ラテンアメリカでの関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 01:29 UTC 版)
「ウゴ・チャベス」の記事における「ラテンアメリカでの関係」の解説
キューバのフィデル・カストロ議長とは親密な関係を築いているほか、ブラジルをはじめとしたラテンアメリカ諸国とも積極的に関係構築を進めており、2006年にはベネズエラのメルコスール入りも果たした。 アメリカやコロンビアはチャベス大統領がコロンビア革命軍(FARC)を支援していると批判している。2004年12月13日にはコロンビア側がFARCの外交担当幹部ロドリゴ・グランダをカラカスで拉致。一時期両国関係は極めて悪化した。またコロンビアは、2008年3月1日にエクアドル領内に侵攻し、人質解放交渉にあたり同地で野営していたFARC幹部、ラウル・レジェスらを殺害した。この際、レジェスの遺した文書からチャベス大統領によるFARCへの巨額な資金援助の事実が確認されたと発表し、アルバロ・ウリベ大統領は、チャベス大統領を国際司法裁判所に提訴する意向を示した。このコロンビア政府の発表に対し、チャベス大統領はエクアドル、ニカラグアと共に戦争も辞さずという対決姿勢を示し、一時は対コロンビア国境に三国軍が集結するという極めて危険な事態となったが、米州機構の仲介もあり、コロンビアが主権侵害について謝罪の姿勢を見せることで一応の決着をみた(アンデス危機)。 このような南米における親米派筆頭と呼ぶべきコロンビアとの対立関係は、2007年11月28日の国交断絶発表という事態を招きつつ、2007年12月末に、FARCに拉致されていたコロンビアの政治家クララ・ロハス(Clara Rojas)、コンスエロ・ゴンサーレス(Consuelo González)の解放交渉への介入など、主としてFARCを間に挟む形で継続している。もっとも、国交断絶発表と言っても大使の召還等を伴う実際的なものではなく、大衆向けのアジテーションの側面が強かった。ところが、2009年8月に入りコロンビアがアメリカと軍事同盟を結んだことについて「宣戦布告」と猛反発し、2009年8月25日現在、コロンビアとの国交断絶を予告している。ちなみに、陸軍力はコロンビアがベネズエラに対して圧倒的に優勢であるため、実際にベネズエラがコロンビアに対して戦争を仕掛けることは困難と考えられる。また、ベネズエラの盟邦であるエクアドルの陸軍力を合わせても、コロンビアが勝っている。また、両国は政治的対立を続ける一方で、経済的には密接な関係を維持していたが、チャベス大統領は2009年7月に入って以降コロンビア産の自動車を輸入禁止にし、ベネズエラ国内の石油開発事業への参加を認めないとするなど、関係が険悪化している。乳製品、穀物、肉類などについてはベネズエラの盟邦であるキューバから輸入するとしている。 2010年2月22日から23日まで開かれた中南米諸国の首脳会議の昼食会において、チャベス大統領はコロンビアのウリベ大統領に対し、「くたばりやがれ」などと言い放ち、ウリベと激しい口論になった(キューバのラウル・カストロ議長が割って入り、事は収まった)。2010年7月22日、コロンビアとの国交を断絶。国境に「全面的非常態勢」を敷くよう軍に命令した が、サントス新大統領の就任直後の8月10日に同国とは国交を回復した。 キューバのラウル・カストロ政権やボリビアのエボ・モラレス政権、エクアドルのラファエル・コレア政権、ニカラグアのダニエル・オルテガ政権とは反米勢力の陣営として友好的で、ブラジル、アルゼンチンは極端な反米ではないものの両国とも友好的で、ラテンアメリカの反米国家とは友好関係であった。モラレス大統領就任以前のボリビア国内においても、チャベスが同国の先住民系反政府武装勢力を支援していた可能性が指摘されている。チャベス大統領とモラレス大統領は反米勢力として友好的で、両者共に豊富な石油資源を国有化した。自ら立ち上げたペトロカリブ(英語版)によって友好的なカリブ諸国には原油を優先的に提供した。盟友関係を築いたアルゼンチンのネストル・キルチネル大統領が2010年10月に急逝した際には、故キルチネル大統領の故郷であるパタゴニア南部のリオ・ガジェゴスまで足を運び、最後の埋葬に立ち会った。また、その後はキルチネル大統領の妻で、2007年に大統領に就任したクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネルとの間で同様の盟友関係を築いた。自ら立ち上げたペトロカリブ(英語版)によって友好的なカリブ諸国には原油を優先的に提供した。 かねてから構想を提唱していた「ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体」は2011年7月にカラカスで正式に設置された(前段階としてラ米・カリブ首脳会議が存在した)。また、2007年にマルガリータ島で行われた第一回南米エネルギー首脳会議(英語版)での南米諸国連合の設立でも主導的な役割を果たし、南米銀行(英語版)の本部はカラカスに置かれた。
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