パラコンパクト空間
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数学において、パラコンパクト空間 (paracompact space) はすべての開被覆が局所有限な開細分を持つような位相空間である。これらの空間は Dieudonné (1944) によって導入された。すべてのコンパクト空間はパラコンパクトである。すべてのパラコンパクトハウスドルフ空間は正規であり、ハウスドルフ空間がパラコンパクトであることと、任意の開被覆に対しそれに従属する 1 の分割を持つことは同値である。パラコンパクト空間の定義にハウスドルフであることを含める場合もある。
- ^ Hatcher, Allen, Vector bundles and K-theory, preliminary version available on the author's homepage
- ^ Stone, A. H. Paracompactness and product spaces[リンク切れ]. Bull. Amer. Math. Soc. 54 (1948), 977-982
- ^ Rudin, Mary Ellen. A new proof that metric spaces are paracompact. Proceedings of the American Mathematical Society, Vol. 20, No. 2. (Feb., 1969), p. 603.
- ^ C. Good, I. J. Tree, and W. S. Watson. On Stone's Theorem and the Axiom of Choice. Proceedings of the American Mathematical Society, Vol. 126, No. 4. (April, 1998), pp. 1211–1218.
- ^ Brylinski, Jean-Luc (2007), Loop Spaces, Characteristic Classes and Geometric Quantization, Progress in Mathematics, 107, Springer, p. 32, ISBN 9780817647308.
- 1 パラコンパクト空間とは
- 2 パラコンパクト空間の概要
- 3 性質
- 4 バリエーション
- 5 関連項目
パラコンパクト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 08:36 UTC 版)
以上で述べた概念の中で重要なものの一つにパラコンパクトがある。本節ではパラコンパクトの性質について述べる。なおパラコンパクトの定義において我々は文献Kellyに従い、ハウスドルフ性を条件として課したが、書籍によってはハウスドルフ性を仮定していないので、注意が必要である。 パラコンパクトに関しては以下のようにも特徴づけられる。なお(ハウスドルフ性を満たす)パラコンパクトな空間は必ず正規空間になる事が知られている。 定理 (パラコンパクトの特徴づけ) ― ( X , O ) {\displaystyle (X,{\mathcal {O}})} を正則な位相空間とするとき、下記の条件は全て同値である: Xはパラコンパクト Xの任意の開被覆は局所有限で開な細分を持つ Xの任意の開被覆は局所有限で閉な細分を持つ ここで細分が開であるとは細分が開被覆になっている事を意味する。同様に細分が閉であるとは細分が被覆になっている事を意味する。上記の定理はパラコンパクトな空間において開被覆が単に局所有限な細分を持つだけでなく、局所有限でしかも開な細分や閉な細分を持つ事を保証している。 コンパクト性は開被覆が、(開な)部分被覆を持つ事を保証しているので、パラコンパクトな空間において開で局所有限な細分が保証される事は、コンパクト性において成り立っている議論をパラコンパクト性に拡張する際に有益である。 パラコンパクトな空間の重要な性質の一つとして、開被覆に従属する1の分割の存在が保証されるというものがある。この事実を述べるためにまず1の分割の定義、およびそれが開被覆と両立する事の定義を述べる: 定義 (1の分割) ― ( X , O ) {\displaystyle (X,{\mathcal {O}})} を位相空間とする。X上の1の分割(英: partition of unity)とは(fα)α∈AをXから[0,1]区間への連続関数 f α : X → [ 0 , 1 ] {\displaystyle f_{\alpha }\colon X\to [0,1]} で、以下の2性質を満たすものを言う。 集合族 { x ∈ X ∣ f α ( x ) ≠ 0 } α ∈ A {\displaystyle \{x\in X\mid f_{\alpha }(x)\neq 0\}_{\alpha \in A}} は局所有限 任意のx∈Xに対し、 ∑ α f α ( x ) = 1 {\displaystyle \sum _{\alpha }f_{\alpha }(x)=1} なお上述の条件1に対する関連概念として関数の台(英: support) s u p p ( f ) = { x ∈ X ∣ f ( x ) ≠ 0 } ¯ {\displaystyle \mathrm {supp} (f)={\overline {\{x\in X\mid f(x)\neq 0\}}}} が存在するが、1の分割の定義では関数の台と違い閉包を取っていない事に注意されたい。また条件2において和を取っているが、この和は条件1より各x∈Xに対して有限和である事が保証されているので、族(fα)α∈Aが仮に非可算無限個の元を持っていても和は意味を持つ。 定義 (開被覆に従属する1の分割) ― ( X , O ) {\displaystyle (X,{\mathcal {O}})} を位相空間とし、 ( O τ ) τ ∈ T {\displaystyle (O_{\tau })_{\tau \in T}} をXの開被覆とし、(fα)α∈AをXの1の分割とする。 任意のα∈Aに対し、あるτ∈Bが存在し、 { x ∈ X ∣ f α ( x ) ≠ 0 } ⊂ O τ {\displaystyle \{x\in X\mid f_{\alpha }(x)\neq 0\}\subset O_{\tau }} が成立するとき、(fα)α∈Aは ( O τ ) τ ∈ T {\displaystyle (O_{\tau })_{\tau \in T}} に従属する(英: subordinate)という。 A=Bであり、任意のα∈A=Bに対し、 { x ∈ X ∣ f α ( x ) ≠ 0 } ⊂ O α {\displaystyle \{x\in X\mid f_{\alpha }(x)\neq 0\}\subset O_{\alpha }} が成立するとき、(fα)α∈Aは ( O τ ) τ ∈ T {\displaystyle (O_{\tau })_{\tau \in T}} に正確に従属する(英: precisely subordinate)という。 パラコンパクトな空間は開被覆に従属する1の分割で特徴づけられる: 定理 (1の分割によるパラコンパクトの特徴づけ) ― ( X , O ) {\displaystyle (X,{\mathcal {O}})} がハウスドルフ空間であるとき、下記の条件は全て同値である: Xはパラコンパクト Xの任意の開被覆 S {\displaystyle {\mathcal {S}}} に対し、 S {\displaystyle {\mathcal {S}}} に従属する1の分割が存在する。 Xの任意の開被覆 S {\displaystyle {\mathcal {S}}} に対し、 S {\displaystyle {\mathcal {S}}} に正確に従属する1の分割が存在する。
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