リウヴィル方程式とは? わかりやすく解説

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リウヴィルの定理 (物理学)

(リウヴィル方程式 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/21 13:33 UTC 版)

ハミルトン力学におけるリウヴィルの定理: Liouville's theorem)とは、確率分布がどのように時間発展するかを予言する定理であり、フランスジョゼフ・リウヴィル(リュービル、リウヴィユ)によって発見された。

典型的に、τ が位置と運動量座標を表すとして、ρ は系が相空間の微小体積 dτ 中に見つかる確率である。τN 個の粒子の系において、変数の組を表すのに便利な簡潔的表現である。

相空間内の古典系のアンサンブルの発展(top)。各々の系は 1-次元の井戸型ポテンシャル(赤い曲線、下方の図)の中のひとつのある質量からなる。アンサンブルの個々のメンバーの運動はハミルトン方程式により与えられるが、リウヴィル方程式は全体の分布のフローを記述する。運動は非圧縮性流体中の浮かぶ微小な粒子の運動に類似している。

リウヴィル方程式は、相空間上の分布関数の時間発展を記述する。この方程式は通常、「リウヴィル方程式」と呼ばれる。ウィラード・ギブズは、最初に統計力学の基本方程式としてのこの方程式の重要性を認識した[1][2]。この非標準的な系の微分を、1838年にリウヴィルが導入するとき、最初の等式を使ったことから、リウヴィル方程式と呼ばれるようになった[3]


リウヴィル方程式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 08:24 UTC 版)

リウヴィルの定理 (物理学)」の記事における「リウヴィル方程式」の解説

相空間内の古典系アンサンブル発展top)。各々の系は 1-次元井戸型ポテンシャル(赤い曲線下方の図)の中のひとつのある質量からなるアンサンブル個々メンバー運動ハミルトン方程式により与えられるが、リウヴィル方程式は全体分布フロー記述する運動非圧縮性流体中の浮かぶ微小な粒子の運動類似している。 リウヴィル方程式は、相空間上の分布関数時間発展記述するこの方程式通常、「リウヴィル方程式」と呼ばれるウィラード・ギブズは、最初に統計力学基本方程式としてのこの方程式重要性認識した。この非標準的な系の微分を、1838年にリウヴィルが導入するとき、最初等式使ったことから、リウヴィル方程式と呼ばれるようになった。 i = 1 , … , n {\displaystyle i=1,\dots ,n} として、正準座標 qi共役運動量 pi を持つハミルトン力学系を考える。すると、相空間分布 ρ ( p , q ) {\displaystyle \rho (p,q)} は、無限小相空間体積 d n q d n p {\displaystyle \mathrm {d} ^{n}q\,\mathrm {d} ^{n}p} の中にある確率 ρ ( p , q ) d n q d n p {\displaystyle \rho (p,q)\,\mathrm {d} ^{n}q\,\mathrm {d} ^{n}p} を決定する。リウヴィル方程式は、時刻 t での ρ ( p , q ; t ) {\displaystyle \rho (p,q;t)} の時間発展統制する。 d ρ d t = ∂ ρ ∂ t + ∑ i = 1 n ( ∂ ρ ∂ q i q ˙ i + ∂ ρ ∂ p i p ˙ i ) = 0. {\displaystyle {\frac {\mathrm {d} \rho }{\mathrm {d} t}}={\frac {\partial \rho }{\partial t}}+\sum _{i=1}^{n}\left({\frac {\partial \rho }{\partial q_{i}}}{\dot {q}}_{i}+{\frac {\partial \rho }{\partial p_{i}}}{\dot {p}}_{i}\right)=0.} リウヴィル方程式は相空間分布函数英語版)の時間発展記述する方程式は、通常「リウヴィルの方程式」と呼ばれているが、最初に統計力学基本方程式として重要であることを認識したのは、ウィラード・ギブズである。非正準力学系方程式導出は、1828年にリウヴィルによって導かれ恒等式使っているので、リウヴィル方程式と呼ばれる時間微分ドット表され、系のハミルトン方程式従い値が求められるこの方程式は、相空間における密度保存表している(この定理には、ウィラード・ギブスの名前が付けられ定理であった)。リウヴィルの定理は、 「分布函数相空間内のすべての軌跡沿って定数である」 という定理である。 リウヴィルの定理の証明は、発散定理n 次元版使っている。この証明は、発展 ρ は連続の方程式n 次元版に従うという事実 ∂ ρ ∂ t + ∑ i = 1 n ( ∂ ( ρ q ˙ i ) ∂ q i + ∂ ( ρ p ˙ i ) ∂ p i ) = 0 {\displaystyle {\frac {\partial \rho }{\partial t}}+\sum _{i=1}^{n}\left({\frac {\partial (\rho {\dot {q}}_{i})}{\partial q_{i}}}+{\frac {\partial (\rho {\dot {p}}_{i})}{\partial p_{i}}}\right)=0} に基づいている。 すなわち、三つ組 ( ρ , ρ q ˙ i , ρ p ˙ i ) {\displaystyle (\rho ,\rho {\dot {q}}_{i},\rho {\dot {p}}_{i})} は保存カレント英語版)である。リウヴィル方程式と項 ρ ∑ i = 1 n ( ∂ q ˙ i ∂ q i + ∂ p ˙ i ∂ p i ) = ρ ∑ i = 1 n ( ∂ 2 Hq ip i − ∂ 2 Hp iq i ) = 0 , {\displaystyle \rho \sum _{i=1}^{n}\left({\frac {\partial {\dot {q}}_{i}}{\partial q_{i}}}+{\frac {\partial {\dot {p}}_{i}}{\partial p_{i}}}\right)=\rho \sum _{i=1}^{n}\left({\frac {\partial ^{2}H}{\partial q_{i}\,\partial p_{i}}}-{\frac {\partial ^{2}H}{\partial p_{i}\partial q_{i}}}\right)=0,} との差異注意する。ここに H はハミルトニアンで、ハミルトン方程式使われている。相空間を系の点の「流体フロー」とみなすと、「速度場」 ( p ˙ , q ˙ ) {\displaystyle ({\dot {p}},{\dot {q}})} が相空間の中では発散が 0 である(ハミルトン関係式により)ということ注意すると、密度物質微分 d ρ / d t {\displaystyle \mathrm {d} \rho /\mathrm {d} t} が 0 であることが、連続の方程式に従う。 もうひとつ別な説明は、相空間を通る点の集まり軌跡考えることである。ある座標pi の中の集まり流れ、いわば – は、対応する qi 方向収縮し、積 ΔpiΔqi定数のままであることを、直接示すことができる。 同じことであるが、保存カレント存在は、ネーターの定理通して対称性存在を導く。対称性時間変換対し不変で、対称性生成子もしくは、ネーター・カレントはハミルトニアンである。

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