グユク・ハンの勅書とは? わかりやすく解説

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グユク・ハンの勅書

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/09 00:14 UTC 版)

プラノ・カルピニ」の記事における「グユク・ハンの勅書」の解説

カルピニがこの時ローマ教皇庁もたらしたグユク・ハン発令によるペルシア語勅書バチカン図書館に現在も保存されている。この書簡は「紙」に書かれているローマ教皇インノケンティウス4世宛てたこの書簡は、モンゴル帝国作成され経緯来歴はっきりしている命令文書としては最古部類入り、またこの書簡捺印されているウイグル文字によるモンゴル語印璽銘文モンゴル語資料としても絶対年代判明している実質最古のものである。(国書アラビア文字書かれ、「永遠な天の力により、(中略ハンの勅」という冒頭の3行のみテュルク語であり、それ以外全てペルシア語文から成っている。文章末尾に「(ヒジュラ暦644年ジュマーダー=ル=アーヒラ月の最後の日1246年11月10日)」と発行した年月日を附している) 『モンゴル人の歴史』によればカルピニ教皇への手紙とその翻訳作成要請し帝国文書行政の総責任者である大ビチクチ書記官であったチンカイらがカルピニたちと「タルタルの手紙」とそのラテン語による翻訳一語一語検討しながら作成した事が述べられている。当時モンゴル帝国による文書行政ウイグル語文によって行われてたようなので、ここでいうタルタル語」とはウイグル語だったろうと現在では考えられている。カルピニはこの書簡翻訳の2通を持ち帰った述べるが、現存するペルシア語書簡カルピニ触れている「イスラム教徒文字」で翻訳されたものか、「タルタル語の書簡そのものなのか議論分かれている。ウイグル文書簡ペルシア語翻訳書簡、ラテン語翻訳の3通があったのではとも論じられたが結論出ていない。 いずれにしろこのペルシア語文書簡モンゴル皇帝印璽が捺された真正モンゴル皇帝勅書であることに変わり無くモンゴル帝国史における第一級歴史資料である。 なお、カルピニ同行したポーランド出身で同じフランシスコ会所属修道士ベネディクトによる口述書も残っており、そこにこの勅書ラテン語訳文も載せられている。勅書の内容ベネディクト口述書にある翻訳文内容良く対応している。 この勅書カルピニもたらしたローマ教皇親書応える内容のものであった。しかし、その主旨は、バトゥ率いモンゴル軍ハンガリー王国ポーランド王国などの遠征対すローマ教皇側の非難拒絶しつつ、逆にローマ教皇側が真のキリスト教徒であると自尊して他のキリスト教諸派侮蔑している態度批判し、さらに、チンギス・カン以来モンゴル帝国が天なる神から「日の昇るところから没する地まで」全世界対す支配権預託されていることを強く宣言したものであったまた、ローマ教皇およびヨーロッパ諸国君主たちにモンゴル帝国への即時帰順降服勧告命じ、そして、ローマ教皇自身ヨーロッパの君主たちを率いモンゴル宮廷に自ら参上して率先的にモンゴル帝国帰順するよう強く勧告している。これを拒んだ場合再度武力による討伐あり得ることも付言していた。 勅書では、明らかにローマ教皇下に見書かれてあり、ローマ教皇このような公文書送られたのは初めてのことであった。そして、この勅書こそローマ教皇初めて手にした“紙”とされている。ただし、遡ること1102年には既にシチリア製紙工場建てられているため、教皇庁にも紙が伝わっていた可能性はある。

※この「グユク・ハンの勅書」の解説は、「プラノ・カルピニ」の解説の一部です。
「グユク・ハンの勅書」を含む「プラノ・カルピニ」の記事については、「プラノ・カルピニ」の概要を参照ください。

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