クロスカントリー飛行 cross country flight
クロス・カントリー飛行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 03:20 UTC 版)
グライダーが1 m沈下する間に飛行できる距離は、揚力と抗力の比率(揚抗比、L/D)から見積もられる。形式によって異なるが、最新の設計の機体では44:1~70:1の間である。 この性能のグライダーは、通常の上昇気流を利用して長距離を高速で飛行できる。ちなみに、1,000 kmの距離を飛行したときの平均速度記録は169.7 km/時である。北ヨーロッパのような条件の劣る場所でも、熟練したパイロットが毎年何人も500 km以上の飛行を行っている。 訓練生のような、単独飛行を始めたばかりのグライダー・パイロットは、出発した飛行場まで滑空して帰れる範囲に居なければならない。クロス・カントリー飛行は、出発した飛行場から離れたところで上昇気流を探し出し、航法を行い、必要に応じてどこかに着陸できるだけの十分な技能を修得して、はじめて許される行動である。 1960年代以降はグライダーの性能が向上したため、機体回収の手間を伴う「片道飛行で出来るだけ遠くまで」という飛行目標は流行らなくなった。現在では、計画した周回コースを経由して出発飛行場に戻ってくる飛び方が通常である。 高速飛行を一層楽しむために、競技会種目には速度競走が取り入れられた。最も速く飛んだパイロットを勝者とするが、天候が悪くて完翔できない場合は、最も遠くまで飛んだ者を勝者とする。競技距離は1,000 kmまであり、平均速度120 km/時は珍しくない。 競技では、はじめに地上の監視役員が、グライダーが旋回点を回ったことを確認する。後刻、パイロットはその地点を撮影した写真を裏づけとして提出する。 現在ではグライダーが正確なGNSSフライトレコーダーを搭載していて、数秒おきにGPS衛星から送られた位置情報を記録している。 全国大会は1週間、世界選手権大会は2週間以上の日程で行われる。全種目の累計得点が最高のパイロットが勝者になる。ただし、このような競技会でも一般の注目を集めることは無い。例えば、多数のグライダーが一斉にスタートを切ることは迫力ある情景ではあるが危険であるため、間隔をあけた個別出発法が採られている。また、見物人がグライダーを見ることができるのは、どの競技でも短時間に過ぎない。さらに、採点法も複雑である。そのため、グライダー競技のテレビ放映も難しい。 グライダー競技を広くアピールするために、新方式のグランプリ競技方式が導入されている。改良点は、少数機で同時出発をすること、何回も周回する競技法にしたこと、採点法を単純にしたことである。 インターネットを利用した分散開催形式のオンライン競技会もある。パイロットは自分のGPSデータをアップロードすると、それからの飛行距離が自動的に採点されるようになっている。2006年には、全世界の7,800名のパイロットが参加した。
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