カトリック教会からの批判と遠藤のその後の発言とは? わかりやすく解説

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カトリック教会からの批判と遠藤のその後の発言

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 18:48 UTC 版)

沈黙 (遠藤周作)」の記事における「カトリック教会からの批判と遠藤のその後の発言」の解説

沈黙出版当初カトリック教会からの反発は非常に強いものがあった。特に長崎においては禁書等し扱いをされたという。司祭踏絵を踏むという衝撃的な結末快く思わない教会指導者による非難がその要因とされる1972年昭和47年1月13日付で遠藤による「踏絵」と題する記事が『カトリック新聞』に掲載された。本記事において遠藤は「『早くふむがいい。それでいいのだ。私が存在するのは、お前たち弱さのために、あるのだ』と(踏絵の)キリストの顔が言っている気がした」と書いたが、その記述対しサレジオ会司祭当時ドン・ボスコ社月刊誌カトリック生活』編集長であったフェデリコ・バルバロ神父アロイジオ・デルコル神父は、遠藤が『沈黙』の中の踏絵場面正当化したとして、『カトリック生活』で反論述べている。 イエズスが「正義のためにしいたげられる人は幸せ」という自分信念をすてて、ただこの弱いあわれな人々の今のしあわせを考えたならば遠藤氏のいうようなことになっただろう。(中略日々人間として信仰者として、われわれは、いろいろな意味でのふみ絵の前に立たされている。キリストと、キリストの国と、キリストの愛をえらぶか、それとも、あなた自身傲慢と、利益邪欲とのいずれをえらぶかが、日々めされている。この場合、よわい人間としてえらびやすい方をえらんでもよいなら、そしてどうせキリストは弱いもののためにきたのだから、それをあてにして行動するならキリストが、”天にまします父のように完全であれ”という言葉空しくなる。こうなればキリストは、「人類が歩くべき気高い道の旗印」とはならず、「人間弱さ卑劣さ使徒となり、人間中にある最も聖なるもの崇高なものの最大の裏切者」となるほかない。キリストが「人類気高いものの旗印となったのは、かれが生命をかけて正義と愛と真理守り通したからである。 遠藤1974年著書切支丹の里』において、棄教者に向ける自身思いを以下のように記している。 それには考えられる理由が当然ある。棄教者基督教教会にとっては腐った林檎であり、語りたくない存在だからだ。臭いものにはをせねばならぬ彼等棄教動機、その心理その後生き方はこうして教会にとって関心の外になり、それを受けた切支丹学者たちにとっても研究の対象とはならなくなったのである。(中略) こうして弱者たちは政治家からも歴史家からも黙殺された。沈黙の灰のなかに埋められた。だが弱者たちもまた我々と同じ人間なのだ。彼等それまで自分理想としていたものを、この世でもっとも善く美しいと思っていたもの裏切った時、泪を流さなかったとどうして言えよう。後悔と恥とで身を震わせなかったとどうして言えよう。その悲しみ苦しみにたいして小説家である私は無関心ではいられなかった。彼等転んだあとも、ひたすら歪んだ指をあわせ、言葉にならぬ祈り唱えたとすれば、私の頬にも泪が流れのである。 やがて遠藤思いは、弱き者寄り添う同伴者イエス」の像として、1980年発表された『侍』に結実するのである

※この「カトリック教会からの批判と遠藤のその後の発言」の解説は、「沈黙 (遠藤周作)」の解説の一部です。
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