ヌード講座による「セクハラ」裁判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 14:15 UTC 版)
「京都芸術大学」の記事における「ヌード講座による「セクハラ」裁判」の解説
京都造形芸術大学は社会人向けに公開講座を提供しており、2018年4月から6月にかけて、「人はなぜヌードを描くのか、見たいのか。」と題した全5回のオムニバス講座を外苑キャンパスにて開いた。その際、ある講師が自らが自慰行為に及ぶ様子を後ろから撮影した動画を上映した。また、講師の1人であった会田誠は、涙を流した少女がレイプされている絵や、ゴキブリと性行為をする女性、四肢切断されて犬の格好をしている女性の絵を巨大スクリーンで映した。提訴した女性によると、会田は遅刻したうえに酔ってロレツも回らず(これに関しては会田はTwitterにて否定している)、下ネタを連呼したと語った。女性は講義で会田が語った「自分が学生のときに来た美術モデルをズリネタにオナニーした」との発言を冒とくと受け取った。女性はすぐに大学のセクハラ対策窓口に苦情のメールを送ったが、その後の第5回の講師の写真家・鷹野隆大は無修整の男性器の写真を何枚も大画面に映した。女性は弁護士を交え、大学側に対策の徹底を求めた。 大学側は同年7月、「会田講師の言動に性的で配慮に欠けるものがあった」、「投影した女性の写真の乳首に描かれた富士山にペンライトを当ててつついたりした」などセクハラの事実は認める等といった、環境型セクハラについて対策が不十分だったと認める内容の調査報告書をまとめ示談にあたった。しかし、そのあとの話し合いにて、示談にあたって『お互い関わり合いを持つことをやめる』、という項目の要望があり、交渉が決裂。特に、大学側が和解条項に「学生としても仕事としても今後、大学にかかわらないこと」と女性の排除を盛り込もうとしたことが溝を深めた。京都造形芸術大学で、わいせつな言動や作品を実際に提示した講師は訴えられていない。女性は被害相談した学生側を排除し、著名人である加害者を守ろうとする対応を問題視した。女性は「大学の授業に参加したことで大学から排除されるのは本末転倒。大学の同窓会への出席さえ制限しようとした。」と語った。 2019年2月22日、女性は講師の芸術家によるセクハラ言動および提示された作品が性的で精神的苦痛(適応障害と診断されている)を受けたとして、講座を主催した大学に対し、慰謝料などを求めて東京地裁に提訴した。代理人の弁護士は「大学は、セクハラ禁止のガイドラインをもうけており、公開講座を運営するにあたっても、セクハラ対策をすべきだった。作家の作品の是非や、セクハラ言動そのものでなく、そうした環境を作り出したことに問題があった。」と述べた。講座の運営方法や告知の仕方、その後の対応について責任を追及していくとした。 2020年12月4日、東京地裁は学校法人に対し約34万円の支払いを命じた。地裁は、映し出された一部について、違法なわいせつ作品に当たると判断した。受講生は、わいせつ作品が講座の中で紹介されるとは予測できなかったとした。法人側は、講座の受講を大学の単位として認定する制度を設けており、受講生はこの制度の活用を希望していたが、遅刻や早退をせずに講座の全回に出席する必要があった。法人側は「受講者は自由に退席できた」と主張したが、パンフレットに印字されている項目上では受講中に使用される作品の確認ができない為、判決は「講座のパンフレットでは、遅刻や早退をせずに全講座を受講することなどが修了条件とされていた」と指摘した。その上で、「受講者が強い嫌悪感や羞恥心を感じることは予見できたはずだ」と述べ、京都造形芸術大学の責任を認定した。こうした事情を踏まえ、地裁は、受講生がわいせつ作品の視聴を強要されたと認定。法人側は、わいせつ性や性暴力性のある作品が紹介されることや、途中退室や早退が可能であることを事前に告知する義務があったと判断した。学校法人は「判決を見ていないのでコメントできない」とした。
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