ナガナとは? わかりやすく解説

ナガナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 14:53 UTC 版)

デヴィッド・ブルース」の記事における「ナガナ」の解説

マルタ在任時の副総督だったWalter Hely-Hutchinsonがナタール・ズールーランド(現南アフリカ共和国クワズール・ナタール州)の総督となり、その依頼によって1894年冬に家畜熱病ナガナの病原体探すためにズールーランド北部のUbomboへ派遣された。ナガナはズールー人の生活の糧である家畜を殺す病気である。 当時ヨーロッパ人ツェツェバエが毒を持っている考え一方ズールー人野生動物から何かが移ると考えていた。ブルース出発前にピーターマリッツバーグ書いたノートには、ツェツェバエからアルコール抽出したものを動物注射する実験構想があり、ツェツェバエの持つ「毒」を探そうとしていたことがうかがえる。Ubomboはレボンボ山脈標高600mほどの頂にある隔絶され集落であったが、麓とちがってツェツェバエがおらずナガナ病もないため研究のためには適した場所だった。ピーターマリッツバーグからは牛車で数週間長旅だったが、ブルース到着後ただちに研究をはじめ、すぐに罹患動物血液から「住血動物」(Haematozoa)を見出している。さらに連れてきたイヌを麓でツェツェバエに刺させると、そのイヌは山へ戻るとすぐに発病し血液には多数の「住血動物」がいた。 ところがここでナタールへと呼び戻されるという不幸が襲いかかる一行荷物を運ぶのはロバと1台の荷車だけで、ブルース夫妻途中まで徒歩旅をする羽目になる。日照り酷くロバはたまに見付かる沼地辛うじて死を免れるという状況だった。しかもようやくピーターマリッツバーグ到着すると、たいした理由もなく呼び戻されたことが判明したのである総督陸軍省交渉している間はウシredwater feverバベシア症)の研究をし、ようやく1895年9月今度騎乗1週間ほどの旅をしてUbomboへ戻ることができた。 この7ヶ月におよぶ中断の後、ツェツェバエやナガナについて詳しく記録しツェツェバエ生息地の池のや、ツェツェバエ成虫幼虫すりつぶしたもの、糞や吻などをイヌ注射する実験をして、病原体トリパノソーマ一種であることを示している。1896年にはトリパノソーマ感染したイヌイギリス送り、これをPlimmerとBradford研究してブルースにちなんTrypanosoma bruciiと命名した。ただこの種小名綴り間違っており、Trypanosoma brucei綴るのが正しい。 さらにツェツェバエがいないUbomboの頂上育てた健康なウマを、麓のツェツェバエに刺させることで、ツェツェバエによる媒介示した惜しむらくは吸血したあとツェツェバエ体内原虫がどうなるのかを調べたのだが、5日間しか観察続けなかったために12年後Kleineが発見することになる生活環見逃してしまったことである。ともかく、ブルースはナガナがトリパノソーマによって引き起こされること、その病原体ツェツェバエによって媒介されること、野生反芻動物が保宿主であること、を確立したのである。この地を去る1897年7月30日までというわずか3年満たない期間に、彼はアフリカトリパノソーマ症に関するその後の研究の礎を築き上げたのであるナタール戻ったブルースは、続いてボーア戦争への従軍を命ぜられる。腸チフスに関する研究行っているほか、レディスミス包囲の際に野営地30時間におよぶ手術行ったというエピソードがある。ブルース夫人看護婦として活躍し赤十字勲章(RRC)を受けている。

※この「ナガナ」の解説は、「デヴィッド・ブルース」の解説の一部です。
「ナガナ」を含む「デヴィッド・ブルース」の記事については、「デヴィッド・ブルース」の概要を参照ください。

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