モデル・マイノリティとしてのステレオタイプ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 22:51 UTC 版)
「アメリカ合衆国における東アジア人のステレオタイプ」の記事における「モデル・マイノリティとしてのステレオタイプ」の解説
詳細は「en:Model minority」を参照 アジア系アメリカ人は「モデル・マイノリティ」として好意的なステレオタイプにもなっている。アジア人は一般的に勤勉、政治に攻撃的でない、勉強家、博識、生産的、無害であるとしてその社会的地位を上げている。しかしアジア系アメリカ人の一部はそうあるべきと要求されているように感じ、不正確であるとしてこのステレオタイプを排除する行動をする。学者、活動家、アメリカの主要メディアの多くはこのステレオタイプと実態は逆であるとして、アジア系アメリカ人の成功を誇張し誤認しているとしている。この誤認を明かそうとする者によると、モデル・マイノリティのステレオタイプはアジア系アメリカ人を他の少数民族から隔て、現在のアメリカでまだ正されていないアジア系アメリカ人の問題や欠如を覆い隠している。例えばアジア系アメリカ人が平均以上の収入を得ていると問題を目立たなくし、「竹の天井」のように経営者や重役などの最高レベルへの出世が阻害されるとの概念が広がっており、実際アジア系アメリカ人は白人の同僚と同じだけの給料を得るにはより高い学歴、より多くの労働時間が必要となる。 モデル・マイノリティのイメージはアジア系アメリカ人の学生にもダメージを与える。問題がないと思い込まれることは、実際に教育者に学問上困っているアジア系アメリカ人の学生を見落とさせる。 アジア系アメリカ人で25歳以上の25.2%が学士取得者であるのに対し、アメリカ人全体では15.5%しか学士取得者がいない。そのためアジア系アメリカ人が成功しているとの印象を与えている。しかしカンボジア系は6.9%、ラーオ族系は6.2%しか学士を取得していない。研究者によると、これはそれぞれの国の内戦からくる深刻な精神的問題や貧困に起因している。アジア系アメリカ人が成功していると見なすステレオタイプにも関わらず、モン族系アメリカ人、難民や亡命者からなるアジア系アメリカ人の8割が失業している。 アジア系アメリカ人の犯罪率は、アメリカ国内の他の人種や民族と比較して極端に低い。しかしモデル・マイノリティに反した犯罪や非倫理的行動をすることもある。2007年、アジア系アメリカ人は不正行為、銃乱射事件、政治腐敗に携わった。チョ・スンヒによりバージニア工科大学銃乱射事件が起こされ、チョ自身を含む33名が亡くなった。コリアンアメリカンが起こした銃乱射事件にアメリカ社会は震撼した。他に、ヒラリー・クリントンへの巨額献金を行なった中国系のノーマン・シュー、サンフランシスコ行政官の中国系のエド・ジュウ、韓国の大統領李明博のビジネス・パートナーとなったロサンゼルス市議のKim Kyung Joonなどの逮捕が話題になった。また2007年、デューク大学フューク・スクール・オブ・ビジネスの経営学修士の主に東アジア系の学生34名が不正行為に携わった。うち9名が退学処分、15名が1年間の停学、残りが落第となった。 2013年、モデル・マイノリティのイメージは、ハーバード大学の3名が逮捕されるなどアジア系アメリカ人の学生によって失墜させられた。うちEldo Kimは最終試験の回避のため、ハーバード大学のキャンパスへの爆破予告で逮捕され、全国ニュースとなった。ミシガン大学卒業生Bosung Shimは医学大学院進学適性テストの点数を書き換えるためウエブサイトをハッキングし、連邦刑務所に処せられた。 他の影響としては、アジア系アメリカ人にはまだ差別の問題があるにも関わらず、まるでないかのような扱いを受けることがある。人種差別のヒエラルキーが構築されており、アジア系アメリカ人は他の人種と比べて差別に関してそれほど重要視されていないことを問題としている。アジア系アメリカ人の成功および好意的なステレオタイプにより、人種差別やアメリカ社会において問題に直面していないと見なされ、アジア系アメリカ人のコミュニティは経済的平等、高学歴と考えられている。
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