クハ76形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 04:06 UTC 版)
座席定員60名の制御車。クハ76001 - 76036・76037 - 76051の奇数・76052 - 76096・76097・76099・76101・76300 - 76315の合計106両が製造された。室内はモハ70形と同じセミクロスシートでクハ86形と同様に後位(連結面)側にトイレを設置するが、奇数車では3位側に、偶数車では4位側に、それぞれ配置することで東海道本線でのトイレ位置を海側に統一した。なお、奇数向き車両がやや多いが、横須賀線では制御電動車のモハ43, 53形が偶数(横須賀線の下り側)向きであったことと、京阪神緩行線では51系の先頭車に偶数向き車両が比較的多かったことによる。 1950年度製造(1950年度予算)車(クハ76001 - 76030)の概要は以下のとおり。 窓配置は両側とも1dD6D6D2。 トイレは寸法は幅835 mm×長さ1315 mmで出入口は前位寄に設置され、トイレ対面部の座席はロングシート。 正面窓枠は木製。 台車:TR45。 電動発電機(偶数番号車):MH49-DM28(定格出力2kW) 製造年度ごとの変更点は以下のとおりで、ほぼモハ70形と共通である。 1951年度(1951年度予算) :クハ76031 - 76036, 76037 - 76051(奇数)。 戸閉機械をTK4からTK4Aに変更。 出入口周囲の天井灯の配置を1列から2列に変更。 トイレを幅790 mm×1335 mmに小型化して出入口を側面に変更し、トイレ側の窓配置を1dD6D6D1に変更。 トイレ出入口の対面の座席をクロスシートに変更。 1952年度(1952年度予算) :クハ76053 - 76063 車体隅柱をR80から貼合式のR15に変更。台枠形式をUF133からUF133Aに変更。 妻面の上部のガラリ式通風窓を廃止。 前面窓をHゴム支持化。 台車をTR48に変更。 1954年度(1954年度予算) :クハ70065, 70067 戸袋窓と客用扉をHゴム支持の1枚ガラスに変更。 妻面の貫通扉を木製のものから鋼製のものに変更。 1955年度(1955年度1次予算):クハ76064, 76066, 76069, 76071 電動発電機をMH77B-DM43B(定格出力3kW)に変更。 1955年度(1955年度3次予算) :クハ76068 - 76076(偶数), 76073 - 76081(奇数) 天井に扇風機回路準備工事を施工。 1956年度(1956年度予算):クハ76078 - 76086(偶数), クハ76083 - 76093(奇数) 床板を1.6 mm厚の鋼板とし、その上に合成樹脂製の敷物を貼り付け。 屋根板を1.6 mm厚の鋼板に変更。 雨樋を木製から鋼製に変更。 前照灯を150 Wから250 Wに変更し、灯具を大型化。 1957年度(1957年度債務予算):クハ76088 - 76094(偶数), 76095 - 76101(奇数) 1956年度(1956年度予算)車と同一仕様。 1957年度(1957年度予算):クハ76300 - 76315 鋼体だけでなく内装も全金属車体とし、80系と同様に300番台に区分。 側面窓を幅725 mm×高さ895 mmの二段上昇窓に変更。 室内灯を20 Wの蛍光灯(13本)に変更し、扇風機6基を設置。これに伴い通風器と照明の配置を変更。 クロスシートの幅を905 mmから930 mmに拡大。 トイレを幅790 mm×1265 mmに小型化してトイレ前位側の客室部分に幅625 mmの側面窓を設置、トイレ位置を奇数車、偶数車ともに3位側に統一。 運転台直後の客室部分に幅420 mmの側面窓を設置し、上記と合わせて窓配置を2・4位側が1d1D6D6D2、1・3位側は1d1D6D6D11に変更。 運行番号表示器を少し前に張出した構造に変更。 運転台窓上部に通風口を設置。 前面下部にタイフォン2基を埋込式に設置。 ジャンパ連結器を連結器の左右両側に配置した奇数・偶数を分けない両渡り構造に変更。
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