マルコス政権時代::気象局からPAGASAへ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 07:03 UTC 版)
「フィリピン大気地球物理天文局」の記事における「マルコス政権時代::気象局からPAGASAへ」の解説
1972年、布告1081号による戒厳令下で、フェルディナンド・マルコス大統領は、フィリピン政府の統合再編計画(1972年大統領令1号)の一環として、大気地球物理天文科学法(1972年大統領令78号)に基づき、気象局を廃止しフィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)を設立した。この新しい局は国防省(DND)の管理下に置かれた。 当初 PAGASA は四局体制で発足した。国家気象局(National Weather Service)は気象および洪水に関する予報と警報の作成と発表を担った。国家大気地球物理天文データ局(National Atmospheric, Geophysical and Astronomical Data Service)は大気その他のデータの取得、収集、品質管理、処理、蓄積を担った。国家地球物理天文局(National Geophysical and Astronomical Service)は地震と天文の研究を担うとともに、国家の公式な時報を提供した。国家大気地球物理天文科学研究所(National Institute of Atmospheric, Geophysical and Astronomical Sciences)は大気、地球物理、天文の科学について科学者・技術者の訓練を担った。1977年、台風緩和研究開発事務所(Typhoon Moderation Research and Development Office)と国家洪水予報事務所(National Flood Forecasting Office)がPAGASAの行政監督下に設置された(1977年大統領令1149号)。 マルコス政権時代、PAGASAは多くのことを達成した。1973年にはPAGASA と公共事業運輸通信省の共同実施による Pampanga 川流域洪水予報警報計画が開始され、調査団の勧告に基づき、日本政府が装置と人員の訓練を提供した。1974年初めには、 PAGASA は民間防衛局と協力して、コールサインDZCAのラジオ局を立ち上げた。Pampanga 川とその主な支流の要所に設置された自動観測局のネットワークから得られた川の水位データは、既存の遠隔計測システムを経由して中央事務所の洪水予報センターへ送られた。Pampanga 川流域の洪水予報システムの成功に感銘を受けたマルコス大統領は、同様のシステムを Agno、Bicol、Cagayan 川流域にも立ち上げられるかどうか可能性を模索するよう指示した。UNESCOが資金を拠出した東南アジアの地域地震観測網は、1974年にその事務所を PAGASA の地球物理観測所内に置いた。同事務所は、人員の訓練と地震測器の標準化に努め、また同地域の地震の震央決定の精度向上にも努めた。その後1977年にはマニラ首都圏に強震計観測網を立ち上げた。この観測網は、同地域内における強い地震の揺れを記録するように設計されたものである。1979年4月18日、サイエンス・ガーデンのプラネタリウムがオープンした。Minolta 製のプラネタリウム投影機を備え、収容人数は90人であった。1981年7月、Pampanga 川洪水予報システムをベースとした Bicol 川洪水予報サブシステムが運用を開始した。翌年5月には三つ(Agno、Bicol、Cagayan 川)全てのサブシステムが完全に現業化された。その機会に、気象衛星ひまわりの地上受信局も運用を開始し、フィリピンの衛星気象学を飛躍的に前進させた。 1983年4月、日本政府の借款供与による財政支援を受けて、PAGASA、国家電力公社、農務省国家灌漑局の共同実施によるダム運用のための洪水予報警報システムが運用を開始した。このプロジェクトの第1段階では Angat ダムと Pantabangan ダムを対象とし、第2段階では Magat ダム、Binga ダム、Ambuklao ダムに加え、同プロジェクトのためのデータ情報センターも整備された。 政府が行う全ての科学技術開発を束ね、中央から統制するための政府の改革の一環として、1984年政令984号により PAGASA は国家科学技術庁へ移管された。この組織再編により、PAGASA の地震業務はフィリピン火山研究所(Philippine Institute of Volcanology : PHIVOLC)、現在のフィリピン火山地震研究所(Philippine Institute of Volcanology and Seismology:PHIVOLCS)に移管された。
※この「マルコス政権時代::気象局からPAGASAへ」の解説は、「フィリピン大気地球物理天文局」の解説の一部です。
「マルコス政権時代::気象局からPAGASAへ」を含む「フィリピン大気地球物理天文局」の記事については、「フィリピン大気地球物理天文局」の概要を参照ください。
- マルコス政権時代::気象局からPAGASAへのページへのリンク