【テイルシッター】(ているしったー)
Tail sitter
転換式航空機あるいはVTOL機の一種で、離着陸時に機体を上方へ向ける形式の航空機。
機体をまるごと方向転換するため、ティルトローターや推力偏向ノズル、リフトファン、リフトジェットといった複雑な機構を必要とせず、他の方式のVTOLに比べて信頼性や推力重量比を向上させることができるとされた。
このことから第二次世界大戦末期のドイツで構想されていたが、資料を接収した国で冷戦初期に研究され、アメリカではXFV-1やXFY-1、フランスではコレオプテールなどといった機体が試作された。
しかし、地上では機体が直立した状態になるため、パイロットの乗降やペイロードの積み下ろし、整備・補給等の作業性に難がある。
また、トラクター式の機種ではダウンウォッシュの影響が大きく、ジェットエンジンの場合は安定性が悪い。
これらの問題点から、スムーズな姿勢転換は困難であった。
さらにパイロットは真上しか見えないこともあって着陸操縦が非常に困難であり、実用化はされていない。
C.400P-2 アター・ボラン
テイルシッター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 22:45 UTC 版)
詳細は「Tailsitter(英語版)」を参照 テイルシッターは垂直離着陸機の一形態でマクドネルダグラスDC-Xデルタクリッパーのように尾部を下にして離着陸する。この種の航空機として最も有名なのがライアン・X-13である。プロペラ式ではロッキードXFV-1とコンベアXFY-1がある。艦載機としてF-16のテイルシッターが調査され風洞実験用模型が作られた。それは機首が折れ曲がる構造だった。 ナチス・ドイツ空軍でも同様にテイルシッター計画としてフォッケウルフ トリープフリューゲル(回転翼)戦闘機があった。この計画は翼端の小型ジェットエンジンを噴射することにより主翼を回転させる構造でいわば主翼そのものがプロペラになっていた。完成はしなかったが構造上、通常の着陸は不可能で困難が伴ったと考えられる。またフランスではC450 コレオプテールと言うジェットエンジンの実験機も製造されている。 テイルシッターの飛行において離陸時に垂直から水平、着陸時に水平から垂直への遷移飛行では操縦が困難であった。また着陸時に操縦者が地面を直接見る事が困難であり、操縦が極めて難しかった。また着陸時に地面に対して完全な垂直姿勢を保つ事が要求され、手動操縦でも自動制御でも困難であった。付け加えて艦載機として用いる場合は、揺れる艦上において完全な垂直姿勢を保つことが要求され、全くもって不可能と言わざるを得なかった。着陸時の視界の問題は、機体姿勢に関わらず操縦席を傾けて水平を保つ事で、ある程度の解決がみられたが、他の問題は解決困難であり、実用化しなかった。テイルシッターは最下部に必ずキャスター状の車輪が取り付けられているが、これは着陸時に横風が少しでもあると風に流れて横移動しながら着陸することを余儀なくされるため、車輪が無いと地面に引っかかって重心の高い機体が簡単に倒れてしまうからである。 垂直離着陸あるいはホバリング時は、プロペラ機の場合プロペラ後流が動翼に当たることによって空中停止状態でも操縦が可能である。ジェット機の場合は推力偏向で操縦する。また、プロペラ機の場合は回転翼の反動(トルクロール)を打ち消すために同軸反転プロペラが採用されている。 近年は単段式宇宙輸送機や惑星探査機、UAVなどでも試みられている。
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