正準量子化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/23 13:00 UTC 版)
正準量子化(せいじゅんりょうしか、英: canonical quantization)とは、古典力学的な理論から量子力学的な理論を推測する手法(量子化)の一種である[1]。具体的には、ハミルトン力学(ハミルトン形式の古典力学)での正準変数を、正準交換関係をみたすようなエルミート演算子に置き換える。この方法では、ハミルトン力学におけるポアソン括弧が、量子力学での交換関係に対応している[2]。正準量子化により、古典力学では可換であった力学量(c-数、cはclassicalを表す)のなす代数は、量子力学では非可換な力学量(q-数、qはquantumを表す)のなす代数に移行する。
解説
正準量子化とは、量子力学的な系を扱う際に、古典力学から量子力学での対応則を構成する手法である。その具体的な手続きは、以下のようにまとめられる[1]。
正準量子化の手続き
- 対象とする系をハミルトン力学(正準形式)で記述する。
- 正準形式における正準変数(q, p)を、正準交換関係を満たす演算子 (, )に置き換える。
- 正準変数(q, p)の関数である古典的力学量A(q, p)について、正準変数の項を2で定めた演算子 (, )に置き換える。この操作によって、古典的力学量A=A(q, p)の量子力学的対応物=(, )を定める。
2の操作を、より詳細に述べると以下のようになる。
1自由度の場合
古典的な正準変数 (q, p)を、正準交換関係
正準量子化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/09 09:24 UTC 版)
詳細は「正準量子化」および「第二量子化」を参照 場の理論の正準量子化は古典力学から量子力学を構築するのと類似した方法である。古典的な場は正準座標と呼ばれる力学変数として扱われ、その時間微分は正準運動量である。これらの間の交換関係は、量子力学における粒子の位置と運動量の間の交換関係と全く同じものである。技術的には、生成消滅演算子 (en) の組み合わせを通して場を演算子へ変換することができる。場の演算子 (en) はその理論の量子状態に作用する。最も低いエネルギー状態は真空状態と呼ばれる。場を演算子へと変換するこの手続きを第二量子化という。 この手続きは、どんな内部対称性を持った場であろうと、フェルミ粒子またはボース粒子の場であろうと、あらゆる場の理論の量子化へと適用することができる。しかしながら、正準量子化が真空状態の記述は非常に単純であり、多くの異なる真空期待値によって特徴付けられる複雑な真空 (en) を持つことで知られる量子色力学のようないくつかの場の量子論においては容易に利用できない。
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