の各点に対して一貫した仕方でスピン表現を付随させるための処方箋になる。スピン構造を持つことが可能となることへの位相的障害が存在し、その結果として、与えられた束 E が如何なるスピノル束も持たないこともありうる。E がスピン構造を持つ場合、束 E はスピンである(スピン束)という。 このことは、主束を考えることによって厳密にすることができる。ベクトル束の正規直交標構(英語版)全体の成す集合は標構束(英語版) PSO(E) を成す(これは特殊直交群 SO(n) の作用の下での主束である)。PSO(E) に対するスピン構造とは、PSO(E) の(スピン群 Spin(n) の作用の下の)主束 PSpin(E) への持ち上げである。これはつまり、束写像 φ: PSpin(E) → PSO(E) が存在して、任意の p ∈ PSpin(E), g ∈ Spin(n) に対して φ(pg) = φ(p)ρ(g) が成り立つということを意味する。ここに、 ρ: Spin(n) → SO(n) はスピン群を SO(n) の二重被覆として表わす群準同型である。 E が底多様体 M 上の接束 TM である特別の場合には、スピン構造が存在するとき M をスピン多様体と呼ぶ。同じことだが、多様体 M がスピンであるとは、M の接ファイバーの正規直交基底のなす SO(n)-主束が、主スピン束の Z2-商であるときに言う。 多様体が胞体分割(英語版)や三角分割を持つとき、スピン構造は等価的に、1-骨格上の接束を 2-骨格上に拡張したものの自明化 (trivialization) のホモトピー類として考えることができる。次元が 3 より低い場合には、まず自明直線束とのホイットニー和をとる。
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