大統領専用ヨットとは? わかりやすく解説

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大統領専用ヨット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/12 02:17 UTC 版)

大統領専用ヨット(だいとうりょうせんようヨット)は、ある国の海軍に所属する艦船で、特にその国の大統領が用いるもの。ここでいう「ヨット」は、大型の遊行船のことであり、一般的には帆船ではなく汽船であり、外国元首など賓客の接遇などにも用いられる[1][2]

観艦式において、特定の艦船が大統領専用ヨットとして、そのつど臨時に指定されることもよくあるが、以下に記述する諸国のように、恒久的に指定された大統領専用ヨットをもつ国もある。

フィンランド

フィンランドの大統領は、小型のプライベート・ヨット「Kultaranta VIII」をもっている[2]

フィリピン

BRP Ang Pangulo(「Ang Pangulo」は「大統領」の意)が、フィリピンの大統領の専用ヨットである[3]。フィリピンでは、アメリカ合衆国の植民地であった時代から当時の総督が用いるヨットが運行されており、それがその後のフィリピン・コモンウェルス以降、大統領専用ヨットに移行した[3]

ロシア

ロシア連邦大統領ドミートリー・メドヴェージェフだった当時の大統領専用ヨットは、シリウス (Sirius) という名だった[4]

トルコ

MV Savarona が現在の大統領専用ヨットであるが、2010年までは、私的なリース契約に基づいて供与されていたものであり、この船に代わる新しい船の計画が進められている。

新たな大統領専用ヨットは、大統領や、トルコを訪れた外国元首たちが使用するものとして、トルコ政府が発注しているとされる50m級のヨットである。このヨットの詳細は、2008年9月に初めて公になった[5]。このヨットは、イスタンブールペンディク英語版にあるイスタンブール海軍工廠で建造されており、飛行物体のような船体に、地対空ミサイルその他のハイテク機器が装備されているという。

アメリカ合衆国

かつてアメリカ合衆国では、大統領専用ヨットを運用していた。1929年には、当時の大統領専用ヨット、メイフラワー(1906年 – 29年)が、世界恐慌直前の財政政策のひとつとして退役になっている。最も有名な大統領専用ヨットとしては、 ポトマック英語版(1936年 – 45年)やウィリアムズバーグ英語版(1945年 – 53年)が挙げられる。

1961年日本の首相だった池田勇人が訪米した際、大統領ジョン・F・ケネディは、ポトマック川に浮かべた当時ハニー・フィッツと呼ばれていた大統領専用ヨットに池田を招き、いわゆる「ヨット会談」を行なった[1]

最後の大統領専用ヨットは、セコイア英語版(1933年 – 77年)であった。

ユーゴスラビア

最も有名なユーゴスラビアのヨットは、元帥ヨシップ・ブロズ・チトーユーゴスラビア社会主義連邦共和国大統領:在任 1953年 - 1980年)のヨットだった Galeb である。やはりチトーのプライベート・ヨットだった MS Jadran は、1975年にジョン・レトニック (John Letnik) に100万ドルで売却され、トロントの波止場に係留されてキャプテン・ジョンズ・ハーバー・ボート・レストラン英語版に転用された[6]

脚注

  1. ^ a b 懐かしの毎日ニュース:【1961年6月21日】池田首相、ケネディ大統領とヨット上で会談”. 毎日新聞社 (2013年6月20日). 2015年12月2日閲覧。風間二郎. “時の焦点<国内>「JFK」の大きな功績”. 朝雲新聞社. 2015年12月2日閲覧。 “一連の行事の白眉は、大統領専用ヨット「ハニー・フィッツ号」上で行われた首脳会談、いわゆる「ヨット会談」である。”ハニー・フィッツ号に乗船したジョン・F・ケネディ大統領と日本の池田勇人首相、1961年6月21日”. John F. Kennedy Presidential Library and Museum. 2015年12月2日閲覧。
  2. ^ a b ITAR-TASS. “Stock Photo - ITAR-TASS: FINLAND. JULY 22, 2010.”. alamy. 2015年12月2日閲覧。 “Russian president Dmitry Medvedev (red) and Finland's president Tarja Halonen (R) seen aboard the Kultaranta VIII, the official presidential yacht of the Finnish president, ...”
  3. ^ a b Presidential yachts”. Republic of the philipines. 2015年12月2日閲覧。
  4. ^ Tom Parfitt (2011年1月27日). “Russia's president splashes out on new super-yacht”. guardian.co.uk. http://www.guardian.co.uk/world/2011/jan/27/russia-medvedev-super-yacht 
  5. ^ Çankaya için lüks yat! (Turkish)
  6. ^ Shephard, Michelle (1995年8月14日). “Restaurant's claws for success Sinking of his first restaurant failed to dampen Captain John's ambitions”. Toronto Star: p. C3. http://pqasb.pqarchiver.com/thestar/access/21226834.html?FMT=ABS&FMTS=ABS:FT&type=current&date=Aug+14%2C+1995&author=by+Michelle+Shephard+TORONTO+STAR&pub=Toronto+Star&desc=Restaurant's+claws+for+success+Sinking+of+his+first+restaurant+failed+to+dampen+Captain+John's+ambitions&pqatl=google 2012年6月27日閲覧。 

関連項目


大統領専用ヨット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/17 18:34 UTC 版)

メイフラワー (哨戒ヨット)」の記事における「大統領専用ヨット」の解説

1905年7月25日改め就役したメイフラワーはキャメロン・ウィンスロー(英語版中佐艦長就任し直ちニューヨーク州ロングアイランドのオイスター・ベイ(英語版)に向かったが、これは日露戦争講和向けた会議準備一環であった8月5日アメリカ合衆国大統領セオドア・ルーズベルトは、メイフラワー艦上ロシア帝国大日本帝国代表団招き両者会見させた。その後メイフラワーは、ルーズベルト大統領ノーベル平和賞受賞する契機となった様々な交渉支援する役割果たした1906年サントドミンゴへ、アメリカ合衆国権益保護のために通報艦として派遣された後、1929年まで、メイフラワーは大統領専用ヨットとされた。この時期メイフラワーは、数多く外交交渉社交の場として利用された。世界各地王族がこのヨット遊行船)に乗りゲストブックには多数重要な人物たちが署名残したウッドロウ・ウィルソン大統領は、(後に再婚した相手で、当時未亡人だった)イーディス・ボリング・ガルト(英語版)との交際の場として、メイフラワーをしばしば用いた就任当初ハーバート・フーヴァー大統領が行なった指示のひとつは、年間30ドル維持費かかっていたメイフラワー経済的な負担節約することだった。1929年3月22日に、メイフラワーフィラデルフィア海軍造船所退役となり、フィリピン人乗組員たちは、大統領別荘だったラピダン・キャンプ(英語版)に転属となったメイフラワー競売かけられたが、応札するものがなく、結局また軍用として使用することとなったフィラデルフィア海軍造船所全面的な改装をしている途中だった1931年1月24日に、メイフラワー深刻な火災見舞われた。消火のための放水大量に流入したため、船体水没し引き揚げ必要になった。

※この「大統領専用ヨット」の解説は、「メイフラワー (哨戒ヨット)」の解説の一部です。
「大統領専用ヨット」を含む「メイフラワー (哨戒ヨット)」の記事については、「メイフラワー (哨戒ヨット)」の概要を参照ください。

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