リウヴィルの定理 (物理学)
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ハミルトン力学におけるリウヴィルの定理(英: Liouville's theorem)とは、確率分布がどのように時間発展するかを予言する定理であり、フランスのジョゼフ・リウヴィル(リュービル、リウヴィユ)によって発見された。
典型的に、τ が位置と運動量の座標を表すとして、ρ は系が相空間の微小体積 dτ 中に見つかる確率である。τ は N 個の粒子の系において、変数の組を表すのに便利な簡潔的表現である。
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相空間内の古典系のアンサンブルの発展(top)。各々の系は 1-次元の井戸型ポテンシャル(赤い曲線、下方の図)の中のひとつのある質量からなる。アンサンブルの個々のメンバーの運動はハミルトン方程式により与えられるが、リウヴィル方程式は全体の分布のフローを記述する。運動は非圧縮性流体中の浮かぶ微小な粒子の運動に類似している。 リウヴィル方程式は、相空間上の分布関数の時間発展を記述する。この方程式は通常、「リウヴィル方程式」と呼ばれる。ウィラード・ギブズは、最初に統計力学の基本方程式としてのこの方程式の重要性を認識した[1][2]。この非標準的な系の微分を、1838年にリウヴィルが導入するとき、最初の等式を使ったことから、リウヴィル方程式と呼ばれるようになった[3]。
リウヴィル方程式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 08:24 UTC 版)
「リウヴィルの定理 (物理学)」の記事における「リウヴィル方程式」の解説
相空間内の古典系のアンサンブルの発展(top)。各々の系は 1-次元の井戸型ポテンシャル(赤い曲線、下方の図)の中のひとつのある質量からなる。アンサンブルの個々のメンバーの運動はハミルトン方程式により与えられるが、リウヴィル方程式は全体の分布のフローを記述する。運動は非圧縮性流体中の浮かぶ微小な粒子の運動に類似している。 リウヴィル方程式は、相空間上の分布関数の時間発展を記述する。この方程式は通常、「リウヴィル方程式」と呼ばれる。ウィラード・ギブズは、最初に統計力学の基本方程式としてのこの方程式の重要性を認識した。この非標準的な系の微分を、1838年にリウヴィルが導入するとき、最初の等式を使ったことから、リウヴィル方程式と呼ばれるようになった。 i = 1 , … , n {\displaystyle i=1,\dots ,n} として、正準座標 qi と共役運動量 pi を持つハミルトン力学系を考える。すると、相空間の分布 ρ ( p , q ) {\displaystyle \rho (p,q)} は、無限小の相空間体積 d n q d n p {\displaystyle \mathrm {d} ^{n}q\,\mathrm {d} ^{n}p} の中にある確率 ρ ( p , q ) d n q d n p {\displaystyle \rho (p,q)\,\mathrm {d} ^{n}q\,\mathrm {d} ^{n}p} を決定する。リウヴィル方程式は、時刻 t での ρ ( p , q ; t ) {\displaystyle \rho (p,q;t)} の時間発展を統制する。 d ρ d t = ∂ ρ ∂ t + ∑ i = 1 n ( ∂ ρ ∂ q i q ˙ i + ∂ ρ ∂ p i p ˙ i ) = 0. {\displaystyle {\frac {\mathrm {d} \rho }{\mathrm {d} t}}={\frac {\partial \rho }{\partial t}}+\sum _{i=1}^{n}\left({\frac {\partial \rho }{\partial q_{i}}}{\dot {q}}_{i}+{\frac {\partial \rho }{\partial p_{i}}}{\dot {p}}_{i}\right)=0.} リウヴィル方程式は相空間の分布函数(英語版)の時間発展を記述する。方程式は、通常「リウヴィルの方程式」と呼ばれているが、最初に統計力学の基本方程式として重要であることを認識したのは、ウィラード・ギブズである。非正準力学系の方程式の導出は、1828年にリウヴィルによって導かれた恒等式を使っているので、リウヴィル方程式と呼ばれる。 時間微分はドットで表され、系のハミルトン方程式に従い値が求められる。この方程式は、相空間における密度の保存を表している(この定理には、ウィラード・ギブスの名前が付けられた定理であった)。リウヴィルの定理は、 「分布函数は相空間内のすべての軌跡に沿って定数である」 という定理である。 リウヴィルの定理の証明は、発散定理の n 次元版を使っている。この証明は、発展 ρ は連続の方程式の n 次元版に従うという事実 ∂ ρ ∂ t + ∑ i = 1 n ( ∂ ( ρ q ˙ i ) ∂ q i + ∂ ( ρ p ˙ i ) ∂ p i ) = 0 {\displaystyle {\frac {\partial \rho }{\partial t}}+\sum _{i=1}^{n}\left({\frac {\partial (\rho {\dot {q}}_{i})}{\partial q_{i}}}+{\frac {\partial (\rho {\dot {p}}_{i})}{\partial p_{i}}}\right)=0} に基づいている。 すなわち、三つ組 ( ρ , ρ q ˙ i , ρ p ˙ i ) {\displaystyle (\rho ,\rho {\dot {q}}_{i},\rho {\dot {p}}_{i})} は保存カレント(英語版)である。リウヴィル方程式と項 ρ ∑ i = 1 n ( ∂ q ˙ i ∂ q i + ∂ p ˙ i ∂ p i ) = ρ ∑ i = 1 n ( ∂ 2 H ∂ q i ∂ p i − ∂ 2 H ∂ p i ∂ q i ) = 0 , {\displaystyle \rho \sum _{i=1}^{n}\left({\frac {\partial {\dot {q}}_{i}}{\partial q_{i}}}+{\frac {\partial {\dot {p}}_{i}}{\partial p_{i}}}\right)=\rho \sum _{i=1}^{n}\left({\frac {\partial ^{2}H}{\partial q_{i}\,\partial p_{i}}}-{\frac {\partial ^{2}H}{\partial p_{i}\partial q_{i}}}\right)=0,} との差異に注意する。ここに H はハミルトニアンで、ハミルトンの方程式が使われている。相空間を系の点の「流体のフロー」とみなすと、「速度場」 ( p ˙ , q ˙ ) {\displaystyle ({\dot {p}},{\dot {q}})} が相空間の中では発散が 0 である(ハミルトンの関係式により)ということに注意すると、密度の物質微分 d ρ / d t {\displaystyle \mathrm {d} \rho /\mathrm {d} t} が 0 であることが、連続の方程式に従う。 もうひとつの別な説明は、相空間を通る点の集まりの軌跡を考えることである。ある座標 – pi の中の集まりの流れ、いわば – は、対応する qi 方向へ収縮し、積 ΔpiΔqi が定数のままであることを、直接示すことができる。 同じことであるが、保存カレントの存在は、ネーターの定理を通して、対称性の存在を導く。対称性は時間変換に対し不変で、対称性の生成子(もしくは、ネーター・カレントはハミルトニアンである。
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