チーズの分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 04:02 UTC 版)
原料や加工法によってチーズは細かく分類され、1000種類以上あるとされる。 チーズは基本的に、ナチュラルチーズとプロセスチーズの二つに区分できる。ナチュラルチーズは牛乳から直接作られる。これに対し、プロセスチーズはいったん生成されたナチュラルチーズを溶かし、それを再び乳化剤を添加して固めて作られる。プロセスチーズは溶解時に加熱殺菌されているため発酵が止まっており、長期保存が可能である。また加熱すると伸びたり分離したりするナチュラルチーズと比較すると安定しており、そのような変化は起きにくい。ナチュラルチーズに比べて独特な風味は薄いものが多い。 ナチュラルチーズの分類にはいくつもの方法があるが、一般的なものとしてはフレッシュチーズ、白かびチーズ、ウォッシュチーズ、シェーブルチーズ(山羊乳チーズ)、ブルーチーズ、半硬質チーズ、硬質チーズ(ハードチーズ)、超硬質チーズの8種類に区分できる。これは外観や硬さによる分類である。シェーブルチーズが独立した分類となっているのは、ウシやヒツジの乳とは異なり、ヤギの乳の成分は、レンネットでは凝固できない。よって、シェーブルチーズはあまり大きくすることができず、小さなものが多い。 フレッシュチーズは基本的に熟成させないが、軽く熟成させるタイプも存在する。フレッシュチーズは生鮮食品であり、できたてが最もおいしく、数日以内に食されるものである。味は熟成工程を経ないために原料であるミルクの味が強く、酸味が強いものが多いのが特徴である。白かびチーズ(ホワイトチーズ)は外皮に白カビを植え付けて熟成させたもので、軟らかく、クリーミーな味わいが特徴である。また、チーズの表面に塩水を吹き付けるタイプのチーズがウォッシュチーズである。青カビチーズ(ブルーチーズ)は白カビチーズとは逆に、内部に青かびを植え付けて熟成させるもので、そのため内部にも青かびの菌糸が入り込んでいるのが特徴である。味としては刺激があり、また塩分の強いものが多い。半硬質・硬質・超硬質チーズはいずれもプレスしてホエイをよく抜いた後熟成させるのが特徴であり、そのため大型で保存性もよい。 また、こうしたチーズの分類とは別に、完成したチーズに様々なフレーバーを添加することも広く行われ、フレーバーチーズという一つの区分となっている。フレーバーチーズの中で最もよく知られるものはスモークチーズである。これは生成されたチーズを燻製の製法と同様に燻したものであり、ナチュラルチーズでもプロセスチーズでも作られる。このほかに、素材であるカードそのものにフレーバーを添加して作るもの、生成したチーズの外側にフレーバーをかけたりつけたりするもの、生成したチーズをほぐしてフレーバーを混ぜ込み、再び成形するものがある。フレーバーとして添加されるものは各種ハーブやスパイス、ニンニク、ナッツ類、ドライフルーツなどがある。添加されたフレーバーによって様々な場面で使用され、特にナッツやドライフルーツを添加されたものはデザートとして多用される。 チーズの分類分類特徴と主な種類ナチュラルチーズ(加熱処理されていないもの)軟質チーズ フレッシュチーズ 熟成させない モッツァレラチーズ(イタリア)など。 軽く熟成させる トゥファルクチーズ(Twaróg、ポーランド) クワルク(Quark、ドイツ) など。 (熟成させるチーズ) 白かびチーズ(ホワイトチーズ) 表面に白かびを植えつけて熟成させるもの。カマンベールチーズ(フランス)など。 ウォッシュチーズ 表面に菌を植え付けて熟成させ、同時にそれをワインや塩水などで洗い流す過程を経たもの。 シェーブルチーズ(山羊乳チーズ) 山羊の乳を原料とするもの。 ブリンザチーズ(英語版) (Bryndza) オスツィペックチーズ(英語版) (Oscypek) オシュチペックチーズ(英語版) (Oszczypek) ゴウカチーズ(英語版) (Gołka) レディコウカチーズ(英語版) (Redykołka) ブンツチーズ(英語版) (Bundz) など。いずれもポーランド。 半硬質チーズ(セミハードチーズ) ブルーチーズ(青かびチーズ) 内部に青かびを植えつけて熟成させるもの。 (その他菌による熟成) ゴーダチーズ(オランダ)など。 硬質チーズ(ハードチーズ) チェダーチーズ(イギリス)など。 超硬質チーズ パルミジャーノ・レッジャーノなど。 プロセスチーズ加熱・溶解させることで発酵を止め、長期保存に適した状態にしたもの。
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