アルバムの背景と概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/17 14:48 UTC 版)
「ライク・ア・プレイヤー」の記事における「アルバムの背景と概要」の解説
「ライク・ア・プレイヤー」がリリースされた、この頃のアメリカの音楽シーンは大きな変動を遂げており、ヒップホップの台頭からヘヴィメタルの全盛など、1980年代のポップ・ミュージックを代表するアーティストとしての位置を確立したマドンナでも、時代の流れを意識したサウンドを追求せざるを得なかった。そんな中でリリースされたオリジナル4作目の「ライク・ア・プレイヤー」はそのマドンナの姿勢を表したアルバムとも言える。ダンサブルではあったが、ポップのメインストリームを貫いた前作「トゥルー・ブルー」とは対照的に、「ライク・ア・プレイヤー」はポップやロックの要素を含むだけでなく、黒人音楽であるゴスペルやリズム・アンド・ブルースの要素を積極的に採り入れ、よりソウルフルでバラエティに富んだ作品になった。 また、マドンナの私生活にも大きな変化が訪れる。この年、4年間続いた俳優ショーン・ペンとの離婚である。すでにメディアでは何度も伝えられていたショーンの激しい気性、一度はパパラッチを殴った後逮捕されるなど、結婚生活には衝撃的な出来事が続いていた。マドンナをとり囲む異様なまでのメディアの関心、それによるプライバシーの侵害は、後にショーンが語ったように結婚破綻の一因だと言われている。こうした出来事の中制作された、「ライク・ア・プレイヤー」はこれまでになく、マドンナの当時の心境を明かした告白的なアルバムである。 その中でも「デス・ドゥ・アス・パート」は当時の波乱な結婚生活の様子を垣間見る、その痛烈な歌詞の内容で知られている。マドンナの皮肉ある反抗的な歌詞は、結婚制度に対してだけでなく、宗教、特にマドンナが育ったカトリック教会にも向けられる。第一弾シングルとなった「ライク・ア・プレイヤー」はバチカンや宗教団体から非難を受けたプロモーション・ビデオは言うまでもなく、「神聖と世俗」をテーマにしたウイットのある歌詞でも有名である。マドンナの権威に対する反抗心は、彼女にとって永遠のテーマとなる父親シルヴィオとの関係にも象徴される。「オー・ファーザー」ではその父親との複雑な関係が歌われている。一方の「プロミス・トゥ・トライ」では、マドンナが幼少の時に亡くした最愛の母親のことを初めて歌っている。そして、ヒット・シングル「キープ・イット・トゥゲザー」の中では、数多くの兄弟の中で育った自分の幼少時代を振り返っている。 マドンナの代表曲の一つとして知られる「エクスプレス・ユアセルフ」は、アメリカの著名な社会批評家そしてフェミニストであるカミール・パーリアに「フェミニズムの将来」と言わしめた、マドンナのパワフルなメッセージ・ソングである。恋愛における男女の力関係を歌ったこの曲は女性を賛歌した歌であったが、「自分自身を表現することが出来れば、自分自身を尊敬することができる」という内容の詞は、男女関係なくユニバーサルに受け止められたメッセージである。
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