ツノダシとは? わかりやすく解説

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つの‐だし【角出】

読み方:つのだし

スズキ目ツノダシ科海水魚本州中部以南岩礁にすみ、全長20センチ体形菱形側扁し、背びれ第3(きょく)が長く伸びる体色淡黄色の地に黒褐色横帯3本ある。


ツノダシ

学名Zanclus cornutus 英名:Moorish idol
地方名アミガサウオシマウオ 
脊椎動物門硬骨魚綱スズキ目ツノダシ科
色 形 長崎・日本・世界 住みか 動画 3D

※出典:長崎県水産部ホームページ

特徴
体は円形近く極度に偏平体高著しく高い。口は小さく成長にともない突出し眼の上方に1対の突起発達する第3背びれ長く伸びる体色前半白色後半黄色で2本の黒色横帯がある。尾びれ黒色である。生息水深10〜180mと幅広く出現する産卵生態はよくわかっていないが、卵は浮性卵である。浮遊幼期は長く稚魚海流にのって遠距離漂流し分布域拡散させる成魚単独または群れをなして遊泳し、夜はあまり行動しない雑食性藻類などを食べる。

分布:千葉県以南インド・太平洋 大きさ:25cm
漁法:  食べ方: 

角出

読み方:ツノダシ(tsunodashi)

ツノダシ科海水魚

学名 Zanclus cornutus


ツノダシ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/14 08:13 UTC 版)

ツノダシ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : ニザダイ亜目 Acanthuroidei
: ツノダシ科 Zanclidae
: ツノダシ属 Zanclus Cuvier, 1831
: ツノダシ Z. cornutus
学名
Zanclus cornutus
(Linnaeus, 1758)
シノニム[2]
  • Chaetodon cornutus Linnaeus, 1758
  • Chaetodon canescens Linnaeus, 1758
  • Zanclus canescens (Linnaeus, 1758)
英名
Moorish idol

ツノダシ(角出、学名:Zanclus cornutus)は、ツノダシ科に分類されるの一種。ツノダシ科唯一の現生種で、ツノダシ属は本種のみから成る単型である。インド太平洋サンゴ礁に生息する。

分類

1758年にカール・フォン・リンネの『自然の体系英語版』第10版の中で Chaetodon cornutus として初めて正式に記載され、タイプ産地はインド洋とされた[3]。1831年にジョルジュ・キュヴィエは単型のツノダシ属を設立し、本種を分類した[4]。1876年にピーター・ブリーカーは単型のツノダシ科を提唱した[5]。従来スズキ目に分類されていたが、『Fishes of the World』第5版では、ニザダイ目英語版のニザダイ亜目に分類されている[6]ニザダイ科に分類する意見もあるが、尾柄に棘が無いことが明らかな違いである。始新世に存在した絶滅属である Eozanclus は本種とニザダイ科の中間に位置すると考えられている[7]

名称

「Moolish idol (ムーア人の偶像)」という変わった英名は、東南アジアの一部地域で漁師がこの魚に敬意を表し、捕まえたら放し、その後にお辞儀をして敬意を表すことによるという[8]。ただしムーア人と呼ばれたベルベル人の住むモロッコには分布していない[7][9]。属名は古代ギリシア語の「zanklon(鎌)」に由来し、長く湾曲した背鰭を示している。種小名は「角のある」という意味で、目の上にある小さな角状突起を指す[10]

形態

左がツノダシ、右上がムレハタタテダイ、右下がハタタテダイ

体は側扁した円形で、は細長く突出しており、比較的高い位置にある目の上には一対の小さな角状突起がある。口は小さく、多くの長い剛毛のような歯が生えている[11]前鰓蓋骨尾柄に棘や鋸歯縁は無い[7]。背鰭は6-7棘と39-45軟条から成り、第3棘は糸状に伸長する。臀鰭は3棘と31-37軟条から成る[2]。体長は25cm程度[12]。地色は白色で[7]、2本の幅広く黒い横縞が入り、体の後端は黄色みがかり、吻部には黒く縁取られた黄色い鞍型の模様がある[7][11]。尾鰭は黒く、後縁は白く縁取られる[7]チョウチョウウオ科ハタタテダイムレハタタテダイに似るが、口吻の形と模様、目の位置、尾鰭の色などで区別できる。

分布と生息地

ソマリアから南アフリカのアフリカ大陸東海岸から、ハワイ諸島イースター島まで、インド太平洋に広く分布する。カリフォルニア湾南部からペルーまでの東太平洋、ガラパゴス諸島ココ島などの島々でも見られる[1]日本では青森県から九州南岸までの太平洋岸、伊豆・小笠原諸島琉球列島に分布する[12]。濁ったラグーン岩礁サンゴ礁の浅瀬に生息する[12]。生息水深は表層から182m[11]

生態

海綿動物サンゴポリプホヤエビなど底生無脊椎動物を食べる[13]。通常は2-3匹で底付近を遊泳しているが、単独で生活したり、大きな群れを作ることもある。幼魚は長い間浮遊生活を行い、これが広範囲に分布し地理的に均一な理由である[2]。雄雌は水中に精子を放出し、受精卵海流に乗って漂っていく[13]

人との関わり

食用として流通することはほとんど無く、観賞魚とされている[14]。飼育は難しく、容積380Lを超える大きな水槽を必要とし、食欲旺盛で気性も荒い場合がある[15]。非常に好き嫌いが激しく、すぐに餌に慣れることもあれば、全く慣れずに弱ってしまうこともある[15]

文化

映画『ファインディング・ニモ』にはギルという名のツノダシが登場しており、続編の『ファインディング・ドリー』のポストクレジットシーンにも登場している[16]

脚注

出典

  1. ^ a b Carpenter, K.E.; Lawrence, A.; Myers, R. (2016). Zanclus cornutus. IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T69741115A69742744. doi:10.2305/IUCN.UK.2016-3.RLTS.T69741115A69742744.en. https://www.iucnredlist.org/species/69741115/69742744 14 October 2024閲覧。. 
  2. ^ a b c Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2024). "Zanclus cornutus" in FishBase. October 2024 version.
  3. ^ CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes Zanclus”. researcharchive.calacademy.org. 2024年10月14日閲覧。
  4. ^ CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes Zanclidae”. researcharchive.calacademy.org. 2024年10月14日閲覧。
  5. ^ Richard van der Laan; William N. Eschmeyer & Ronald Fricke (2014). “Family-group names of recent fishes”. Zootaxa 3882 (2): 1–230. doi:10.11646/zootaxa.3882.1.1. PMID 25543675. https://biotaxa.org/Zootaxa/article/view/zootaxa.3882.1.1/10480. 
  6. ^ J. S. Nelson; T. C. Grande; M. V. H. Wilson (2016). Fishes of the World (5th ed.). Wiley. pp. 497–502. ISBN 978-1-118-34233-6. https://sites.google.com/site/fotw5th/ 
  7. ^ a b c d e f Kenneth Wingerter (2012年10月24日). “Aquarium Fish: Reconsidering the Moorish Idol”. reefs.com. 2024年10月14日閲覧。
  8. ^ IDOLE MAURE Zanclus cornutus (Linnaeus, 1758) N° 2225”. doris.ffessm.fr. 2024年10月14日閲覧。
  9. ^ Susan Scott (2016年2月22日). “Common name for this fish is in need of an origin story”. susanscott.net. Honolulu Star and Advertiser. 2024年10月14日閲覧。
  10. ^ Order ACANTHURIFORMES (part 2): Families EPHIPPIDAE, LEIOGNATHIDAE, SCATOPHAGIDAE, ANTIGONIIDAE, SIGANIDAE, CAPROIDAE, LUVARIDAE, ZANCLIDAE and ACANTHURIDAE”. The ETYFish Project Fish Name Etymology Database. Christopher Scharpf and Kenneth J. Lazara (2024年5月30日). 2024年10月14日閲覧。
  11. ^ a b c Bray, D.J. (2018年). “Zanclus cornutus”. Fishes of Australia. Museums Victoria. 2024年10月14日閲覧。
  12. ^ a b c 『小学館の図鑑Z 日本魚類館』433頁
  13. ^ a b Moorish idol” (英語). The Dallas World Aquarium. 2024年10月14日閲覧。
  14. ^ 藤原昌高. “市場魚介類図鑑 ツノダシ”. 2024年10月14日閲覧。
  15. ^ a b Moorish Idol (Zanclus Cornutus): Fish Species Profile Fish”. 2024年10月14日閲覧。
  16. ^ “Willem Dafoe Returns For 'Finding Dory': 'It's Even Better Than The First'”. The Inquisitr. (2013年10月6日). http://www.inquisitr.com/981926/willem-dafoe-returns-for-finding-dory-its-even-better-than-the-first/ 2024年10月14日閲覧。 

参考文献

  • 波戸岡清峰、中坊徹次(監修)『小学館の図鑑Z 日本魚類館』小学館、2018年。 ISBN 978-4-09-208311-0 

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