EE-9_(装甲車)とは? わかりやすく解説

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EE-9 (装甲車)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/30 14:20 UTC 版)

EE-9 カスカベル
エクアドル軍のEE-9 カスカベル Mk.IV
基礎データ
全長 6.2m(砲身含む)
5.2m(車体のみ)
全幅 2.64m
全高 2.68m
重量 10.9t(車体のみ)
13.4t(戦闘重量)
乗員数 3名(車長、砲手、運転手)
装甲・武装
装甲 6 - 12mm
主武装 コッカリル Mk.3 90mm低圧砲(Mk.III)
副武装 7.62mm機関銃x1丁(同軸
機動力
速度 100km/h
エンジン デトロイトディーゼル 6V-53N
6気筒液冷ディーゼル
212hp
懸架・駆動 6x6
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EE-9 カスカベルポルトガル語: EE-9 Cascavel。カスカベルは中南米に生息するガラガラヘビの一種)は、1960年代後半にブラジルEngesa社が設計開発した、6輪式の偵察装輪装甲車である[1][2]

概要

ブラジル陸軍からの開発要求に基づき、EE-11 ウルツ装甲兵員輸送車と共に開発が行われた[1]。試作車は1970年に完成し、最初の量産車は1974年に完成した[1]。EE-11とは多くの駆動系部品を共有するが、レイアウトは異なる[1]

装甲はブラジルで開発されたもので、硬度の異なる2枚の装甲を重ね合わせた構造で、外側が硬く、内側が軟らかい[1][2]。これにより、重量の中で最大の防御力を発揮できるよう設計されている[1]。車体前方には操縦手席があり、中央に戦闘室と2名用砲塔、後部にエンジンとトランスミッションが配置されている[1][2]。エンジンとトランスミッションは、世界中の民間企業からスペアパーツを入手可能である[1]。足回りは6輪駆動式で、タイヤ圧調整システムを装備しており、前方の2輪はパワーステアリングである[1]

武装については、初期生産型が37ミリ砲、その後は90ミリ砲を主砲として装備している[1]。EE-9の派生型で最も多数が生産されたカスカベル Mk.IIIは、Engesa社製の砲塔ベルギーコッカリル Mk.3 90mm低圧砲ライセンス生産したものを搭載している。副武装には同軸機関銃として7.62ミリ機関銃を装備し、砲塔上部に対空用の7.62ミリまたは12.7ミリ機関銃を装備可能である[1]

オプション装備も豊富で、射撃指揮システムやレーザー測距儀、昼夜間照準器、NBC防御システムなどを装備することが可能だった[1]

EE-9はラテンアメリカ中東アフリカ第三世界諸国に広く輸出されている。イラン・イラク戦争においてはイランイラクの双方がこれを購入・使用したほか、イラクは湾岸戦争においても使用している。イラクではまた、チェコスロバキアから輸入したOT-62装軌式装甲兵員輸送車にEE-9の90mm砲塔を搭載した改造車両を使用した。ほかにも、コロンビア軍コロンビア革命軍(FARC)を筆頭とする左翼ゲリラ組織の掃討作戦に使用し、コロンビア最高裁占拠事件では人質を取って立てこもる武装勢力の排除に使用されるなど、それなりの実戦経験を有している。

派生型

カスカベル Mk.I
初期型。M8 グレイハウンド装甲車砲塔主砲を搭載している。
カスカベル Mk.II
砲塔をフランスパナール社製H 90[3]に換装し、主砲もフランス製DEFA D921 90mm砲を搭載している。
カスカベル Mk.III
砲塔をEngesa社製のものに換装し、主砲にコッカリル Mk.3 90mm低圧砲をEngesa社でライセンス生産した砲を搭載している。
カスカベル Mk.IV
エンジントランスミッションを新型に換装し、ランフラットタイヤを装備。また、砲塔には昼夜兼用の光学照準器レーザーレンジファインダーを装備。
カスカベル Mk.V
Engesa社が開発した最後のカスカベルの改良型。エンジンをメルセデス・ベンツ社製OM52A ディーゼルエンジン(190馬力)に換装。
カスカベル Mk.VI
カスカベル Mk.Vのエンジンをメルセデス・ベンツ社製OM352A ディーゼルエンジンに換装。
カスカベル Mk.VII
カスカベル Mk.IVとカスカベル Mk.Vのギアボックスを換装。

運用国

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k l デアゴスティーニ 2003, p. 5.
  2. ^ a b c 日本兵器研究会 2002, pp. 251–252.
  3. ^ AML 90に装備されているものと同型
  4. ^ IISS 2024, p. 424.
  5. ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 81. ISBN 978-1-032-50895-5 
  6. ^ IISS 2024, p. 431.
  7. ^ IISS 2024, p. 445.
  8. ^ IISS 2024, pp. 414–415.
  9. ^ IISS 2024, p. 452.

参考文献

  • The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2024) (英語). The Military Balance 2024. Routledge. ISBN 978-1-032-78004-7 
  • 『週刊ワールド・ウェポン 世界の兵器 完全データ・ファイル』第30巻、デアゴスティーニ、2003年。 
  • 日本兵器研究会 編『新・世界の装輪装甲車カタログ』アリアドネ企画、2002年4月20日。 ISBN 4-384-02791-5 

関連項目

外部リンク





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