モンゴル軍
モンゴル軍
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/17 09:01 UTC 版)
ハラバル ツォグ族の族長の息子で、表向きはユルールの異母兄。「神箭手(メルゲン)」と呼ばれ、複数の矢を一度に射て城壁上にいる相手に百発百中させるほどの弓の名手。 かつて大ハンに逆らって没落の憂き目を見た一族を再び盛り立てるめに、母の生国である西夏を滅ぼす先遣隊としての任を負い、その過程で、一兵士だったころのシュトヘルが守っていた城を攻め落とし、彼女の仲間達を惨殺した上、城外に晒した。ツォグ族をその武勇によって立て直した功労者だが、それゆえに「大義と言う病に酔い、目の前の命を顧みない指導者」というものを嫌悪している。 ユルールと血が繋がっていないものの、兄として深い愛情を注いでいたが、弟の文字への傾倒には、その過酷な生い立ち故か全く共感を示さなかった。ただ、母・玉花が教えたと思しき「ユルール」の文字は、今でも書くことができる。 その武功でツォグ族の地位を飛躍的に向上させたが、皮肉にもその目立った活躍により、ヴェロニカに大ハンへの脅威と判断されてしまい、玉音同を持って出奔したユルールの行動やその出自をモンゴルへの裏切り行為とされて、ハラバル以外の一族全てを殲滅されてしまう。 一族の汚名を雪ぐため、逃亡しているユルールから玉音同を取り戻し、弟の処刑も行なうよう、ヴェロニカを通じて大ハンより命じられた。当初は従っているようにも見えたが、実際はユルールの首と玉音同を持ち帰り大ハンへ謁見する機会を作ることで一族を滅ぼした大ハンへ復讐しようとしていた。後にモンゴルの新しい文字によってツォグ族が叛逆者として記されると知ってからは、ユルールや玉音同に頼らずに一族の復讐を遂げようとしている。 刃の付いた弓を使う。また、番大学院を攻め落とした後はグルシャンの分銅も得物とする。愛馬は「三ツ眼」という大きく黒い馬で、戦いにおいて敵兵を噛み殺すほど。 なお、「ハラバル」とはモンゴル語で「黒虎」の意。 テムジン 普段「大ハン」と呼ばれているモンゴルの指導者で、チンギス・ハン本人。史実では、13世紀初頭、モンゴル高原に割拠する部族をまとめ上げて一つの勢力に統一した人物。物語上では、その過程でツォグ族も支配下に組み入れられたものと思われる。 ユルールと同じ「目」の持ち主で、ツォグの族長は、それ故にユルールの真の父親は大ハンであると確信していた。 少年だったころ、西夏で盗みを働いて捕まった時に、仲間達の命を助けるために背中に焼印を受けたが、そんな彼を見限る旨の言動を取った仲間達を己の手で殺害した過去を持つ。そのため西夏の文字を憎み、この世から消し去ろうとしている。これまで背中を見た者を全員殺してきているが、西夏文字がこの世から無くなり意味を知る者がいなくなれば殺さずに済む、と発言している。焼印から出血することがあり、その手当て役であるヴェロニカは(自分と同じく背に焼印を負っているということもあって)生かしている。ヴェロニカがハラバルに警戒心を持っているのに対し、大ハンは「快い武を持つ」と評した。 ユルールらが金国に逃げ込んだことを知った後は、玉音同(西夏文字)を消し去るために金国を飲み込むことも辞さない姿勢を見せた。ナランの仕掛けた策によりユルールと話をするが、その意思は全く変わらず、ユルールに自分と同じ「西夏の奴隷」という文字を刻んだ。直後、ユルールが死んだと思ったシュトヘルと戦い、片腕を失った。 ヴェロニカ 大ハンに仕える金髪碧眼の美女。興慶を攻略したハラバルに大ハンの命を伝える。 大ハンの夜伽の相手であり、大ハンの密命により軍勢を伴って行動する。大ハンの脅威となるものの徹底排除を目論み、ハラバルやユルールの殺害も企てる。また大ハンの後継者であるトルイには従う姿勢を示しているが、ナランのことは警戒し、敵愾心を抱いている模様。 元々は敬虔な修道女だったが、先入観を持たない無垢さゆえに異教徒(ジプシー)とも分け隔てなく付き合い、特に異教徒の少女シャキラとは友情とも恋仲とも取れる関係を築いていたため、人々に「魔女」の疑いを掛けられ監禁される。村人達が異教徒を殺そうとしていることを知ると、防寒着も身に着けず雪の中を異教徒のもとに走ったが、結局異教徒達は村人に虐殺される。自身も誤解による嫉妬に狂った司教により「悪魔祓い」と称して強姦され背中に背教者の焼印を押された。シャキラから特殊な麻酔を施されていたため、司教による暴行にも苦痛を感じなかったヴェロニカだったが、司教の顔に焼印を押し付けて殺害。果てしない復讐心を胸中に秘し、村からも故国からも脱走。 大ハンに仕えるようになってから、彼を「プレスビュテル・ヨハネス」と呼び、何の罪もない異教徒の少女を魔女として焼き殺した故国を、その強大な力で滅ぼし、焼き尽くしてもらうことを望んでいる。 異教徒達から得た医療の知識や技術を、修道女だった頃は村人達やその家畜のために使っていたが、大ハンに仕えるようになってからは、大ハンの背の治療や、両腕両足を切り落としたツォグの族長の延命処置などに利用した。 “悪霊”復活の噂を聞きつけやって来た村で、そうとは知らずにシュトヘル(スドー)と出会い、「不思議な人」と評する。数日後に同じ村でシュトヘルに遭遇したが、すんでのところでスドーが表に出たためことなきを得る。その後、京兆府にてスドーのいなくなったシュトヘルと偶然再会し、ユルールの居場所を聞き出すため彼女の傷の治療をする。ユルールと生きることを望むシュトヘルに、自分達のような者にはかなわぬ望みだと語る。シュトヘルと共闘して楊の軍勢から逃れた後、居庸関に到着する。居庸関が崩れた頃、モンゴル軍の陣内で火の手が上がっているのを見てその場に駆けつけ、虫の息のナランを発見、部下が「トルイ殿下では」と言うのを「ただの賊」と押し切って殺害、玉音同の半分を手に入れる。また、倒れていたシュトヘルを密かに収容し、再びシュトヘルの体に入った須藤と再会する。 ベクテル 西夏・塩州を支配するモンゴルの将軍。ツォグ族をその配下に置き、戦では恐ろしいほどの戦果を挙げた。 普段は物静かだが、飼っている鯰を人肉で養ったり、「目と耳の常を越えて聡くある」ために自らの鼻をそぎ落とし(五感の一つを失うと他の感覚が鋭くなる)たが、痛がることもなく平然としているなど、異常さが垣間見える人物。ユルール達が塩州を越えようとした際、夜中に屋敷へ侵入してきたシュトヘルと戦い敗北、人食い鯰の池に落とされ絶命する。 ベクテルの兵は後にハラバルに与えられ、番大学院攻略やユルールと玉音同の追跡など、ハラバルがモンゴルの裏切り者とされるまで彼に付き従っていた。中にはハラバルに心酔する者もいて、ヴェロニカのハラバル排除の意向をより強める一因となった。 トルイ 大ハンの末息子にあたる一卵性双生児の兄弟。年齢は登場時で18歳。大ハンやユルールと同じ「目」を持つ。 末子相続の慣例に倣ってナラン共々後継者候補となり、大ハンの命令によりとある部族を殲滅させる競争を行なった結果、僅差でトルイが後継者に決まる。以後、自身の「影」に徹しようとするナランに対し、対等な関係であることを望んでおり、特別な存在として思っている。しかし、以前から謀によって物事を意のままに進めるナランのやり方を快く思っておらず、また父である大ハンへの尊崇の念が強かったため、居庸関で大ハンの背中の文字(西夏の奴隷)ともう一人の弟(ユルール)についてナランから聞かされた後、彼が大ハンをシュトヘルまたはハラバルに殺させるつもりであると気づくと、涙ながらにナランを半死半生の目に遭わせ、後から駆けつけるであろうモンゴル兵に賊として処刑させるため放置した。その後シュトヘルとの戦いで片腕を切断され倒れていた大ハンを助け、本陣へ収容した。 すでに数人の妃がいるが、ヴェロニカに想いを寄せているようで、彼女に関して「美しい人」「守って差し上げてくれ」とナランに話したり、父と彼女の関係に嫉妬したり、彼女が自分を異性として意識していないことにがっかりしたりしている。 ナラン 大ハンの末息子にあたる一卵性双生児の兄弟。年齢は登場時で18歳。トルイと同じく、大ハンやユルールと同じ「目」を持つ。 末子相続の慣例に倣ってトルイ共々後継者候補となり、大ハンの命令によりとある部族を殲滅させる競争を行なった結果、僅差でトルイが後継者に決まる。以後、ナランは表向きはその存在を消され、トルイのために各地を見聞して回ったり、トルイを守るための「影」となった。 トルイが正攻法を好むのとは対照的に、謀略を駆使することが多い。また大ハンの近くにいたトルイが大ハンを崇拝していたのに対し、ナランはトルイのみを心の拠り所にしていたふしがある。 自分と共にトルイを守る者を増やすため、ユルールを拉致して少しずつマインドコントロールし、自分の味方にしようと画策する。大ハンが異常にこだわりを見せる玉音同(西夏文字)や、大ハンの背にある文字とその意味も認識しており、屈辱的な文字を背負っていることが知られる前に大ハンを亡き者にし、トルイを新しいハンに就ける計画を企て、トルイの理解も得られると考えて実行に移したが、トルイ本人にはそれを否定(並びに誤解も)された上にトルイから攻撃されて重傷を負い、大ハンの鷹(家来)としての身分証明の札も取り上げられて「君は最初から存在しなかった」と置き去りにされた末、駆けつけたヴェロニカに止めを刺された。そんな扱いを受けてもなお、トルイに玉音同の半分を手に入れていたと伝え損ねたことを後悔するほど、トルイを大切に思っていた。 ヴェロニカを「汚れた女」「胸糞悪い」と評し、父やトルイの近辺にいることも快く思っておらず、モンゴルには不要として殺害を試みている。 父に似て好色で、ユルールがシュトヘルと性的な関係ではないと聞いて「自分の弟なのに」と驚いていた。 メルミ 10歳前後のおとなしい少女。常にナランに付き従う。動物を瞬時に眠らせる歌(ホーミー)や動物にだけ語りかける歌を、生まれながらにして操る一族の出身。 トルイとナランのどちらが後継者となるかを決める競争のために、一族を皆殺しにされた。生まれて間もない赤子ながら、トルイとナランの前でその歌の威力を披露し、ナランにその才能を認められて密かに生き永らえた。広い範囲に向かって歌を行使した後は咳き込むことが多い。 表情は乏しく、「人間のことはよく分からない」と言うが、ナランについて「(平和な時代になればナランは)こっちを見て下さる」と慕う様子を見せている。しかしユルールは、ナランの彼女に対する扱いが雑だと感じている。 シュトヘルは彼女の「犬にだけ語りかける歌」が聞こえるため、ナランは大ハンとユルールの会談場所にシュトヘルを誘き寄せるために利用した。トルイがナランを攻撃しようとしていることに真っ先に気がつき、歌でトルイの馬を眠らせたり、トルイが去った後にやって来たモンゴル兵達の馬を眠らせて時間稼ぎを試みる。逃げるよう言うナランに「(ナランの)お傍でなければ幸せになれない」と拒み、血を吐くほど歌った末、倒れ伏す。 ゼス モンゴル軍の兵士の青年。シュトヘルによって自分の所属していた部隊を父親共々惨殺されたことからシュトヘルを激しく憎んでいる。父親の形見として、シュトヘルに襲撃された際に父親の血の手形が付いた兜を肌身離さず着用している。 境遇を同じくするモンゴル兵らとともにシュトヘル討伐を画策するも失敗、仲間を失って瀕死であったところをシュトヘルらを送る途上の烏木に助けられる。烏木の隊に加わった後、隙を見て致死性の毒の鏃でシュトヘルを殺害しようと目論むが、再び失敗する。 居庸関にて三度目の襲撃を試みるが、シュトヘルによって制圧された上で「復讐以外の生きる道を教えてくれる誰かと出会え」と説かれる。シュトヘルの言動が理解できず「(自分に殺されるつもりがないなら自分を)殺せ」と叫んだ直後に、ナランの放った飛礫で死亡した。 シュトヘルは当初自分を狙ってきた彼を殺そうとしたが、彼の執拗な言動にかつての自分を見出だし、それ故に彼を上記のように諭した。 ショールガ モンゴル軍の将軍。ショールガとはモンゴル語で「嵐」を意味する。大ハンの金国親征に同行するなどモンゴル軍の中でも古参である。常に息子であるサルヒと行動を共にしている。 炸薬を装填した新型の弩を愛用し、これを「時代を刷新するもの」としている。 トルイにつき従って大ハンとユルールの会談場所に行くが、サルヒを殺害した直後のシュトヘルと対決する。その後現われたハラバルが大ハンへ矢を射掛けるのを防ぐため、ハラバルの矢が尽きるまでその身を盾にし、モンゴル軍が居庸関を崩すのを見届け、倒れた。 サルヒ モンゴル軍の将官であり、ショールガの息子。サルヒはモンゴル語で「風」の意。西夏攻略や金侵攻など数々の戦場で父親と共闘している。 メルミの歌に誘き寄せられたシュトヘルと対峙したが、父ショールガの言いつけを守らなかったためにできた隙を突かれ、敗れた。
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