アンデスのフォルクローレ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 02:59 UTC 版)
「フォルクローレ」の記事における「アンデスのフォルクローレ」の解説
ボリビア・ペルー・エクアドルなどアンデス諸国は、先住民の人口が多く、音楽にも先住民の要素が強く残っている。ただし、現在世界的によく知られている「アンデスのフォルクローレ」は、先住民の伝統音楽そのものではなく、それとスペイン系の音楽的伝統を融合して比較的最近(おそらく1950年代)完成した新しい音楽である。アンデス周辺の地域がフォルクローレ音楽の本拠地と目され、高い人気を得ているのはボリビアである。代表的な曲としては、ペルーの「コンドルは飛んでいく(エル・コンドル・パサ、El condor pasa)」やアルゼンチンの「花祭り」(「ウマウアケーニョ」)などがある。「コンドルは飛んでいく」はサイモン&ガーファンクルのカバーにより、世界的に有名になった。 演奏は、スペイン系の起源を保つ弦楽器(ギター・チャランゴ・マンドリン・バイオリン・アルパなど)と、先住民系の起源をもつ管楽器(ケーナ・サンポーニャ・ロンダドールなど)、両者に起源をもつ打楽器(もっとも一般的に使われるボンボはスペイン起源だとされる)のアンサンブルによって行われる。また、曲も、1拍子または2拍子のリズムとドレミソラの5音音階(ペンタトニック)を基本とする先住民系の旋律(ワイニョ/ワイノ・トナーダなど)、6/8拍子のリズムを基本とするスペイン系の旋律(クエッカ・バイレシート・カルナバルなど)双方が取り入れられている。従来の伝統にこだわらない新しい発想による曲も数多く発表されている。 国によって曲調やリズム、楽器に多少の違いがある。例えばチャランゴはボリビアでもっとも盛んで、ペルーでも使われるが、エクアドルではあまり使われない。逆にロンダドールはエクアドルに独特の楽器で、またアルパはアンデス諸国の中ではペルーでもっとも盛んで、ボリビアやエクアドルではあまり使われない、などである。ただし、ペルーやエクアドルにもボリビア風のフォルクローレを演奏するグループが数多く存在する。 また、アンデスのフォルクローレは先住民系とスペイン系の音楽的要素が融合して完成した音楽だが、その原型となった音楽は以下のようなものだと考えられる。 アウトクトナ音楽 先住民がインカ時代以前から受け継いできたスタイルを基礎に置いていると考えられる音楽(実際には目に見えないかたちでヨーロッパ音楽の影響を少なからず受けているとも指摘される)。弦楽器を使わず、各種の笛と太鼓だけの合奏で演奏される。もともとは伝統的な祭りのための音楽として伝わってきたが、近年は商業音楽としてコンサートでの演奏やCDの録音なども行われている。 ノルテ・ポトシの音楽 ポトシ北部地方は、チャランゴの発祥の地ではないかと推定されており、現在もチャランゴの原型となった各種の弦楽器と、独特の奏法で現在も盛んに演奏されている。 エストゥディアンティーナ 学生が伝統的な衣装をまとってセレナーダを演奏する風習をエストゥディアンティーナまたはトゥーナと呼ぶ。スペインで生まれてメキシコやボリビア、ペルーなどラテンアメリカ各国にも伝わった。ボリビアのクエッカやバイレシートなど白人系のリズムの曲の中には、エストゥディアンティーナの演奏として世に出たものも多い。 代表的なグループ・演奏家 ※ケーナ・サンポーニャ・チャランゴの演奏家はそれぞれの項を参照 ロス・ハイラス (Los Jairas) : ボリビア・現在のフォルクローレの原型的グループ ロス・カルカス (Los Kjarkas) : ボリビア ハチャ・マリュク (Jacha Malluku) : ボリビア ルミリャフタ (Rumillajta) : ボリビア スルマ・ユガール (Zulma Yugar) : ボリビアの歌手 グルーポ・ノルテ・ポトシ (Grupo Norte Potosi) :ボリビア・北ポトシの演奏スタイル グルーポ・アイマラ (Grupo Aymara) : ボリビアのアウトクトナ音楽 ムシカ・デ・マエストロス (Musica de maestros) : ボリビアのエストゥディアンティーナ ラウル・ガルシア・サラテ (Raul Garcia Zalate) : ペルーのフォルクローレ・ギタリスト クエドラス・デル・ラゴ (Cuedras del lago) : ペルーのエストゥディアンティーナ アントニオ・カマケ (Antonio Camaque) : ペルー 現在は日本で活躍中 ケルマントゥ (KERUMANTU) : ペルー、現在は日本で活躍中 ロス・シャピス (Los Shapis) : ペルー
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