ほかの障害との併存と鑑別
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 12:28 UTC 版)
「注意欠陥・多動性障害」の記事における「ほかの障害との併存と鑑別」の解説
明らかな機能障害や苦痛を引き起こしていなければ、症状が正常な範囲である可能性がある。4歳では正常な未熟である。DSM-5では、発症年齢を12歳と遅くしたが、典型的には症状は生まれつきであるため、同様の症状を起こす他の原因と誤解が生じる可能性があり、成人では特に慎重であるべきで、遅発性では薬物が原因の症状だということも疑える。あるいは他の精神障害が原因となっていることもある。特に成人では、薬の娯楽目的、転売目的で受診している場合がある。マイケル・ムーアは、映画『シッコ』において、重篤な疾患を抱えた大勢の国民が治療を受けられずに放置されているなか、あなたは不安症ではないか、注意欠陥障害ではないか、とメディアが国民の不安を煽る現状にも触れている。 適応障害では、混乱した学校環境、家庭のストレスなどへの反応であるなど、特定の状況に生じている。両親や教師など周囲の大人が完璧主義、あるいは子供に過剰な期待をしており、そうした環境が破壊的な場合にADHDが過剰診断されやすいが、大人の期待の再構築、環境調整が必要となる。 ADHDをもつ児童は、他の精神障害が並存する確率が66%増加する。関連障害として特異的発達障害(学習障害)や、軽症アスペルガー障害との合併を示すことがある。またその特性上周囲からのネガティブな打撃を受けやすく、二次的に情緒障害を引き起こす傾向があり、行為障害、反抗挑戦性障害、不登校やひきこもりを招きやすい。 不眠症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群のような睡眠障害は、ADHDに似た症状を起こすことがあり、疼痛も睡眠の問題を起こすことがある。 他の発達障害 学習障害 (LD) はADHDを持つ子供の約20-30%に見られる。学習障害は発音・言語の発達と学習スキルの障害が含まれる。 他の情緒障害 トゥレット障害は、ADHDを持つ人においてさらに一般的である。 反抗挑戦性障害 (ODD) と 素行障害 (CD) は、ADHD患者においてはそれぞれ約50%、20%ほどリスクが高い。素行障害では規則違反を起こし、反抗挑戦性障害では権力に逆らう。 夜尿症 - 一般の15歳以上で夜尿を起こす割合は1%程度とされているが、ADHDで夜尿症を発症する割合は約3割にものぼるとされる。 気分障害 うつ病は主に周りのネガティブな反応に対して二次障害として併発する。抑うつによる注意力散漫と鑑別する必要がある。 双極性障害はうつ状態における注意力散漫、躁状態における易怒性や衝動性、気分の波など表面上の症状は類似している。またADHD患者の11%は双極性障害を併発している。 重篤気分調節症は主に子供に対する双極性障害の過剰診断を減らす目的でDSM-5に掲載された気分障害である。ADHD、双極性障害、反抗挑戦性障害に症状が類似している。
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