トム・リドル時代
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1926年12月31日、臨月の母・メローピーが飛び込んだロンドンのウール孤児院で産まれる。この時点で父や親族とは音信不通であり、母もリドルを産んだ直後に亡くなる。産まれるまえから父に棄てられ、名前しか遺さなかった母にも「見捨てられた」と感じていたリドルは、生まれ育ったマグルの孤児院の事務的な扶育により十分な愛情を得られず、愛情を信じられないまま成長する。作者のローリングはインタビューで、リドルの生い立ちは「愛情のない結婚」の有害性を象徴するものと語っている。 幼いリドルは出自を知らないながらも自身に特別な「力」があると自覚し、その「力」を他者の支配のために行使していた。そして1938年夏、孤児院を訪れたダンブルドアから自身が魔法使いであることを知らされ、ホグワーツ魔法魔術学校に入学、スリザリン寮生となる。自身が魔法使いである理由について、このときは父の才能を受け継いだものと考え、「死に屈した」母は普通の人間(マグル)であると思っていた。 ホグワーツ在学中は優れた頭脳と才能の持ち主として知られ、ダンブルドアに「ホグワーツ始まって以来の秀才」と評された。5年次 (1942年) には監督生に、7年次 (1944年) には首席に選ばれている。もともと人を惹きつける魅力があり、表面上は成績優秀な模範生を演じていたこともあって、その父親譲りの端正な容姿と不幸な境遇、決して驕らない謙虚な態度により、教授陣から絶対的な信頼と同情を集めた。その一方、在学中に分霊箱の存在を知り、それを作成するべく未成年ながら殺人を犯している。 「秘密の部屋」を探し当てたリドルは、5年次に密かに部屋を開き、バジリスクを解放してレイブンクロー生のマートル・エリザベス・ウォーレンを死に至らしめた。1943年6月13日、グリフィンドール生のルビウス・ハグリッドに罪を着せて退学に追い込み、自身は犯人を捕らえたとしてホグワーツ特別功労賞を授与された。 在学中、リドルは純血主義にのめり込むと同時に自らの出生を探し当て、父がマグル、母がホグワーツ創設者サラザール・スリザリンの末裔であることを突き止める。そして1943年夏、母の実家で伯父モーフィン・ゴーントと対面し、「凡庸なマグル」の父が「魔法使いの中でも特別」だった母を棄てたことを知る。リドルは母の復讐として、また自分にふさわしくない血筋の抹殺として、父と父方の祖父母を殺害し、その罪をモーフィンに着せた。また、マグルの父と同じ「トム・リドル」の名を嫌悪し、自身に相応しい新たな名前として「ヴォルデモート卿」を考案し、ひそかに使いはじめる。 このころ、すでにホークラックス(分霊箱)の概要を知っており、ホラス・スラグホーンに魂を二つ以上に分割した場合について問う。このほかにも、近しい学生にみずからの力を示して、のちに死喰い人となる者を従えている。こうしたリドルの邪悪な面を見抜き、警戒していたのはダンブルドアだけであった。 卒業後の進路として「闇の魔術に対する防衛術」の教授に志願した。ダンブルドアは「教師、恩師という立場から教え子に影響力を行使すること」と「歴史あるホグワーツ校に秘された魔術の探求」が目的と考え、当時の校長アーマンド・ディペットに対しリドルに職を与えないよう進言、ディペットもそれに従った。 教授職を拒否されたため、ホグワーツ卒業後は「夜の闇横丁」にあるボージン・アンド・バークスに就職。在学中の経歴にふさわしくないとして周囲を驚かせたが、彼自身は「将来特別になる自分に相応しい、伝統と由緒ある魔法具の探索と入手」を目的としていた。そして自らの目的に相応しい魔法具を発見すると、持ち主であったヘプジバ・スミスを殺害してそれらを入手し、失踪する。
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