リボスイッチのタイプ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/19 14:32 UTC 版)
「リボスイッチ」の記事における「リボスイッチのタイプ」の解説
次のようなリボスイッチのタイプが知られている。 TPPリボスイッチ(またはTHI-ボックス):ピロリン酸チアミン(TPP)を結合しチアミンの合成と輸送、また類似代謝産物の輸送を調節する。 FMNリボスイッチ(RFN-エレメント):フラビンモノヌクレオチド(FMN)を結合しリボフラビンの合成と輸送を調節する。 コバラミンリボスイッチ(B12エレメント):アデノシルコバラミン(ビタミンB12の補酵素形)を結合しコバラミンの合成、コバラミンや類似代謝産物の輸送、また他の遺伝子を調節する。 SAMリボスイッチ:S-アデノシルメチオニン(SAM)を結合しメチオニンとSAMの合成と輸送を調節する。SAM-I(初めはS-ボックスと呼ばれた)、SAM-II、およびSMKボックスという、3つの異なるSAMリボスイッチが知られている。SAM-Iは細菌に広く見られるが、SAM-IIはα-、β-、および一部のγ-プロテオバクテリアに見られるのみである。SMKボックスリボスイッチはラクトバチルス目Lactobacillalesにのみ見られる。これら3種類のリボスイッチは配列や構造に関して類似点は見られない。4番目のSAM-IVリボスイッチはSAM-Iリボスイッチとリガンド結合中心だけは似ているが、全体の骨格は異なる。 PreQ1リボスイッチはキューオシン(queuosine、tRNAにある特殊塩基)の前駆体プレキューオシンpre-queuosine1を結合し、これからのキューオシン合成または輸送に関わる遺伝子を調節する。PreQ1リボスイッチには、PreQ1-IとPreQ1-IIという全く異なる2つのクラスが知られている。PreQ1-Iの結合ドメインは天然のリボスイッチの中では際立って小さい。PreQ1-IIはストレプトコッカス属Streptococcusとラクトコッカス属Lactococcusの一部の種にのみ見られるが、大きくて全く異なる。 SAHリボスイッチはS-アデノシルホモシステイン(S-アデノシルメチオニンがメチル化に使われたとき生じる)を結合してこの化合物のリサイクルに関わる遺伝子を調節する。 プリンリボスイッチはプリンを結合してプリンの代謝と輸送を調節する。プリンリボスイッチにはグアニン(初めG-ボックスと呼ばれた)またはアデニンを結合する異なる形がある。グアニンとアデニンに対する特異性は、専らリボスイッチのY74位のピリミジンとのワトソン・クリック型相互作用(A-U、G-Cの相補的結合)による。グアニンリボスイッチではこの位置は常にシトシン(C74)であり、アデニンリボスイッチでは常にウラシル(U74)である。似たものとしてデオキシグアノシンを結合するタイプのプリンリボスイッチもあるが、上記のような一塩基置換ではなくもっと大きな違いがある。 リジンリボスイッチ(L-ボックスともいう)はリジンを結合してリジンの生合成、分解、輸送を調節する。 glmSリボスイッチ:十分な濃度のグルコサミン-6-リン酸がある場合に自己開裂する。 グリシンリボスイッチ:グリシンリボスイッチはグリシンを結合することで、グリシンのエネルギー源化を含むグリシン代謝遺伝子を調節する。2007年現在、このリボスイッチは協同的結合を示す唯一の天然RNAで、これは同じmRNAに隣り合って存在する2つのアプタマードメインにより行われる。 サイクリックdi-GMPリボスイッチ:シグナル分子である環状GMP二量体を結合することで、このシグナル分子により制御される様々な遺伝子を調節する。予測されているリボスイッチには次のものがある: Moco RNAモチーフは、モリブデン補助因子を結合し、この補助因子の生合成と輸送に関わる遺伝子、またこの補助因子または誘導体を補酵素とする酵素の遺伝子を調節すると予測されている。
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