量子リウヴィル方程式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 07:34 UTC 版)
「リウヴィルの定理 (物理学)」の記事における「量子リウヴィル方程式」の解説
正準量子化によってこの定理の量子力学版がもたらされ、密度行列の時間発展を記述する。この手続きは古典系から量子系の類似法則を作り出すのによく使われるが、そのためにはハミルトン力学を使って古典系を記述することが必要となる。古典力学的な変数は、量子力学的な演算子に解釈し直され、ポアソン括弧は交換子に置き換えられる。この場合の結果の量子化された方程式は、 ∂ ∂ t ρ = i ℏ [ ρ , H ] {\displaystyle {\frac {\partial }{\partial t}}\rho ={\frac {i}{\hbar }}[\rho ,H]} となる。ここでρは密度行列である。これを量子リウヴィル方程式(またはフォン・ノイマン方程式)と呼ぶ。 観測量の期待値へ適用するとき、対応する方程式はエーレンフェストの定理により与えられ、次の形をとる。 d d t ⟨ A ⟩ = 1 i ℏ ⟨ [ A , H ] ⟩ . {\displaystyle {\frac {d}{dt}}\langle A\rangle ={\frac {1}{i\hbar }}\langle [A,H]\rangle \ .} ここに A は観測量である。符号の違いは、作用素が定常的であり状態は時間依存するという前提からくることに注意する必要がある。 リウヴィルの定理は、統計力学の基礎としても重要である。粒子の衝突など、正準方程式に従わない場合はリウヴィルの定理はそのままでは成り立たず、これを記述するのがボルツマン方程式である。
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