複素多様体
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/11 01:01 UTC 版)
微分幾何学で複素多様体(ふくそたようたい、英: complex manifold)とは、多様体上の各点の開近傍が、 の中の単位開円板への正則な座標変換を持つ多様体のことを言う[注釈 1]。座標変換が正則である場合には、の中で、コーシー・リーマンの方程式の制約を受ける。
- ^ Cn に代り、モデル空間としてCn の中の単位開円板を使う必要がある。複素多様体の場合は、実(解析)多様体の場合とは異なり、これらは同型ではないからである。
- ^ シュタイン多様体は普通は複数変数の場合を言い。1変数の場合と違い、複数変数の場合はさらに制限が厳しくなり、様子が異なる。多変数複素関数の項目も参照のこと。
- ^ 英語での"manifold"は、位相多様体、PL多様体、微分可能多様体など総称して使用され、一方、"variety"は代数多様体の場合に使用される。英語ではこれらの間に区別があるが、日本語では『多様体』と同じ訳語を使用する。
- ^ この例は、実数の場合とは対照的に、全ての複素射影空間は向きづけ可能であることを意味する。
- ^ ホップ多様体である多様体 は に微分同相である. これはケーラー多様体ではあり得ない。実際、H の第一コホモロジー群は奇数次元で、ホッジ分解により、コンパクトなケーラー多様体はいつも偶数次元であるからである。
複素構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/21 17:28 UTC 版)
複素ベクトル束は実ベクトル束に付加的な構造、複素構造 (complex structure) を付け加えたものと考えることができる。定義により複素構造は実ベクトル束 E とそれ自身の間の束写像: J : E → E {\displaystyle J\colon E\to E} であって J がファイバー上 −1 の平方根 i として作用するものである、つまり、 J x : E x → E x {\displaystyle J_{x}\colon E_{x}\to E_{x}} がファイバーのレベルでの写像であれば、線型写像として J x 2 = − 1 {\displaystyle J_{x}^{2}=-1} である。E が複素ベクトル束であれば、複素構造 J を、 J x {\displaystyle J_{x}} を i {\displaystyle i} によるスカラー乗法とすることで定義できる。逆に、E が複素構造 J を持った実ベクトル束であれば、次のようにして E を複素ベクトル束にすることができる:任意の実数 a, b と、ファイバー Ex の実ベクトル v に対して、 ( a + i b ) v = a v + J ( b v ) . {\displaystyle (a+ib)v=av+J(bv).} 例: 実多様体 M の接束上の複素構造は通常概複素構造と呼ばれる。ニューランダー・ニーレンバーグの定理は、概複素構造 J が「可積分」であること、つまりある複素多様体の構造から誘導されることと、J に関するあるテンソルが消えることが同値であるという定理である。
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複素構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/30 16:46 UTC 版)
複素解析において、複素数平面のアニュラス ann(a; r, R) は r < | z − a | < R {\displaystyle r<|z-a|<R} で定義される開領域のことを言う。r が 0 のとき、この領域は点 a を中心とする半径 R の穴空き円板 (punctured disk) である。 複素平面の部分集合として、アニュラスはリーマン面と考えることができる。アニュラスの複素構造は比 r/R のみに依存する。実際、各アニュラス ann(a; r, R) は z ↦ z − a/R と置くことにより、大きい方の半径が 1 で原点に中心を持つ標準アニュラス ann(0; r/R, 1) に正則に写る。 アダマールの三円定理は正則関数がアニュラスの内部で取り得る最大値について述べる。
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