共和国防衛隊
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イラク共和国防衛隊(アラビア語: حرس العراقي الجمهوري Ḥaris al-‘Irāq al-Jamhūriyy Iraqi Republican Guard 通称RG)はサッダーム・フセイン政権時代の軍事組織。創設者はフセイン・カーミル・ハサン。イラン・イラク戦争時代から存在しており、湾岸戦争では主力部隊として戦った。湾岸戦争後は、非ティクリート系の部隊の反乱が発生し、改めて特別共和国防衛隊が編成された。イラク戦争では、初期の空爆により通信網を遮断され大規模な組織的作戦能力を奪われたり、多くの指揮官がCIAの調略を受けたりしたため、[要出典]一部の部隊を除き有効な反撃はできなかった。
概要

共和国防衛隊(以下RG)は、当初、「大統領特別警護隊」として発足しており、任務はサッダームの身辺警護であり、通常戦闘にはほとんど参加することはなく、隊員はバアス党員で固められており、またティクリート出身者が多くを占めていた。
イラン・イラク戦争時の1986年、イラン軍の大規模反攻が始まり、イラク軍は占領地を次々と奪還された。この危機に際して、イラク政府は、一般大学を閉鎖し、大学生を緊急に召集した。この際、非ティクリート出身者にも、RG入隊、従ってバアス党入党の資格が与えられた。この結果、RGでは、一時的に血縁・地縁によらない能力主義が採られ、指揮官にはイラク軍の有能な将校が就き、イラン軍の撃退、後のクウェート侵攻でその作戦能力を誇示することができた。
徴兵制の旧イラク軍では珍しく志願制の部隊であり、装備・給料・待遇の面で格段の差がある。イラク戦争開始時の兵力は軍全体で約35万人に対して、6個師団7万人の勢力を保持していた。なお、イラクと同じくバアス党による支配が続くシリア(同名の軍部隊)やイラクと同じく汎アラブ主義を掲げるイエメン(同国の共和国防衛隊は内務省管轄の準軍事組織とされる)等にも同名の部隊が存在する。
現在、元RG隊員の多くは旧バアス党支持派やISILのような反政府組織に参加していると言われている。
組織
発足時はイラク陸軍出身の将校がRG司令官としてRGを統率していたが、その後の機構改編により、政権内部で台頭したサッダームの次男クサイが長を務める特別保安機関(OSS)の傘下に入り、OSS長官を務めるクサイが、実質上の最高指導者となった。公式なポストでは無いものの、RG監督者の肩書が与えられている。
指揮命令系統は、監督者であるクサイから、RG事務局に伝えられ、そしてRG参謀総長から各軍団へと流れる仕組みになっている。
2003年4月時点でのRG事務局長は、カマール・ムスタファー・アブドゥッラー・スルターン陸軍中将。参謀総長は、サイフッディーン・フライイフ・ハサン・ターハー・アッ=ラーウィー中将であった。
編成
北部及び南部の2個軍団と直轄部隊から成った。
- 北部軍団(アッラーフ・アクバル)
- アル=マディーナ師団(第2装甲師団)
- バグダード師団(第5自動車化歩兵師団)
- アドナーン師団(第7機械化歩兵師団)
- アル=アービド師団:?自動車化歩兵師団
- 南部軍団(アル=ファーティフ・アル=ムビーン)
- ハンムラビ師団(第1機械化歩兵師団)
- ネブカドネザル師団(第6自動車化歩兵師団)
- アル=ニダー師団(?装甲師団)
- 直轄又は所属不明部隊
- タワカルナ師団(第3機械化歩兵師団)
- アル=ファウ師団(第4自動車化歩兵師団)
旧イラク軍の装備
ここでは湾岸戦争直前の1990年時点での装備を一覧とする。なお当時も現在も正規軍と共和国防衛隊の人数や装備は混同して同時に紹介される事が殆どで、軍事作戦などでも共同歩調をとっていたため、ここに記載されているのは共和国防衛隊も含めた旧イラク軍全体の装備である[1]。
画像 | 名称 | 原産国 | 分類 | 保有数 | 兵装・備考 |
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イブン・ハルドゥーン級フリゲート | ![]() |
フリゲート | 1隻 | 対潜魚雷発射管2基搭載、練習艦である。 |
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オーサ型ミサイル艇 | ![]() |
ミサイル艇 | 8隻 | P-15対艦ミサイル発射機4機搭載。 |
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P-15 | ![]() |
対艦ミサイル | 不詳 | |
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P-6型魚雷艇 | ![]() |
魚雷艇 | 6隻 | 533mm魚雷発射管2基搭載。 |
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SO-1級駆逐艇 | ![]() |
哨戒艇 | 3隻 | |
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ニルヤット2級哨戒艇 | ![]() |
4隻 | ||
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艦級不詳 | 不詳 | 13隻 | ||
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T-43級掃海艇 | ![]() |
掃海艇 | 2隻 | |
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艦級不詳 | 不詳 | 6隻 | ||
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アル・ザラー級揚陸艦 | ![]() |
揚陸艦 | 3隻 | 兵員250人乗艦、戦車20両・ヘリコプター1機搭載可能。 |
ポルノクヌイ級揚陸艦 | ![]() |
3隻 | 兵員180人乗艦、戦車6両搭載可能。 | ||
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大統領専用ヨット | ![]() ![]() |
ヨット | 2隻 |
画像 | 名称 | 原産国 | 分類 | 保有数 | 兵装・備考 |
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Tu-22 | ![]() |
爆撃機 | 10機 | 爆撃機型8機、練習機型2機。 |
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Tu-16 | ![]() |
4機 | ||
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H-6 | ![]() |
4機 | ||
MiG-23 | ![]() |
戦闘攻撃機 | 90機 | ||
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ミラージュF1 | ![]() |
110機 | 攻撃機型64機、戦闘機型30機、練習機型16機。 | |
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Su-7 | ![]() |
30機以上 | 攻撃機型30機、練習機型不詳。 | |
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Su-20 | ![]() |
70機 | ||
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Su-24 | ![]() |
16機 | ||
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Su-25 | ![]() |
60機 | ||
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J-6 | ![]() |
30機 | ||
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J-7 | ![]() |
戦闘機 | 40機 | |
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MiG-21 | ![]() |
155機 | 戦闘機型150機、偵察機型5機。 | |
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MiG-25 | ![]() |
32機 | 戦闘機型25機、偵察機型7機。 | |
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MiG-29 | ![]() |
30機 | ||
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Il-76 | ![]() |
早期警戒管制機 | 22機 | 警戒機型「アドナン」2機、空中給油機型1機、輸送機型19機。 |
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An-2 | ![]() |
輸送機 | 10機 | |
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An-12 | ![]() |
10機 | ||
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An-24 | ![]() |
6機 | ||
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An-26 | ![]() |
2機 | ||
MBB-223 | ![]() |
練習機 | 16機 | ||
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Yak-11 | ![]() |
10機 | ||
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L-29 | ![]() |
50機 | ||
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L-39 | ![]() |
40機 | ||
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PC-7 | ![]() |
50機 | ||
PC-9 | ![]() |
30機 | |||
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EMB-312 | ![]() |
88機 | ||
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AS-202 | ![]() ![]() |
35機 | ||
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R.530 | ![]() |
空対空ミサイル | 不詳 | |
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R.550 | ![]() |
不詳 | ||
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R-3 | ![]() |
不詳 | ||
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R-40 | ![]() |
不詳 | ||
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R-24 | ![]() |
不詳 | ||
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R-60 | ![]() |
不詳 | ||
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エグゾセ | ![]() |
空対地ミサイル | 不詳 | |
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SY-1 | ![]() |
不詳 | ||
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Kh-22 | ![]() |
不詳 | ||
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KSR-2 | ![]() |
不詳 | ||
Kh-58 | ![]() |
不詳 | |||
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Kh-25 | ![]() |
不詳 | ||
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AS.30 | ![]() |
不詳 |
脚注
- ^ 国際戦略研究所/防衛庁防衛局調査第二課 編『ミリタリー・バランス 1990-1991』メイナード出版、1991年6月12日、188-190頁。
- ^ a b c “湾岸戦争前と現在のイラクの戦力”. 共同通信 (2003年). 2025年7月13日閲覧。
固有名詞の分類
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