リボスイッチの同定法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/19 14:32 UTC 版)
「リボスイッチ」の記事における「リボスイッチの同定法」の解説
リボスイッチが実験的に示される前にも、いくつかのグループが5' 非翻訳領域に、構造をもったRNAと見られる保存された配列"モチーフ"(パターン)を認めていた。例えば一緒に調節されると予想されていたいくつかの遺伝子の上流配列の比較分析から、S-ボックス(現在のSAM-Iリボスイッチ)、THI-ボックス(現在のTPPリボスイッチ)、RFNエレメント(現在のFMNリボスイッチ)が報告され、そしてある場合には機序は不明ながら遺伝子調節に関わっていることが実験的に示された。コバラミン生合成のように、長く研究されながらその調節機序がわからない経路についても、リボスイッチが存在するとの仮説に基づいて文献情報から部分的に同定している研究者もいる。初めに触れたように、2002年にいくつかの報告で、モチーフと、それまで調節機序の知られていなかった経路がリボスイッチによって制御されることが知られた。あるRNA要素がリボスイッチであることを証明するには、インビトロではそのRNAが低分子リガンドを結合すること、またインビボではリボスイッチが細胞内で遺伝子発現を制御することを示す必要がある。インビトロでの結合試験としては、"in-line probing"(RNAの自然分解パターンの違いによりリガンド結合による二次構造の変化を検出する方法)のようにリボスイッチの構造に基づく方法、またゲル濾過試験(リボスイッチを結合した膜を放射標識したリガンドが通過しないのを利用する)や平衡透析試験(放射標識したリガンドがRNAを含まないチェンバーよりもRNAを含むチェンバーに高濃度で存在することを利用する)がある。現在では、基礎的な比較ゲノミクスの手法で自動化が進んでいることもあり、バイオインフォマティクスが重要となりつつある。Barrickら(2004)はBLASTを用いて枯草菌Bacillus subtilisのすべての非翻訳領域(UTR)に相同なUTRを見つけ出した。これらの相同配列の一部につき保存された構造があるか調べたところ、10種類のRNA様モチーフが見つかった。そのうち3種類は後に実験的にglmS、グリシン、PreQ1-Iの各リボスイッチとして同定された。次いで他の細菌群も含め、改良されたコンピュータアルゴリズムを用いた比較ゲノミクス研究により、その他のリボスイッチも同定された。
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