バイオ燃料「E3」
バイオエタノールをガソリンに混合した自動車用「バイオ燃料」の販売が10月9日から大阪府で始まりました。バイオエタノールとは植物を発酵させて作ったエタノールのこと。植物は成長過程で二酸化炭素(CO2)を吸収することから、バイオ燃料は燃焼時にCO2を排出しないとみなされます。このため、国は地球温暖化対策のひとつとして普及を急いでいます。
今回、大阪府は府内2カ所のスタンドでバイオエタノールをガソリンに3%だけ混合した「E3」(イー・スリー)と呼ばれるバイオ燃料を販売します。バイオ燃料では石油業界が「ETBE」(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)と呼ばれる別規格のバイオ燃料をすでに首都圏の給油所で販売するなど、規格をめぐり課題があるのは事実です。「E3」の普及を目指す環境省は大阪府の事業を通じ、今後の課題を検証することにしています。
価格はレギュラーガソリンと同程度に設定される予定。また供給先は府内企業や自治体に限定する方針ですが、E3の商用化は国内初めてとなります。
普及にあたり大阪府では全国からの応募作品をもとに作成したロゴマークやステッカーを通じて「E3」使用車であることをPRすることにしています。
(掲載日:2007/10/13)
バイオ燃料
バイオマスの利活用が国内で広がってきました。バイオマスとは家畜排泄物や食品廃棄物、稲わらや籾殻(もみがら)、間伐材のほか、トウモロコシや大豆、菜種などの再生可能な生物由来の有機性資源のこと。いま特に注目を集めているのが従来の化石燃料の代替となるバイオ燃料で、ガソリンの代わりになるバイオエタノールと、軽油の代わりになるバイオディーゼルを自動車などの燃料として使う実証実験が各地で進められています。
バイオエタノールはサトウキビに含まれる糖質やトウモロコシの澱粉(でんぷん)質などを、バイオディーゼルは菜種油や大豆油などの植物油を化学処理して製造します。これらのバイオ燃料を使うことは地球温暖化の防止にもつながります。バイオマス中の炭素はもともと大気中にあった二酸化炭素を植物が光合成することによって固定したものなので、そのバイオマスを燃料として使って二酸化炭素を排出しても大気中の二酸化炭素は実質的には増えないからです。
すでにバイオ燃料は米国や欧州(EU)、ブラジルなどで導入が進み、その生産量も年々増加しています。ただそれに伴い、バイオ燃料の原料となる作物の価格が世界的に高騰する問題も起きています。
最近、マヨネーズや果汁飲料の値上げがありましたが、その背景にあるのが菜種油や大豆油などの価格上昇です。バイオ燃料に使う量が拡大し需給バランスが崩れたため価格が高騰しました。
トウモロコシや小麦も価格が上昇しています。これまで果実を生産していた業者がバイオ燃料の原料になる作物の生産に切り替えれば、果実の生産量も減ります。それが回り回って果汁飲料の価格上昇にもつながっているのです。バイオ燃料を普及させるのは、このような問題も解決しなければなりません。そのため、食料品の価格に影響が少ないヒマワリ油を使う研究なども国内で進んでいます。
(掲載日:2007/07/17)
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