ドイツワインの公的分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 01:24 UTC 版)
「ドイツワイン」の記事における「ドイツワインの公的分類」の解説
以下、ドイツワインの公的分類を格の低いものから順に示す。 ターフェルヴァイン (Tafelwein) - 「テーブルワイン」に相当する日常消費用のワインで、ドイツ産のワインを使用しなくとも名乗ることができる。ドイツ産のものは、「ドイチャー・ターフェルヴァイン」(Deutscher Tafelwein) と呼ばれる。 ラントヴァイン (Landwein) - 1982年に設けられた分類で、「地酒」に相当する存在である。 クヴァリテーツヴァイン・ベシュティムター・アンバウゲビート (Qualitätswein bestimmter Anbaugebiet、QbA) - 「特定産地で製造された上質ワイン」という意味で、単に「クヴァリテーツヴァイン」(Qualitätswein)とも呼ばれる。ドイツワインの公的分類では上から2番目の格付けとなる。このQbAまでは補糖を行うことができる。 プレディカーツヴァイン (Prädikatswein) - 「肩書き付きワイン」という意味。2007年7月までの旧称は「クヴァリテーツヴァイン・ミット・プレディカート」 (Qualitätswein mit Prädikat、QmP、「肩書き付き上質ワイン」という意味)。ドイツワインの公的分類では最高位にあたる。以下の6つの「肩書き」(Prädikat)に細分されるが、「アイスヴァイン」を除いて原料葡萄果汁の糖度によって分けられ、糖度が高いほど高級とされる。QmPでは補糖は認められていない。 カビネット (Kabinett) - 「(特別な)酒倉(で仕込まれた)」という意味で、QmPの中では最も糖度の低い葡萄から作られる。 シュペートレーゼ (Spätlese) - 「遅摘み」の意味で、カビネットよりも原料果汁の糖度が高い。 アウスレーゼ (Auslese) - 「房を選別して収穫」という意味で、シュペトレーゼよりもさらに糖度の高い果汁で造られる。 ベーレンアウスレーゼ (Beerenauslese、BA) - 「粒を選別して収穫」という意味で、稀に貴腐ワインとなる。甘口なものが多いが、流通量はそれほど多くはない。 トロッケンベーレンアウスレーゼ (Trockenbeerenauslese、TBA) - 名称は「乾いた果粒を選別して収穫した」という意味であり、暗に「貴腐化」を指しているが、必ずしも貴腐ワインではない。多くの葡萄品種は貴腐の影響なくしてこの域の糖度に達することはできないと言われているが、一部の品種、例えばオルテガ(英語版)などでは、比較的容易に満たすことができる。 アイスヴァイン (Eiswein) - 樹になったまま、自然に凍結した状態の果実から造られる。ワイン#特殊な製法のワインを参照。 クヴァリテーツヴァイン(QbA)以上の等級については、公的検定番号 (Amtliche Prüfungsnummer、略称 A.P.-Nr.)がラベルに明示される。それぞれの数字は次のように割り当てられている。 一つ目の数字 - 検定機関の所在地 二から四番目の数字 - 申請者の所在地 五から七番目の数字 - 生産者 八から十番目の数字 - 上記の生産者が検定を受けるワインの連番 最後の二けたの数字 - 申請年つまりワインが瓶詰めされた年号の下二けた あるワイン生産者、とくに生産者組合(ヴィンツァーゲノッセンシャフト Winzergenossenschaft)が自ら所有する畑と生産設備でブドウを栽培・収穫し、ワイン醸造・瓶詰めまでを一貫して行った場合には、生産者(エアツォイガー Erzeuger)により一貫して生産・瓶詰めされたこと(エアツォイガーアプフュルンク Erzeugerabfüllung)をラベルに明示できる。さらに、あるワイン生産者が単独で一貫生産を行い、対象のブドウ畑を遅くとも収穫年の1月1日以降にみずから管理していること、そして製造責任者がワイン醸造の専門教育を修了しているという条件を満たしている場合には、特定の農場(グート Gut)において一貫して生産・瓶詰めされたこと(グーツアプフュルンク Gutsabfüllung)を示すことが認められる。ある事業者が他者の生産によるブドウを購入してワインを醸造・瓶詰めした場合、また他者が生産したワインを瓶詰めした場合には、こうした生産者表示の対象外となる。 「ドイツワインは甘口が多く料理に合わない」というイメージを払拭するために、近年のドイツは辛口ワインの表示に力を入れている。2000年には上質辛口ワインの品質等級に「クラシック」、さらに厳しい品質条件をクリアする「セレクション」のカテゴリーが設けられた。また同じく2000年に、ドイツ高級ワイン生産者連盟(VDP)及びその地区組織が、以下の高級辛口・甘口ワインの標章を設けた。 グローセス・ゲヴェックス (Großes Gewächs) - 超1級畑認定の高級辛口ワイン。 エアステス・ゲヴェックス (Erstes Gewächs) - VDPラインガウが1級畑と認定した高級辛口ワイン。 エーデルズュース・シュピッツェン (Edelsüße Spitzen) - VDPラインガウが1級畑と認定した高級甘口ワイン。 エアステ・ラーゲ (Erste Lage - 各地域の生産者連盟(VDPモーゼルとVDPラインガウを除く)が認めた1級畑の高級辛口及び甘口ワイン。 なお、リースリングを100パーセント使用したラインガウ地区独自辛口白ワインの名称「カルタヴァイン」があるが、認定母体のカルタエステート(カルタヴァイン醸造所同盟)が2000年にVDPラインガウに合併されている。
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